photo by Chappy
cordi by Piii
write by Chappy

 

What a woman?
今まで生まれ育った環境は女性に
囲まれることが多くありました。
４人兄妹の３番目に生まれた僕は、
兄が大学進学に際し家を出た時に、
上下姉妹、母、祖母、飼い犬（メス）と
完全に家で男が自分のみという状況に置かれました。
通っていた高校も元女子高で、
共学になってから年月が浅いため、
７：３で女子がクラスを占めていました。

そんな時にいつも考えていたことは、
世の男性が思い描く『女性像』とは
おそらく一人っ子、もしくは女兄妹が
いない男性が考え付いたものだ、
ということでした。

ここでいう一般的な女性像とは
田舎の一男子高校生であった当時は、
かよわく、男が守ってあげたくなるような柔さで、
料理が上手で、子供が好き。
そんなおとぎ話のお姫様をモチーフと
しているようなイメージであり、
それが周囲には溢れていました。

しかし実際のところ、僕は女性の『強さ』
というものにふれる機会が多くあり、
一人っ子や女兄妹のいない男性よりも
それは明らかでした。
家の中でも学校でも、当時の僕の世界では
女性は強い生き物として存在していました。

もちろん身体能力が強い、ということではなく、
内面に秘められた精神力の強さという意味でです。

その強さに惹かれていた自分は、
特に『ひたむきさ』
（という言葉があっているかはわかりませんが）のような部分に特に魅力を感じていました。

好きな人に好かれたいという一心で
前髪を気にして、洋服を選び、
慣れないメイクをする姉のような…
自分の夢を叶えたくて、
勉強も部活も生徒会活動も
一切手を抜かなかった親友の女の子のような…

そんな一心で前を見据えて進んでいける
『強さ』に憧れていました。


もちろんそれが顕著に表れるのは、
大人へと成長する過程の思春期以降ですが、
不思議なことに毎日いろんな子どもたちの
撮影をしていると、たまにその強さを宿した
女の子に出会うことがあります。
今回はその女の子について書きたいと思います。

 

 

写真分析＃明日、何着てく？

写真の女の子は上に４つ上の姉がいる
４歳の妹ちゃんでした。
服の提案をピーちゃんと相談しながら行い、
家族写真、姉妹写真の順で撮影を進めていきます。
しっかり者のお姉ちゃんのまねや
一緒にいたずらな笑みを浮かべ遊んでいる彼女たちを、
微笑ましく思いながらシャッターを切っていました。

そしてそれぞれのソロを撮るシーンへと
変わったときに、彼女の表情も
同時に変わった瞬間がありました。
それはシャツを羽織る瞬間でした。

“服が人を変える”

例えばジャケットを羽織った時、
もこもこのパーカーを羽織った時、
かわいいドレスに召し換えた時。
思うこと感じることが大きく
異なるのではないでしょうか。

それと同じように普段あまり着ない、
大人の女性が着るような服を
羽織ることが小さな彼女にも変化を与えたのでしょう。

あ、この感覚を僕は知っている。

そう思い、彼女にもう一度服を脱いでもらい、
未来の彼女がするであろう“鏡の前での服合わせ”
をイメージしながら場所の設定を行い、シャッターを切りました。

 

 

75cutを構成する１枚のこの写真。
前後にはもちろん、服の袖に手を通している瞬間や
その服を着ている自分に対して、
満足感からか思わず笑みが
こぼれている写真も撮影しています。

しかし、あえて鏡に映る彼女の顔を
カーテンでぼかしイメージカットとして
１枚残すことで、未来の彼女に対する
メッセージになるのではと思いました。

「小さな頃から服を着て、
前を見据えていたのが私だと。」

これから歩む人生が彼女にとって
優しいものだけではないと思います。
そんな時『強さ』が自分の中にあることを
忘れないでいてほしい。

そんな願いをこめながら…


Ashita Nanikiteku?