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水戸店本の課題『善とは?』

投稿日:2013/3/18

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【善とは】

「善悪って何?働くってどんなこと?-14歳からのライフレッスンー」より水戸店の課題

 

善とはいったい何であるのか?

状態であるのか、定義であるのか?

はたまた観念なのか?

私は数名の偉大な哲学者の善の解釈から、善についてを考えてみた。

 

カントは、「定言命法」というものを考え出した。

定言命法とは、〈あなたの意志の確率が、常に同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行為せよ〉というものである。

簡単な言葉にすると、〈みんなが同じように行動しても困らないような行動なら良い〉ということである。

例えば、『皆が、気に食わないからという理由でその対象者を殺してしまうと、とんでもない殺し合いの世になってしまうので、気に食わないという理由だけで殺すのはよくない。』というようなものである。

ベンサムは、「功利主義」という考え方で正義を論じた。功利主義とは、〈幸福や快楽の総量を増大させるものが善だ〉という考え方である。

それにより又例えてみると、『一人を犠牲にして100人の快が増すのであれば、一人を殺すことが善である』となる。

次にもう一人、ムーアは、直観主義というものを提唱した。〈何かが善であるというのは、何らかの原理から導出されるわけではなく、私たちがそう考えるからそうなのであり、それ以上の説明はできない〉というもので、例えば、赤いものが赤く見えるのはどうしてかというと、それは赤だからだ、それ以上を問うのは無益である。というもので、倫理的な判断も、我々の直観に基づくものであると考えるものである。

3人の偉大な哲学者の、善に対する解釈に対して我々はどう感じるであろう。

哲学者の考えといえど、納得のいかない部分の方が多いのではないか?

では なぜ納得がいかないと感じるのであろう。

カントの定言命法の、あなたの意志の確率が、常に同時に普遍的な立法の原理として妥当しうるように行為せよという動機的な部分に於いては同意するのであるが、最大公約数的動機がどのようなものであるか、そしてその大多数を占める人々の倫理観がどのようなものであるかによって結果が最善になるとは限らない。

その時の状況によっても同様であろう。

ベンサムの功利主義は、最終目的が「快」であるという部分に於いて同意できない。快と善の動機はまったく違うものであると考えるからである。快は個人的な感覚であるのに対し、善は個人の意思の反映される場所、そして対象が必ずしも自分自身ではない、と考える。

功利主義を批判したムーアは、善は定義不可能であるが、直観がそれを知るものとすると定義したが、では何によって、直観を定義できるのであろう。客観的な視点と理由がなければ、個々人の直観のぶつかり合いになり、結論は個人主義の問題として終わってしまわないか?

一方、アリストテレスは、ニコマス倫理学でこのように言っている。

「最高の善は幸福(eudaimonia)であり、良く生き良く行為することが幸福と同じ意味である、ということに関しては、ほとんどの人の意見が一致している。」

「「善」は「自然」に基礎づけられる。自己の自然(本性)を実現することが全ての存在者の使命である。そして人間の自然(=本性)とは、理性(ロゴス)に従う活動である。」

「人間にとって善とは、生涯を通じての魂の最高の最も優れた活動である」

アリストテレスはなにを善の尺度とするのか。
ピュシスである。存在者はすべて己に固有のピュシス(自然、本性、実体)を持っている。このピュシスに従って活動するとき、存在者はよい。たとえば、いじけずに天をも摩するが如く亭々と聳え立つ杉は、よい
では、人間の自然とは何か。
それは「ロゴスをもつ動物」ないしは「共同体的動物」という定義によって示されている。だから、人間的なよさは、まず動物的な存在相(諸々の欲望、肉体的健康、生存維持のための財貨の取得)において充実していることである。しかし、人間の本性は勝れてロゴス(知る能力、交わる能力)にあるのだから、人間は、隣人と交わり、互いにその存在を肯定(愛)しあって、共同体のつながりの中に自己の存在根拠を据えるとき、真の充足を得、真によき者となるのである。と言っている。

私の善の理想は、このアリストテレスの「隣人と交わり、互いにその存在を肯定(愛)し合って、共同体のつながりの中にーというくだりの中に見出すことができた気がする。

 

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