Staff Blog
名古屋西店
2018写真分析20 たけちゃんと、しかちゃん。
投稿日:2018/11/23
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Photo by Kaori Kobayashi
Cordi by Yoshika Kimura
In YokohamaAoba
「自然な姿を写し出す」ためには、
非日常である私たちや撮影空間を、
相手の中に日常のように楽しいものとして、
受け止めてもらうことからスタートが必要だと思います。
スタジオという非日常の空間の中で、
一体どうしたら相手の日常的な笑顔や仕草が見られるようになるのでしょうか?
スタジオで撮影をする、という行為自体普段とは違う環境です。
目の前に大きなカメラを構えられて、こっちだよー!と呼ばれて。
いつもと違う「撮影」という行為自体を、いきなり日常には変えられないので、
それを上回る、自然を引き出す、「仕掛け」が必要になります。
それは年齢でも遊び方やアプローチ方法は違うし、その子の特徴や性格、興味があるものもそれぞれです。
だからこそ最初に初めましてを交わした後のコミュニケーションが大事になってきます。
どんな子かな、どんな遊びが好きかな、、観察します。
そして相手に自分を受け取ってもらいます。それはどんな年齢でも。
はじめまして、私は◯◯です^^
撮影のためにコミュニケーションをとるのではなく、
相手の中で非日常の空間でいつも会わない人、知らない人、という感覚を、早く無くすためです。
子供達はよく見ています。よく理解しています。
頭でわかっていなくても空気で感じ取ります。
一人の子供、として見るのか、
その子自身と向き合うのか?
で、知らない人、だったお姉さんやお兄さんは、
知っている面白い人、遊んでくれる人、なんだか楽しい人、になり。
いつしかその子にとっての非日常の中に、自分が自然と浸透していくのです。
撮影のための遊びの方法はいくつかあります。
年齢に応じてどんな遊び方がいいのか?
目線をとるために、仕草を取るために何をするのか?
それをただやればいいわけではなく、
その子の好きなもの、性格、個性にあわせて、
自分が遊びを提案していくことで、その効果が表れていくのです。
今回のたけちゃんとの撮影について、振り返ってみようと思います。
たけちゃんは4歳になる男の子。
過去に2度、青葉店に遊びに来てくれており、
その写真を見てみるとなんとも愛嬌たっぷりで可愛い男の子の姿がありました。
ワクワクしながら会えるのを楽しみにしていると、少し恥ずかしそうに男の子が入って来ました。
靴はドクターイエロー、靴下もドクターイエロー。
そして携帯で見ている動画も電車。
電車が好きなの?という問いに、うーん・・と小さく頷きます。
恥ずかしいのかな?と思っているとママさんが
「幼稚園帰りで、車の中で寝そうなタイミングで着いたんです」とのこと。
なるほど、だから昨年の写真で見たときのテンションハイ!な感じではなく、
ローな感じなのかな?
ゆっくりカウンセリングをしながら、何度も部屋を出たり入ったりしつつ、
その度に少しずつアクションをかけつつ、少しずつ歩み寄ります。
だんだんと目が覚めて来てちょっとずつお話もしてくれるように。
いざ、撮影が始まると、たけちゃんはひとつひとつお願いしたことを真面目に頑張ってくれました。
こうして見てー!というポーズや仕草、なんだってお手の物です。
だけど少しの違和感。
まだ彼の中で、お願いされたのでやってみた、という感覚を超えていなかったのだと思います。
可愛いのだけど、もっと開放してあげたい!!
