「天気の良いこの日、久しぶりにガラスの扉を開け放つと、

爽やかなそよ風が、彼女の顔を撫でていった。」

そんなキャプションが相応しいであろうこの写真。

しかし、実際は違う。この風の主は　「前田和美」である。

天然の風ではなく、彼女の口から出たものである。

カメラマンの意図を汲む段階をとうに過ぎている彼女は、

誰の意図も汲まない、誰にも予測の出来ない事を　時としてする。

しかし、確実に言えるのは、他の誰にも判らなかったかもしれないが、

何歳であろうと、被写体の子どもが期待する何かを　知っている。という事だ。

その瞬間に　瞬時に、本人すら1秒前にはやろうと思ってもいなかったであろう事を、

やってしまえる本能のようなものを持っている。

だから、そんな瞬間にご一緒できるという幸運に恵まれると

何だか　とてつもなく凄かったり、面白かったり、美しかったり、といった写真が

撮れる事がある。

マニュアルや、白書には　この事実を　どう書いたらよいのだろうか・・・・・・・。