PhotogenicAoyama

Your Focus Shapes Your LIFE,

投稿日:2021/7/20     更新日:2021/7/21

480 0

 

Photo&Write by Reiri

Coordi by Mayu Nishi

 

@AOYAMA

 

ライフスタジオは、今年で創業15年を迎えました。

そして私は、入社してから10年という節目の年を、初めて『ライフスタジオ』が始まった場所で過ごしています。

 

高校を卒業した時から働き始めたものの2年を待たずに転職を繰り返して、履歴書の職歴欄が埋まりそうな頃に、私はライフスタジオに入社しました。

社会に出てからざっくり20年。その半分を、ライフスタジオで働かせてもらっています。

そしてこの10年は、自分がいつか人生の幕を閉じる日に思い起こされるような、そんな記憶で溢れていました。自分の人生で、できる限り長く写真を撮ることを生業としていたい。そう願いながら過ごして来たこの日々は、毎日とても真剣で、楽しくて苦しくて、幸せだと思っています。

無為に過ごした最初の10年を後悔しない訳ではないですが、それでも今こうして、幸せだと思える日々を過ごしている、そのことはとても、幸運なことなのでしょう。

 

 

10年も仕事をさせてもらっていると、自分自身も周りの環境も、様々な変化をしていきます。

所属店舗も何度か変わり、一緒に働く仲間たちの顔ぶれも変わり、自分の肉体は老いさらばえていきます(笑) とは言え、培われた経験がもたらす(ある程度)柔軟な対応力や俯瞰的なモノゴトの見方等、得られたものも多くあります。いつも適正にそれを発揮できているかは、まあ、人間なのでダメな時もあるんですけど(笑)

デビューの時に撮影させてもらったお客様や、長く担当させていただいているご家族とは、今年も撮影させていただく機会があったので、10年前の自分の写真も見返してみたりします。今と比べればとても荒削りで、拙くて、未熟な写真であることは確かですが、体裁を整えるような小細工のない、ひたむきでがむしゃらで、写真を撮ることを純粋に苦しみながら楽しんでいる、そんな若さがある写真の数々に、少し刺激を受けました。今の私が撮ることのできない、無知だからこその真っ向勝負がそこにありました。

10年経った私には、同じように撮ることはもうできないかもしれません。同じままでいられないのは当たり前で、自分がやりたいことだけやっていられる立場でもありません。やるべきことを求められ、それを果たす責任もあります。

先輩たちに背中を預けてひたすら写真に没頭させてもらっていたがむしゃらなカメラマンは、10年経った今、いろんな、本当にいろんなことを経験させてもらって、たくさんの人に出会って、話して、学ばせてもらいました。もちろん今も、まだ学びの過程にいます。何も知らない、無知な世界に新しいことをぼんぼん投げ込んでいた頃とは違って、今は目新しいものがめちゃくちゃたくさん入ってくるわけではないけれど、自分の中にあるものを再整理することが新たな気付きや学びに繋がっていきます。

量から質へ。若かった自分ががむしゃらに得てきたものを、整理して、今の自分の周りにいてくれる人たちに伝えていくことで、私が得てきたものは研ぎ澄まされていく。

 

 

この写真は、生後2ヶ月のBabyのクローズアップです。

Babyの撮影&クローズアップの写真は今や私の得手とする部分ですが、実は自分が初めて再撮影に繋がる低レベルな写真を提供してしまったのも、ハーフバースデーのBaby撮影でした。そういう苦い経験は、自分の写真を成長させる糧になります。

Babyの撮影は、何を置いても被写体把握から始まり、安定させることを心掛け、『わたし』という撮影者を受け入れてもらう為に言葉に頼らないコミュニケーションが必要です。Babyは感覚的なものに素直で、だからこそその感覚をざわつかせるものを排除して、安心できる空間を作り出せれば安定します。光や音、温度、体に触れるものの硬軟、そういうものを敏感に察知していくBabyの反応のひとつひとつを見逃さず、推察し、整えていきます。

被写体が安定した、そう思えたなら次にコミュニケーションの段階に移ります。Babyは言葉を理解はしませんが、声色に含まれる感情を感じてくれます。『わたし』という存在が同じ空間にいることを許容してもらう為に、私は『あなた』というBabyにたくさん、たくさん笑いかけさせてもらいます。時には、意味を成さない音をずっと口から発している時もあります(笑)

そういう過程を踏んでいって、初めてカメラを構えることができます。

撮影の終盤、疲れも出てきたBabyはうつ伏せの顔がだんだん上がらなくなって来て、彼女の為に誂えたクッションにその顔を預けていました。重心がやや右に沈み込んだその角度が写真の対角線を成せると判断した時に、寄れるところまで寄ります。本当に近いクローズアップの時は、被写体をフレームに対してやや斜めに取り込んだ方がトリミングの違和感を軽減します。カメラ位置は低く構え、彼女がこちらを見る瞬間に備えながら、画面左側は淡く前ぼかしを被せて光をより柔らかくふんわりと見せました。

彼女はこっちを見る、その確信がありました。傍らで、コーディネーターの西やんが確実にタイミングを作ってくれていました。教えたことを忠実にやってくれている、そんなコーディネーターが一緒に撮影空間にいてくれること程、心強いことはありません。

撮影はひとりではできません。今にして思えば、ずいぶん独りよがりな撮影もしてきたものだと思います。カメラマンとコーディネーター、ふたりで撮影を作っていく、だから撮影がこんなに楽しくて、大切で、より良い写真を生み出そうとする化学反応が生まれるってことを、最近の私はものすごく、実感しているのです。

大きな瞳がこっちを見た、その瞬間を、私も西やんも待っていました。

 

Babyの撮影は、シンプルです。被写体に依存する部分も、無くはないでしょう。

しかし、ただ被写体任せで撮れる程簡単でもありません。Babyの撮影者は、言葉を介さないコミュニケーションと観察力と、咄嗟の状況判断から写真を決定する瞬発力が必要です。

10年やっていて、その辺はなんとか経験に基づいた自分の得手として身について来ました。そして、自分が経験に基づいた感覚的な得手としてきた部分を人に伝えていくことで、少しづつその精度を上げていくことができているような気がします。

こうして写真分析を書くことも、きっとそういうことなのでしょう。

 

創業15年を迎えたライフスタジオは、私が入社した当時よりも多くの年齢層の子どもたちに、ご家族に、来ていただける場所になったように思います。

もちろん、ライフスタジオに初めて来てくれるBabyとの出会いも、これからたくさんあるでしょう。

ひとの人生の中での、ほんの僅かなBabyというシーズンの写真を美しく記録していくことは、私がライフスタジオの中で少しだけ胸を張れる得手の部分でもあります。

Babyとライフスタジオの初めての出会いを、その記憶を、大切に記録する。

それが、今の自分が青山店で果たしていく役割のひとつだと思っています。

 

 

この記事をシェアする