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新横浜店
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「イメージ」を超える

投稿日:2018/7/20

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@ライフスタジオ新横浜

photo by Ara

codi   by Piii

 

「イメージ」という言葉は抽象的な表現である。イメージの捉え方は"人"によって様々な印象をうける。

私が考えているイメージ、相手が考えているイメージ、完全に一致させることは容易ではなくイメージと

言っても形式や成果物なのか、感覚的な表現なのか、心象なのか捉え方によって実態が異なる。

 

どんな人でも1日1日を過ごす中でイメージを沸かさない日はない。

特に我々カメラマンという職業柄だと1枚1枚の構成やストーリーを考えながら撮影を組み立てており

撮影のイメージを沸かすためには大きく3つ "対話"、”観察力”、洞察力”、が必要である。

 

対話と言っても自己紹介や世間話などの会話をしてご家族様やメインの被写体になる子供たちと仲良くなるだけが重要ではない。

ライフスタジオの写真は対話から始まっている。私達のことを知ってもらいつつ、相手のことも知りたいという

オープンな姿勢を見せることを私達は意識している。自ら心を開放しなければ真の理解、真の関係は生まれないからだ。

どんな思いでライフに来たのか対話と観察を経て、撮影前にある程度洞察を行う。

互いに心を通わせることによって目的や想いを完全に一致までとはもちろんいかないが方向性などは共感することができる。

また、私の中で目的や想いはご家族様によって様々であると考えている

 

・自然な感じで写真を残したい

・オシャレなお洋服がきたい

・ライフスタジオの空間が好きである

・笑顔がほしい

・楽しい雰囲気が伝わればいい

・全部おまかせします etc...

 

例えば先程記載した"自然な感じで写真を残したい"これは抽象的な表現である。

家族にとっての自然、私にとっての自然 相互理解をしなければ「イメージと違う」となりえるからだ。

 

自然な感じというイメージをなるべく相互理解するためには言語化していく。

「自然な感じというのは、様々な仕草やバリエーション豊富な写真を残していきたい」

「自然な感じというのは、お家にいるような寝っ転がったりリラックスした写真を残していきたい」

「自然な感じというのは、対話しながら生まれる仕草や表情を切り取る写真を残していきたい」

 

自然な感じという表現だけでも多種多様である。ライフスタジオに来ていただいたからには

イメージ通りの写真を残してあげたいではなく、イメージを超える写真を表現してあげたくなるのが我々の思いである。

 

なぜ今回は「イメージ」という写真分析を行ったのかをこれから述べていきたい。

 

今回の被写体である彼女はもうすぐ12歳。子供らしさもありながら3姉妹の長女であり、妹たちに優しく接している様子を見ると

長女だと我慢することも多いのではないかと対話をしながら観察、洞察していく。

また、12歳となれば自分自身の好みが自身で理解しているケースが多い。

今回の希望をご家族様、本人に聞いてみると「かっこいいのが好き」というイメージを私達に伝えてくれた。

 

”女性でかっこいいイメージ”

 

撮影に関してイメージを表現するために重要になってくるのは

●撮影の流れ

被写体の把握→カメラマンイメージ→光→ロケーション→光決定→レンズ決定→露出チェック→構図決定

も重要であるが撮影者とコーディネーターの互いのイメージ共有、そしてインテリアと被写体の調和が必要不可欠である。

 

インテリアと被写体の調和、つまりその子に合わせたコーディネートである。

コーディネーターのPiiiちゃんとは「かっこいい洋服を提案してあげよう」と一緒に服を考え、

撮影前のカメラマンイメージを伝えながら進めた。

 

新横浜のインテリアは白がベースで光も回る明るいスタジオであるが、

ドレッサーなどのインテリアは大人っぽさを演出することができる。

そして、今回の撮影場所である”衣装部屋”は光が回らないライトボックスが一灯のみある部屋だ。

普段は中々撮影で使うことがない部屋であるがかっこいいイメージを表現するために撮影場所の候補に入れようと事前に考えた。

 

私達が提案したお洋服は2パターンあったが、着てもらいたかったお洋服を本人も選び撮影前のイメージは一致した。

└黒とグレーをベースとしたお洋服である。

 

今回は明暗、陰影を意識した。明暗というのは撮影環境の光である。

新横浜のインテリアドレッサーでは化粧品やアクセサリーが豊富な場所であり光も十分に回る。ここでは明暗の明るい部分をイメージ。

笑顔やアクセサリーをつける仕草などを経て自分のドレッサーであることをストーリーとして組み立てた。

 

衣装部屋では光が回らないため明暗の暗いイメージを使ってクールに表現してあげることができないかと考えた。

光が回らない場所を選択したのは被写体の洋服が黒であることも重要だ。陰影をつけるためには黒い部分と白い部分、

今回の写真で言う黒のハット、洋服、そして顔や手などの肌である。

光の位置はライトボックスが一灯あるためサイド光気味に見えるが反逆光になる立ち位置で陰影をつけるように。

 

光が決まればレンズの決定である。レンズは望遠レンズを使用した。ドレッサーがある部屋は光も回る明るい部屋でもあるが

広さもあるため対話を十分にしながら明るい印象を残したが、衣装部屋のこの場所は人1人が入ることがやっとである。

そこで標準レンズで私が近づけば圧迫感を与え被写体の個性をうまく引き出すことができない。

そこで、望遠レンズを使えば物理的に被写体と私の距離を離すことができるため、距離感によってクールな表情を引き出すことにした。

 

最後に露出と構図であるが3つの陰影がポイントである。

 

・髪の毛と洋服の陰影によって彼女の存在を証明する

・右目と顔にかかる輪郭の陰影によってドラマティックな印象を与える。 目を閉じることによってまぶたにできる陰影もポイントである。

・帽子を被った状態でクローズアップを撮影する際に考えるのが手の位置であるが、手前の左手にかかる陰影によって

 クローズアップではあるが手、顔、髪の毛と層を重ねることでより目線に注目されるように表現する。

 ※左目を全て隠さないことも右目との対比のために意識した部分である。そして、光の陰影を表現することを

  目的としたためモノクロでの撮影にした。

 

シャッターを切る空気感もクールな印象を与えるように先程までの明るいテンションではなく静かなトーンで

雰囲気を作りながら私達も彼女に接していき今回の写真が生まれた。

 

衣装部屋での撮影は私と彼女とPiiiちゃんの3人で撮影を行い、撮影終了後はカメラの液晶画面で

「こんなイメージだったんだよ」と見せた時、嬉しそうににこっとしてくれた彼女の笑顔は明るい12歳に戻っていた。

 

最後のモニターのお時間でパパさんから「こんな表情をするんだ」という新しい発見を頂いた時に

今回のイメージを超える写真を残すことが出来たのではという想いに変わった。

 

冒頭でも述べたとおりだがご家族様のイメージ、被写体のイメージ、カメラマン、コーデイネーターのイメージを完全に一致させることは

容易ではないが"対話"や”観察力”、洞察力”を磨きイメージを超える写真を残し続けていくことが我々の使命である。

 

 

最後に私達も含めご家族様全員で集合写真を撮影することになり、

掛け声どうしようかと迷っていた時に彼女から「なつぅ!(夏)がいい!」と。

 

私がドレッサーの明るい雰囲気で撮影していた時にカメラに向かって「なつっ!」言って!

と伝えた合言葉にはまってくれていたことが彼女のかっこいいイメージを残してほしいという想いと

12歳のまだ子供らしさが伝わった想い出になった。

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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