Photo by Kaori Kobayashi
Cordi by Natsuko Takagawa
In Yokohama Aoba

 

私は“家族”に憧れています。

 

いつかの写真分析にも書いたのですが、
星野源さんが“family song”を出して、そのときにTVに出ていたときに言っていた言葉が、
私はとても心に残っています。

『なんの見返りもなく“その人が幸せでありますように”とか。
“今日一日無事で過ごせますように”って思えるのが、
家族の関係なんじゃないかなって思うんです。
それが例えばペットでも、友達でも、仕事仲間でも、
ファミリーって言い方ってすると思うし、
家族だと思っている人っていっぱいいると思うので、
血が繋がっているとかはわりとどうでも良くて、
そこに愛があるかどうか。』

そういった愛でつながった絆を私は“家族”と呼ぶと思っています。

自分のために生きている事が、あなたのためになること。

あなたのために何かを思うことが、自分の生き方になること。

そうやって、家族という輪が広がっていくのだと思っています。

 

 

ご夫婦にお会いしたのはつい先日のこと。

娘さんから、ご両親の還暦祝いの撮影をしたいというご予約でした。

主役はご両親ふたり。

お会いした瞬間から、暖かな空気を感じ、楽しい予感しかありませんでした。

 

この写真を撮ったのは、シャッターを切り始めてすぐのこと。

“じゃあ、おふたりともここに立ってください”と立ち位置を誘導し、
ご夫婦は目の前に娘さんや息子さん、そしてその家族がいて、みんなが二人に注目し、とても照れていました。

嬉しそうに、恥ずかしそうに、腕を組みながら笑いあうふたり。

そしてそのふたりを“お！いいねー！ヒューヒュー！”と盛り上げて下さるみなさま。

 

さあ、はじめましょう！となったその瞬間からシャッターチャンスはあふれていました。

見つめ合えばあうほど、密着すればするほど照れて笑顔になるふたり。

その照れ方ややり取りがなんとも可愛くて、いとおしくて、素敵で。

はじまってすぐ私も、なっちゃんもこんな言葉をこぼします。

“う、うらやましい・・・・！！！”

出会いは高校生のときだというおふたり。

本当に素敵で、今まで、互いを大切に思いあって生きてきたんだなあと・・・感じました。

 

そしてそこに、娘さん、息子さん、そのご夫婦、最後にお孫さん、と加わり、集合写真を撮りました。

結婚して、子供が生まれて、大きくなって、結婚して、家族が増えて、また子供が生まれて・・・

その瞬間瞬間に、家族の歴史が詰まっています。

 

撮影をしながら、少しだけ家族の歴史に触れながら、ひとつひとつシャッターを大切にきっていきました。

 

笑い合うその瞬間、その笑顔。

何か技術を凝らしたわけではないですが、この瞬間を残せたことを、

私はとてつもなく嬉しく感じました。

 

互いの表情は見えても、その瞬間の自分の表情は見る事が在できません。

こんな風に互いを見て、同じ笑顔で笑っているこの瞬間を残せただけで、

私も幸せな気持ちになりました。

 

写真撮影を終え、写真を見ながら盛り上がるご家族。

その声や盛り上がりにまた嬉しくなり、

そして最後に予約を下さった娘さんより
“家族みんなであつまって写真を撮ったのははじめてです、ありがとうございました”と言っていただけました。

 

人生の長い時間の中で、ほんの一瞬。

だけど、その瞬間を残し、この写真が家族の歴史の一部になるのだと思うだけで、

とても、とても、嬉しく感じます。

 

この笑顔、この一瞬、みんなが同じ笑顔であったこと、いつでも思い出してほしい。

写真を見ながら、また思い出してみんなで笑ってほしい。

何年かたって、また“みんなで写真を撮ろうよ”というきっかけになったらいいな。

と、思うのです。

 

シンプルな写真。
だけど、そのシンプルな写真が全てを物語ることもあるのです。

 

幸せな笑顔。時間。ご一緒できてとても嬉しかったです。

ありがとうございました。