Photogenic
青山店
Brighter day,
投稿日:2022/11/20
2419 31
Photo & Write by Reiri Kuroki
Coordi by Koyo Arai
@AOYAMA
光で遊ぶ。
それは、カメラマンの醍醐味かもしれない。
カメラマンになったばかりの頃は、よく「ちゃんと光を見て撮ってる?」と先輩たちに言われたものだった。
写真の良し悪しを決定づける大きな要素は『光』だ。その写真の中の光が、美しいかどうか。
そして、光が美しく在るにはそれを際立たせる『影』も美しく在って欲しい。影があることで、光はその存在感を発揮する。
その日のその時、青山店に差し込む光は強かった。
季節の移ろいに合わせて太陽の高さが変わり、光が入ってくる時間と角度が変わってきていた。ちょっと強すぎる直射日光が部分的に差し込んで、スポットライトが射しているようになる。
スポットライトが当たる場所には、そのシーンの注目を一身に集める人がいるべきだ。と、いうわけで、被写体の彼をその光の射す場所へ誘導した。
初めはスタンダードな、空間と全身を入れ込んだ状況説明的な写真を撮ってみる。少しポーズを変えながら、せっかくの光を無難に撮ってしまっているなと反省する。すぐに場所を変え、違う要素にポイントを置きながら撮り進める。そうしながら、置いてきてしまった光に後ろ髪が引かれた。
もう少しこの光で遊んでみたい。そう思って、今度は光の中に顔を直接置いてもらった。
強い日差しが、ほぼ順光になって彼の顔に降り注ぐ位置。彼の顔の陰影をすっかり飛ばしてしまう光の強さに少したじろぐ、が、それを効果的に調整する為に、いわゆる『木漏れ日』を作り出すことにした。
光を遮り過ぎても意味がないので、強い光をある程度透かしつつニュアンスのある影が落ちるように、彼の近くにフェイクグリーンを挿したガラスの花瓶を持って来る。顔の角度と影の落ち具合の微調整、そして、被写体である彼を待たせている、その間を保たせるというちょっとした技術。そういうものを併せて使いながら、少し時間をかけて、変えながら、1枚の写真を仕上げていく。
表情を決めるのに少し迷った。ただ、穏やかな雰囲気にしたかった。ぽろっとひとこと言ってみたら彼はふっと笑って、ちょっと口角の上がるその感じは、何だか光にくすぐられているみたいだった。
光を見る、ということを知ると、写真はとても楽しくなる。
自然光でも、ストロボの光でも、その光を見て、使い方を考えて、調整しながら表現する。
光遊びは、とても楽しい。
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