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名古屋西店
なんてったって兄弟【写真分析】
投稿日:2022/10/8     更新日:2022/10/8
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photo by Azusa Ito
codi by Chihiro Ito
私には2つ歳の離れた兄が一人いる。
祖父と父の影響で小学生からゴルフをしていて、春休み夏休み冬休み土曜日曜全部ゴルフに費やしていた。
中学生になっても、高校生になっても、大学生になっても、大人になっても。
小さいころから兄のことが大好きで、構って欲しくて話しかけたり遊んでもらったりしていた。
今でもめちゃくちゃ好き。
試合で良い結果が出なかったり、練習が上手くいかなかったりした時に悔しくてよく泣いていた兄が、
ある日からあまり感情を表に出さなくなってしまった。
家にいても、遊んでと声をかけても。よく喋っていた兄は静かになった。
「プロゴルファーは感情を表に出さない、すぐ泣くな」
なんて父からの言葉でそうなっていったのだと思う。
よくわかってない子供ながらに、内緒話で「そう言われた」と言う悲しそうな中に、
静かに決意を見せた兄の姿をよく覚えている。
学校では友達と楽しそうに喋る兄を小学校、中学校と見てきた。
「おかえり」と声をかけると「ん」
「おかし食べる?」と声をかけると「いらん」
基本的に一言。相手してくれよと話しかけてもそのうち返事が返ってこなくなる。
会話らしい会話なんて本当にこの20数年してこなかった。
そう、お互いへのコミュ障兄妹なのである。
今はプロとして全国へ試合に、所属コースでのレッスンで忙しそうにしている兄が帰省した去年
人生最長レベルで話が続いた。他愛もない話ではあったが、私はすごく嬉しかった。
そこから嬉しくなってグイグイいってしまい、また返事が返ってこなくなった。
無視はされたが気持ちは晴れ晴れしていた。なんてったって大好きな兄と会話ができた。
さて、そんなドの付く下手くそ兄妹をしている私が、
スタジオに来店してくれる兄妹、兄弟、姉妹、姉弟の撮影を始める前に伺うのがそのきょうだいの関係性だ。
仲が良いのか、大好きで仕方ないのか、近づくのも嫌なほどお互い思春期なのか。
それぞれの関係を聞いて、見て、かわいいなあと思いながら、でもその時期の子供たちの距離を残そうとする。私が幼稚園までの写真しか兄と残っていないから。
今のこの子達を残そうと、いつも思って撮影に挑む。
そんな中のこの男三兄弟。
長男8歳、次男5歳、三男2歳。
3人そろって着物、この時はパパママもおばあちゃまにお着物を着つけていてもらい、家族5人で着物の撮影。
家族そろって着物を着る事なんてこの次はいつになるんだろうと。中々揃うことのない、とても大切な時間。
小さいちいさい男の子三人。
長男も次男も三男もみんな仲が良く、お互い大好きなのが伝わってきた。
9月の写真課題の「クローズアップ」に取り組んでいる最中でもあったため
今しかない幼い顔の三人、この関係性をもっと大きく、でもシンプルに残したい。
・逆光のライティングで幼い顔のラインが際立つように
・身長差が狭い画角の中で分かるように
・関係性を顔だけで分かるように
・白ホリゾントで背景に余計なものを入れない
・モノクロにしてシネマティックに
・ピントを絞り全体にフォーカスが合うように
クローズアップかと言われれば、ここから更に【寄り】が足りないかなと反省点があるが、
私としてはこの子達らしい一面を捉えたクローズアップな一枚を残せたのではないかと思う。
私自身、母が沢山残してくれた兄と2人の小さい頃の写真を見返した時に幸せな気分になる様に、
この時の写真を三人、または各々の家族たちと見返して温かい気持ちになって欲しい。
「俺ら子供の時から良かったんだぞ!」と思えるように。
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