photo by Chappy
cordi by Momo
write by Chappy

 

<生命力を感じる写真>

 

僕は個人プロジェクトととしてライフスタジオで
働く先輩方にインタビューを行い、
学んだことを日々の撮影や人との向き合い方、
自分自身の将来を考える力の向上に充てています。

冒頭に書いた<生命力を感じる写真>

これは先日、越谷店の愛美さんにインタビューを
行った際に聞いた、良い写真を構成する要素の
１つとして上げられた言葉です。

 

よく良い写真というと、笑顔の写真、自然な写真、
技術の高い写真などを耳にしますが、愛美さんから
伺ったのは想定していたそれらとは違う答えでした。

「生命力っていうのは赤ちゃんとかマタニティとか
神秘的な写真っていう意味ですか？」
「年齢とか、性別とか、そういうものに限った話
ではなくて、どんな人でも必ず持ち合わせてるものだよ。
あとはそれをその人のどこからどう感じとるか、
どう表現するかは人によると思う...」と。

<写真に正解はない>
 

よく言われている言葉だし、インタビュー内でも
何度も使われていた言葉でした。
んーー生命力！何という難題！！！


それから数日が経ち、日々の撮影でシャッターを切り、
押した瞬間は生命力を感じる写真が撮れた！
と実感するものの、後から、いやまだ足りない、
ここがこうだったらと自身の中で
葛藤することが続きました。

そしてつい耐えきれず、一緒に撮影に入った
モモちゃんに聞きました。

ち「これって良い写真だと思う？」
モ「え、普通に良いと思いますよ。」
ち「なんかこう目が惹きつけられる部分とか
　　もっとこうだったら良いとかある？」
モ「んーー明確なものは分かりませんが
　　多分ここを撮りたいんじゃないかなー
　　ってのは伝わります。」

抽象的な僕の質問にもしっかり答えてくれる、
新横浜のロジカルガール。

ち「もっと寄ったらそれはハッキリ伝わるかな？」
モ「んー私は撮っていないので分かりませんが、
　　チャッピーさんがいいと感じるなら
　　やってみる方がいいと思います。」と。

...よし、寄ろう！（単純）

そう決断するもクローズアップの壁にぶつかる日々。
なぜクローズアップなのか、表情は笑顔がいいのか、
目線は伏せている方がいいのか、
カメラを直視している方が印象的か。
たくさんの選択肢と、撮らせていただくお子様と
向き合う毎日がまた続きました。


そんなある日、出会ったのが写真の彼女。
ハーフ成人式の記念で撮りにきてくれ、
何度もライフスタジオを利用している女の子でした。
10歳にもなるともちろん大人の話していることも
全て伝わりますし<自分>というものを持っています。
写真を撮られるということを理解し、
自分の好みの服を選び、撮影は始まりました。

そして撮っていく中で、会話を続け、
少しずつ彼女のことを理解し、
同時に彼女自身の心の壁のようなものが
ゆっくり溶けていくよう感じました。

その中で気づいたことがあります。
彼女の目が、その意志を物語っている、ということです。

「目は口ほどに物を言う」

まさしくその言葉通りに、その大きな瞳は彼女の全てを表していました。（楽しい感情やそうでない時の感情も）

あっ、これが彼女自身の存在感を引き立てている
<生命力>なのではないか？

そう僕は感じ取り、彼女のカメラ目線の
クローズアップを撮ろう、そう決めました。
ではどんな光で、どんなポーズで、
どんな表情で撮ればそれが顕著に表せるか、
その場で頭をフル回転させます。

笑顔というよりもその大きな瞳が
じっとこちらを見ている、
その静の中に宿る力強さを形にしよう。

そう考え、光は明るすぎず暗すぎない、
柔らかなサイド光を選択しました。
そして彼女を引き立てるもう１つのポイント、
長い髪の毛を優しく摘んでもらい、
こちらを何も考えずに見てほしい。
そのためポーズはそのままに一度目を閉じ、
ゆっくり目を開けてもらうよう声をかけました。
（これは横浜青葉店の五明さんがよくやっていた手法で、実際に使用することで改めてその意図を知り得ました）
エッセンスとして円形の茶色の前ボケを入れ、
彼女が最大限に引き立つように整え…

最後は、その魅力に惹きつけられるかのように
シャッターを切る、ただそれだけでした。


年齢が高くなるにつれて、様々な環境が、人が、
物事が彼女に刺激を与えるでしょう。
どんな女性へと成長するんでしょうか。

しかし、どんな時でも彼女が抱いている
生命力を忘れないよう、
その静かで力強い瞳のままに
前を向いていいけるようにと。
写真越しに願っています。

これからも写真に想いを込めながら、
人と、写真と、向き合っていけたらと思います。