Photo by Yukika

Coordinate by Momoka

 

 

 

好みの色が変わる。

好みの服が変わる。

将来の夢がお姫様やプリキュアでなくなる。

 

 

すこしずつすこしずつ、そうやって小さな女の子達は女性へと移ろっていきます。

 

 

まるで羽化をするように、花開くように、そうやって少しずつ自分の変化を受け入れながら大人へなっていくのです。

 

 

 

彼女は小さい頃からなんどもパパさんママさんと一緒にライフスタジオへ足を運んでくれています。

昨年も新横浜店に遊びに来てくれたのですが私は前回の撮影に携わらせていただくことは残念ながらありませんでした。

 

コーディネーターのももちゃんは昨年もコーディネーターとして撮影に入っていたということもあり色んな話を事前に聞いていました。

 

 

お気に入りのくまちゃんやおばあちゃんが作ってくれたドレス、ハマっている本を持ってきてくれることなどなど。

 

 

 

ドレスは毎年ピアノの発表会に合わせて新調しているそう。

選ぶのは彼女。

 

毎年テイストが少しずつ変わっていって、彼女の好みが少しずつ変化しているのを感じます。

 

 

今年もってきてくれたドレスは

 

・白と黒のバイカラーのシンプルなワンピース

・淡い水色のプリーツの可愛らしいワンピース

・黒のベルラインのエレガントなドレス

 

 

水色のワンピースと黒のドレスがソロ用に。とのご希望でした。

 

 

 

水色のワンピースに合わせて水色の風船、シャボン玉、そしてうまれたときから一緒のテディベアを一緒に、可愛らしく撮ってほしいとママさんパパさんから頂きました。

 

子供らしくいられる、撮れるのがもうすぐ終わっちゃうかもしれないから。

そんな思いからでした。

 

 

 

確かに彼女が今回持ってきてくれたドレスをとっても、会話一つとっても、小さな女の子、という印象はもうあまり受けないようになっていました。

 

 

 

そんなに早く大きくならなくてもいいのに。

まだこどもでいてほしい。

 

そんな気持ちと

 

こんなに大きく、立派になった。

我が子の成長を喜ばしく思う。

 

 

たくさんのパパさんママさんがそう想っているのではないでしょうか。

 

 

そんな2つの気持ちを汲んで、そして「いま」という時間を写真として残せたら。

それが今回の私達のコンセプトでした。

 

 

水色のワンピースのときには風船やテディベア、シャボン玉を使って。

レースや柔らかい素材感のあるベッドで少しおとぎ話チックに、明るく。ファンシーに撮りました。

 

すこしだけ子供らしく。可愛らしさ溢れる空間で。

 

 

 

 

 

さて。やっと今回掲載させていただいているお写真の話です。

 

もう一つのドレスはまるで水色のワンピースとは対になるような一着。

 

 

黒いベルラインのエレガントなドレスです。

 

先程のワンピースが「かわいらしい女の子」であるならば「エレガンスな女性」とでも言えるでしょうか。

 

 

彼女がこのドレスを選んだということはこれまでの彼女から、彼女自身の中で変化があったということです。

 

 

 

であるならば私もそれを汲んで思いっきり、彼女を返信させるくらいの気持ちで大人っぽく撮ろう。

原本の中にふたつの彼女を宿そうと考えました。

 

 

ももちゃんも大人っぽいアレンジを加えてくれて彼女は変身しました。

大きな鏡の前で自分が大人っぽい姿へと変わっていくさまはより彼女をそんな気持ちにさせたのではないでしょうか。

 

 

 

変身した彼女を見た私はこの「いつもと違う自分」を表現するのに非日常的に撮ろうと決めました。

イメージはMVです。

森のなかで女性アーティストが歌っているような。アレです。

そのある種の違和感は神秘的だ、という感覚へと変わります。

 

 

では写真そのもののはなしです。

 

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★構図

 

二分割構図で撮影しました。

このイメージに対して重要になってくるのが「彼女との距離感」です。

あくまで彼女に一番にフォーカスされるように、引きすぎず。

ただしこの背景もこの雰囲気を成立させるために不可欠であること、また彼女との距離感が近すぎないように。

 

この構図を選択しました。

 

★光

 

被写体に当たる光はサイド光です。

浅く、彼女の肌を滑るように滑り落ちる光が彼女の女性らしいラインを魅せます。

 

髪で半分表情の見えない彼女の顔にも、まぶた、鼻筋、頬、唇といくつかのポイントに光が乗ることで暗すぎる印象にならないようにしています。

 

また逆光も使用しています。

背景の木の後ろはライトボックスなのですがここをつけることで背景が暗くおちることを防ぎ画面全体が暗い印象を受けないようにしてあります。

 

あくまで「神秘的」≠「暗い」です。

 

 

★前ボケ

 

画面左と右上に前ボケが入っています。

これらの意味は大変重要で被写体との距離感を感じさせるために必要不可欠です。

「美しさに息を呑む」「手に入らないからこそ美しい」

 

そういった感覚のものはどれも近くではなく一枚挟んだ向こう側の存在ではないでしょうか。またすこし色の重い前ボケが混ざっているため黒いドレスの彼女を浮かすことなく、つなぎ役になっています。

 

 

★その他

 

通常であれば髪が顔にかかって表情が見えないのはあまり良しとされません。

ただし意味があればそれはその限りではありません。

ウェーブした髪は少しずつ彼女の表情の大事な部分（目、口、鼻）を見せつつ少しを曖昧に隠しています。

 

 

彼女の表情を見せすぎないことで彼女のうちに秘めている気持ちやその下に隠されている表情を受け取り手はより考えるようになります。

 

年頃の女の子は難しい。

常に悩み、葛藤し、少しずつ自分の変化を受け入れながらそうして前に進むのです。

 

 

そういった内側も、外側も、表現できたら。

そんな気持ちでシャターを押しました。

 

 

 

彼女は来年は赤いドレスを着る予定だそう。

来年はどんな写真が生まれるのかな。そんな気持ちでいまはいっぱいです。

 

 

パパさんママさんとの連弾も楽しんでね。

 

パパさんママさんの愛情を一身に受けて。

彼女は少しずつおとなになっています。