そこで身も心も開放するために、ものを使って体を動かすことにしました。
何もない状態で動かす、というのはなかなかハードルが高いので、ひとつきっかけになる何か
ものがあると良いです。
ベンチを持ってきて、まず座って貰い、次に立って貰って後ろに隠れてもらい、いろんなところから顔を出してもらいました。
あっちやこっち、顔を出すたびにバー!!!と全力でやってくれるのでこちらもたのしくなりテンションが上がります。
遊ばせながら、心を開放していくとともに、
撮影側としてはそれを予測して色々なものを準備します。
こう声を掛けて、こうなったらこうやって切り取ろう。
その予測と準備があってこそ、一瞬の表情の動きや仕草を捉えることが出来るのです。
いくら楽しそうに遊んでいても、撮れなかったら意味がないし。
制限をかけた中で撮影をしても、その子らしさを表現することはできません。
どちらも必要だとなった場合、結局必要になるのは、その場にいる人との意思疎通なのです。
カメラマンと被写体。
コーディと被写体。
そしてカメラマンとコーディネーター。
もちろん、そこに親御さんも。
みんながつながって初めてより良い空間撮影となります。
難しいことを言っているようで、じつはとてもシンプルなことです。
コミュニケーションを取る。互いに見合う。
自分からみたその子の見解を互いに共有する。
カメラマンはどう言ったイメージで撮影していきたいのかをコーディに伝える。
コーディも衣装やその子のキャラクターに応じて、遊びやイメージに合う小物をチョイスし、遊びます。
それをカメラマンに伝えます。
結果物は、家族の元に記録として、記憶として残る、写真です。
写真になった時、どんなイメージであるのか?
もちろんシャッターをきるのはカメラマンなので、カメラマンにしかわからない部分なのかもしれませんが、
互いのイメージをすり合わせることで最初に言った通り予測と準備をして万全にその子と向き合うことができます。
必死になってしまうことも勿論あります。
子供の元気は無限大ですし、その子によって性格も勿論違うので、
何が一番楽しくなる方法なのか?不安を取り除いてあげるためには何が必要か?
毎日の出会いに対して、目の前のあなたに対して、試行錯誤です。
シャッターを切ることに集中してしまうときもあります。
足を止めてもらうこと、そのために楽しく遊んでもらえる方法を探したり、毎日必死です。
だからこそ、子供の撮影、と一括りにせず、
その子と向き合いながら、一人で向き合うのではなく、全員の認識をあわせながら、
その子にとっての最高の空間を作り上げていくことが必要なのです。
たけちゃんの撮影は、じつは大阪店から来ているしかちゃんにとって青葉店での最後の撮影となりました。
明るくてテキパキと動くしかちゃん。
そしてこちらの話や意見にしっかり耳を傾けながら、目の前のご家族、その子のために動いてくれます。
今回の撮影でも、途中、近くで様子を見てサポートしてくれていたさきちゃんに
「何か仕草をしてほしい、動いて欲しい時に、
いかにどうやって楽しい!と思ってもらえるように遊びを交えながら誘導するのか?が重要」
とアドバイスをもらい、着替えから彼とたくさんコミュニケーションを取りつつ、
彼と仲良くなって楽しい空間を作ってくれました。
たけちゃんはというと、すっかりスタジオに馴染み、
着替えながらしかちゃんの頭をポンポンと撫でたり、
私に、しかちゃんがさっきいたよ!と、報告してくれたり。
二人の距離はどんどん縮まっていきました。
撮影は終始穏やかに楽しく進み、たけちゃんが可愛い仕草をするたびに
二人で可愛いーーーー!!!と叫びながら撮影をしていきました。
何が言いたいかというと。
同じ思いで、目線で、思いを汲み取りあいながら撮影を進めることで、
一体感のある撮影は生まれ、その視点や想いがそのまま写真になるのだということです。
それを、最後の青葉の撮影でしかちゃんが同じように感じてくれていたのなら。
きっと大阪店でも同じように彼女の明るいパワーで子供達を楽しませ、
大人たちを和ませ、楽しい撮影が日々産まれていくのだろうなと思います。
写真はそんな撮影の中で生まれた、2歳や3歳の時よりも、
少しいたずらごころが芽生えたような少年のような表情。
画角と光を設定し、たけちゃんが覗くであろう場所と反対側に前ボケを入れ、
声を掛けながらその瞬間を遊びの中で誘導して行きます。
特別なことをしていません。
だけど、たけちゃんの中で「楽しい!」と思ってほしい!という心が同じように動き、
向かい合って撮影を進めた一つの結果なのです。
特別なことではなく、シンプルだけど、忘れてしまいがちな「ちゃんとコミュニケーションを取ること」
その場にいる人が繋がって、やっと撮影は完成されます。
しかちゃんと撮影に入りながら、そのことを改めて感じさせて貰ったのは私の方でした。
またいつか彼女と撮影に入る機会があったら、またいっぱい笑って、話して、今回のように楽しい撮影ができるだろうなと思います。
大阪店、シカちゃん、頑張って!
青葉店のメンバーはいつでもどこでも、応援しています^^
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