Photogenic
新横浜店
『対峙』
投稿日:2019/2/22
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photo by Chappy
cordi by Momoka Matsumoto
write by Chappy
「知らないこと」が楽しい
「分からないこと」が怖い
その線引きはどこからくるのでしょうか?
小さな頃は兄や姉がやっている習い事、
友達がやっている遊び、
まだ見たことのないものに思いをはせ、
「知らないこと」を知る楽しさに
とても魅力を感じていました。
そのため、たくさんの習い事や遊びに触れるだけ触れ、
ある程度知るとやめてしまう。
両親からすると、かなり厄介な次男坊だったことでしょう(笑)
そんな僕も中学、高校、大学の過程を経て、
様々な人や人間関係の中で過ごし、
自分という存在、他者という存在が
100%分かりあうことができないことを知ります。
そしていつの間にか
「人と関わり、人を知っていくことが好きな自分」と
「そうではない自分」が無意識の内に
自身の中で芽生えていました。
その点に改めて気づけたのは、先日行った、
先輩へのインタビューを通して自己成長を図る、
という個人プロジェクトがきっかけでした。
「ちゃっぴーの写真を見るともしかして
人が好きなのかなと感じる写真がある」
今回のインタビューで記憶に
強く残っている先輩からの言葉です。
その言葉の前提には人が好きではない
という意味があり、改めてこの写真分析を
書きながら今も自問自答を繰り返しています。
良いポートレート写真を撮る上で必要となってくる
要素には「被写体を知る」ということがあります。
ただ人はどんなに言葉を介しても100%分かりあうことができません。
まして撮影でお会いするほとんどのご家族は
初めましてのパパさんママさんや子どもたちです。
だからこそ少しでも相手を知ろうと
自分から言葉を投げかけようと努めるのですが、
まだまだ分からないことがたくさんあります。
それは僕自身が自分のことをしっかり
把握できていないからなのか、
相手に伝えるための言葉の表現力が足りないのか、
人を観る視野が狭いからなのか。
おそらくそのすべてが当てはまります。
ただ、それらすべてを満たすことが「人を知ること」に
つながる明確な答えではないと思います。
結局は、自身と写真と人と向き合い続けていくことでしか撮影者として人を知る方法はないのではないか。
それが現状の僕の答えであり考えです。
今回は日々、被写体を知ろうと模索する中で撮影した1枚の写真を分析していきたいと思います。
写真分析【対峙】
今回の写真の彼は、ハーフバースデーの記念撮影に初めてライフスタジオに来てくれました。
人見知り、場所見知りが全くなく、見るものすべてが
新しいものに溢れていることにご満悦のようで
常にニコニコな男の子。
そんな彼を見ていると、知ることが楽しいと感じる自分が重なり、同時に今の自分から見た彼をどんな風に残してあげられるか、頭を全力で回転させ考えました。
初めて見るもの、それは何なのかを知ること.
そのモチーフとして今回は本を使おうと決めました。
もちろん、生後6か月の赤ちゃんが1人で
本を読むことはできません。
ママさんにうつ伏せができるかどうかを事前に
確認してから、一緒に撮影を作ってくれる
モモちゃんと撮影場所や小物の位置を確認し、
息を合わせて撮影を進めていきます。
今回、逆光での撮影を選択したことにはもちろん
理由があり、彼の知りたいという好奇心が
いつまでも明るく、前向きなものであってほしい
という撮影者としての僕の想いを込めるためでした。
また彼の小さな手が、目が「本」という未知と対峙しているその瞬間にフォーカスを当てるため、ほぼ匍匐前進の体制でモモちゃんが作ってれるであろうチャンスを待ち、その時を狙い定めてシャッターを切りました。
1年前の2月、初めてフォトジェニックに挑戦の
意味を込め、写真を投稿したことを今でも覚えています。
その時も今回と同じインテリアで、
同じく被写体が赤ちゃんの写真を選びました。
その当時の自分にとっての「撮影」とは、
どうにかいい写真が撮れないか、
どんな写真が良い写真なんだろうかなど、
考える余裕も正直ないほど目の前のことに精一杯でした。
撮り終えてからいい写真が撮れた、
どうにか文章を形にして投稿し、ライフスタジオの
カメラマンとしての第一歩を踏み出したい、
そんなことを考えていたのでしょう。
今文章を振り返ると、拙さと自身の表面的な文章表現に
恥ずかしさも感じます。
ただその当時から今も変わっていないと思う点は、
自分の見ている世界を写真の中に詰め込みたい、
という想いです。
カメラのレンズを通して観るその子は
僕だけが知っている世界。
その世界をどう感じどう表現するのかは
カメラのシャッターを押す撮影者の特権だと思うのです。
もっともっといろいろな人を知りたい。
その人を知るための精進を続けていきます。
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