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名古屋西店
2018写真分析23 疑問を持ち、答えを出し続ける事。
投稿日:2018/12/31
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Photo by Kaori Kobayashi
Cordi by Sonoko Sakai
In YokohamaAoba
先月から青葉の写真主題は「ベストな1シーン」でした。
『1シーンの構成』とは、何か、を考え続けた二ヶ月でした。
75カットを私たちは『3シーン』に分けて撮影をします。
ベストな写真は、ベストな1シーンのなかで生まれ、
ベストな1シーンはベストな原本75カットを生み、お客様の手元に残る最高の75カットとなります。
私たちが目指すものは、
生きて動く『人』であり、唯一無二の目の前の『あなた』のために、
1シーン(おおよそ15~20カット)を構成していくことです。
そのなかに、いろんな写真があることが『1シーンの流れ』となります。
インテリアがしっかり写った引きの写真、しぐさが際立つ写真、クローズアップ、、
自由に動くことが許されるのは被写体も撮影者も同じです。
なので相手に動いてもらうことと同時に、自分自身もそれに合わせて適切な距離感で写真を撮っていきます。
『技術』的な視点で言えば、これが構成力のひとつになります。
では、何をもとに相手に『動き』を与え何をもとに適切に撮影者も『動いて』撮影するのか、が重要です。
なぜなら撮影者が適切に相手に投げ掛けそれを予測して撮影していく『前提』が必要になるからです。
前提は『目の前のあなたのための』ということ。
そして、それを受けて、撮影者は『ストーリー』を考えます。
ストーリー(撮影のイメージ)があることで、
適切な場所、言葉かけ、予測を可能にして、様々な角度から撮影をしていくことができます。
そのなかで表現として前途したように引いて撮影すること、小物を使うこと、寄ること、撮影の技術が必要になります。
そして、その構成は『動きの予測』を可能にするので、
相手に言葉を投げ掛けてからの『最初』『途中』『最後』を見ることができます。
例えば、ポーズをしてもらうためになにか言葉をかけるとして、
予測ができていないとポーズが決まった『最後』しか捉えることができません。
そうすると一枚一枚に不自然さが生まれます、
なぜなら『やってもらって決まりきったポーズ』だけの構成だからです。
たとえばある程度撮影場所を指定して、座ってもらいあとは言葉かけに対しての反応に任せていきます。
ポーズが完成するまでの間に、ふと緩む瞬間を探ります。
目線をバッチリ抑えた決めのカットももちろん、
そういった『中間』を適切に入れて構成していくとで1シーンの流れは大きく変わります。
そのためにも『イメージ』をまず最初にたて、
それを元に被写体と空間を繋げる方法を組み立てていく必要があります。
元気一杯なカジュアルスタイルで登場した彼。
3にん兄弟の末っ子で、今回は自分が主役。
着物を脱いで、お兄ちゃんたちと一緒に撮影を終え、最後の1シーン。
少し甘えん坊でお兄ちゃんが大好きな彼は、
最後もっと元気に動き回るかと予想していたのですが、お願いした事を一生懸命、やってくれました。
『こうしてみて』『こっちに向かってえいって蹴ってみて!』
一生懸命答えてくれる姿がかわいくて、私の声かけは『こうしてみて』が増えました。
途中はっとして、少しだけ距離をおき彼を観察します。
時おり疲れた顔を見せるものの、なにかをお願いすると、やっぱり一生懸命やってくれます。
わからない質問には少しだけ口を緩ませて、いひひと笑います。
そのあひる口がなんともかわいい。
距離をおいた先から、おやま座りをしてもらい、目を閉じてもらいます。
まだだよ~あけちゃだめだよ~なんて。
ぎゅーっとめをつぶったり力が入った後に目を開けてもらい、
あしもとに目線を落とすために
『靴の色なにいろかな?』『なんかついてない?』
『小さいお兄ちゃんが踊ってない?』なんてよくわからない言葉を投げ掛けていきます。
困ったように、でもちゃんと言われた通り、足の先を見てくれます。
でもやっぱり困ってるのとよくわからないのがなんだか面白くて、
力の入った足元や手元が緩み、表情も緩みます。
その瞬間、やんちゃで甘えん坊で、でも真面目に頑張ってくれるがんばり屋の彼の力が抜けた瞬間でした。
どこでどんな風に撮影をしていても。
声かけをした通りに動く『終わり』だけをかちっととるのではなく、
動きの中間や反射的な反応、表情。
それを余すことなく『瞬間』としてとらえていくとは、
写真の醍醐味ともいえますし、75カットを構成する上でかかせない写真だと思います。
1シーンというくくりで構成を考えても、
結局は1枚をどのように撮り、次の一枚、一枚に繋げていくか。それなのです。
『ストーリー』は撮影者ふたりが提示するものです。
相手の魅力や雰囲気、印象、イメージに合わせて、『受けとる』だけではなくて、
受け取ったものを引き出す、拾い上げる、ステージを用意しなくてはいけません。
人に写真の話をすることを続けてきて、伝えることの難しさと、見せることの難しさを痛感しています。
常に疑問と、自分の答えをもって。
毎日の出会いを、
大切に写真で残していきたいと思います。
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