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読書⑮「安藤忠雄仕事をつくる」を読んで

投稿日:2013/10/7

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『安藤忠雄仕事をつくる』を読んで

 

Mikiko

 

 「こんばんは。安藤忠雄です。」

ガラガラ声の大阪弁で、たま~にNHKの深夜の“時事公論”で世界の経済の話や、子供の教育に関するお話、自身の建築についてなど、話している事がありますが、安藤忠雄は、れっきとした世界に誇る、日本の建築家です。

 世界中に自身のデザインした建物が存在する程の建築家だけれど、「けれど」なのか「だから」なのかわからないけれど、テレビに安藤忠雄が映っていると、彼の話題は大抵、世界の事、人間の事、子供の事、教育の事、原発の事。日本はどうあるべきか、如何に生きるか・・・など。

 彼の話には惹きつけられるものがあります。それは彼自身の経歴からもわかりますが、人間への根本的な期待と信頼を強く感じるからだと思います。

彼は、いつも、自ら考え行動を起こせるようになるための教育の必要性を一貫して説いています。

戦後急成長し、豊かになった日本。戦後の日本の教育は、知識偏重で平均化された人間を大量に生み出し、ゆがんだ学歴社会を社会に蔓延させ、結果、人間が本来持つ、生物として必要な「野生」が奪われてしまったと彼は嘆いています。

大量に良質の商品をつくり、消費するという社会構造には最適な教育システムが作られましたが、結果的に、人間本来の力=野生が失われてしまいました。

社会の経済が最重要視されてきたこれまでの日本の歴史の中で、国力は一時的に上がっかもしれませんが、それを根本的に支える人間の力が弱くなってしまったのです。システムが稼働している間は国の力を維持できますが、経済や社会情勢が動き、支えてきた人間達のローテーションが次の世代に移行する中で、システムそのものを変えねばならなくなった時、そのシステムを変えていかなくてはいけない日本人にその力は残っていたでしょうか・・・。本当に必要なものが、目に見えないスピードで少しずつ少しずつ失われていった結果の今の日本。

私たちは経済中心の社会構造を担う為の一コマとして、この世に生まれてきたわけではありません。人間として必要なもの、大切なもの、社会のしくみや役割についてを、大きくなっていく過程で、自ら学びとった時に、はじめて社会へのアイデアが生まれ、そこからあるべき社会の理想を創りだそうとするのではないでしょうか。社会の姿は、そこにある形に人間がはめこまれるものではなく、その都度練られ変化し、よりよい姿へと熟成されていくものであるべきだと考えます。

この本には、安藤忠雄が建築家になろうと少年時代に決心した時から今に至るまで、安藤忠雄の心を動かし、影響を与え、親交を深めた多くの方々が登場します。その登場人物すべてに共通しているものが「人間としての力」、強い人間力を持った人たちです。

他人とのつながりの中に於いてこそ、本来の自分が存在すると(   )は言っていましたが、強い人間力を持つ人こそ、他者への思いやり、優しさ、愛があることに気付かされます。他者と自分との関係を構築していく中で、他者との関係こそが自分を作り、大きく成長させてくれるものだという事を知っているからだと思います。

 安藤忠雄は、実は建築の専門的な大学には入っていません。経済的な理由から、独学で建築を学びました。

独学。これほど先の見えない手さぐりの状態はないと思います。学校では道標となる教授、卒業生、先輩の存在があり、教えられ学ぶことができます。一人でこれをやるにはどれほどの時間を必要とするのだろうと思いますが、安藤忠雄は、4年で学ぶものを1年で終えようと、建築科へ進んだ同級生から教えてもらった教科書を揃え、どう勉強して良いかわからないままに、とにかく朝から晩までひたすら教科書を読むという方法で1年やりとおし、その後は通信教育で働きながらデザイン、グラフィック、インテリアを学んだといいます。その後は7か月かけてヨーロッパに、ひたすら建築を見て歩くという旅を続けたそうです。

本当に自分一人でゼロから学ぶことが可能なのでしょうか?ある程度の教育課程があって、それにのっとっているからこそ、学ぶことが出来るのではないかと疑問に思いますが、

今、私は、それこそ一人で、哲学や時事、歴史経済などを学んでいこうとしています。一人で何から、そして何を、どのように学んでいけばよいのか、今も悩みつつ、牛歩のごとく細々何とかやっているのですが、そこにふと手に取ったのがこの本でした。

1人で学ぶことを、安藤忠雄はこう言い切っています。

 ―「気力・集中力・目的意識。強い思いを持つことで自らに課したハードルを越える事ができる」―と。

 日本の今の教育システムが子供達の自ら学ぼうとする力を奪ってしまうと懸念している反面、強い意識がそれも克服するであろうという著者。

初期の、何も考えがなかった私。けれど、読み書き話すという私たちの会社の姿勢が私を変え、いろいろな事を感じ、話し、拙いが書こうという気持ちを引き起こしました。

長い義務教育から大学までの間、本当に学ぶという事は得られなかったけれど、気付くという事で変わることを実感しています。

今すぐに、日本のシステム、教育が変わることは物理的に無理だと考えますが、私たちにできる事が何か、家庭、会社、という小さな輪から意識を変えていけば、きっと社会を変えていく事ができると思います。

安藤忠雄が、かつて一人で学び、今世界に大きな影響を与えている事を、少しでも心のよりどころとして、自ら考え、行動を起こすことから始めたいと思いました。

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