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[ビタミン20]世界の半分が飢えるのはなぜ?

投稿日:2012/6/15

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世界の半分が飢えるのはなぜ?

本文から

 

・裕福な国に暮らす人々にとって、飢えに苦しむ人々の、みじめで絶望的な姿を心に留めておくのはかなり難しいことかもしれない。飢えている人びとが存在することは知っているけれど、そういう状態を「ゆるせない」と声を上げる気にはならない。たまに話題になったとしても、ときが過ぎれば、かれらの存在は頭から消え去ってしまう。

 

・人類の歴史が始まった時から。飢えは、常に人間に寄り添う影法師のようなものだったといってよいだろう。

 

・飢えも原因によっていくつかの形に分けられる。

「経済的飢餓」と「構造的飢餓」。

「経済的飢餓」とは、「突発的で急激な一過性の経済的危機によって発生する飢餓」のことをいう。市場が閉鎖されて食糧が流通しない、というように、経済的な混乱が原因で飢餓が発生すること。

「構造的飢餓」とは、「長期にわたって食糧供給が滞っている場合」に使われる。その国の全体的な経済発展の遅れによる低い生産能力や給水設備や道路などのインフラの未整備、あるいは住民の極度の貧困などが原因で発生する。外部からの急な打撃でおこるのではなく、その国を支配している社会構造がもたらす必然的な結果なのだ。

構造的飢餓は、考えるべき点が多すぎて全体像をつかむのは容易ではない。

 

・自由主義市場で売り買いされている農産品のほとんどが投機節の動きに影響を受けている。ひとにぎりの金融資本家が農産物を買い占め、貯蔵倉庫にため込んでは市場価格を操作している。

 

・国際的な取引価格は欲しい人がどれくらいいるのか、売りたい人がどれくらいいるのか、「需要と供給の法則」のもとにある。しかし、ひとにぎりの穀物メジャーと、おかかえの投資家による「ダイピング」や「在庫隠し」という投機的な動きに左右されるのも事実だ。

ダイピングとは、投機家が市場に大量の商品を急激に投入して品物をだぶつかせ、価格を急落させる行為のこと。

在庫隠しはその反対に、在庫をため込んで品薄状態を人為的に作りだすことをいう。

 

・ル・ライユの人々にあるのは、人間としての尊厳だけ。どれも物乞いをしていない。だれも売春をしていない。

 

・第三世界でおこっている大くの環境災害、飢餓、民族抗争は、先進国の政府や国際援助機関、国際世論に対して、もっとこの問題に関心を持つように絶え間なくはたらきかけるが、世界の人々は、時間がたつと犠牲者の姿はおろか、問題そのものの存在を忘れてしまう。飢餓問題の根本的な解決のためには、各国が自給自足の経済を自らの力で達成すること以外にほんとうの出口はないのだと思う。

 

・飢えに苦しむ人達のようすを日常の風景にしてしまうような社会、人を人としてあつかわなくなった殺人的な社会構造を変えることだ。「自分たちの手で自分たちの国づくりを」「自立した経済を」という考え方を中心にすえることがとても大事だと思う。

 

・マックス・ウェーバーが言っている。「富とは、はたらく者たちが生み出す価値がつながったもの」。「富とは、野蛮にほえたける非人間的な投資家集団が生み出す経済的権力だ」。

 

 

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