Staff BlogMito

studio photo「ちいさな人」

2016/11/28

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「ちいさな人」
1歳。この世に産まれ出でてから、365日。
たったそれだけしか、生きていないのに、もう瞳は新しいものを追い、愛するものの存在を理解し、無条件で周りが愛さずにはいられないよう計算無しで仕向けてきます。
愛についてはまだ何も知らないけれど、全身が愛を受け止め、これからの自分を支える源になることを本能が知っていて・・。
この人間の持って生まれた力と生命力には畏敬の念を抱きます。
それでいてまだ穢れを知らない純粋な心。ただただ微笑ましく豊かな本能。
笑い、泣き、眠る。見つける、触れる、歩く。
およそ大人の誰もが知り体験していることを、この365日しか生きていない小さな人間は、恐ろしい速さで貪欲に徐々に自分へ取り込んでいくのです。
人はそれぞれに個性を持っています。異なった性格、異なった考え方、異なった行為。
毎日ファインダーを覗いていると、小さな人間も劣らず、もうすでに特性の違いは現れていると強く感じます。
産まれてからの外部の働きかけによるものだけでなく、持って生まれたものもちゃんと表現されます。
何に笑うのか、恐れるのか、喜ぶのか、おっとりしているのか、活発なのか。
こんなに小さくても彼らはちゃんと自分の存在を、自分だけの方法で私たちに見せてくれます。
赤ちゃんの後ろ姿は、そんな愛しい彼らの特性を本当に良く顕わしてくれます。
背中は、物事を恐れず自分で確かめたい好奇心に満ち真っ直ぐに体を支え、勇敢さを示す足取りはとても早く、歩幅は大きい。
時として表情よりも、豊かな個性を顕す後ろ姿。
これからもこの歩みを忘れず、果敢に未来へと大きく歩んでいって欲しいという、瞬間に沸いた願いと、どんなにちいさくてももう生まれながらに備わっている人間の尊厳をきちんと受け止めつつ、その未来を、光と明るさになぞらえながら、たどたどしくも大胆な歩みの瞬間を収めました。
親の思い、願いは、親でなくては100%は解りません。
けれど、私達は、人として願う気持ちとは何だろうといつも心に問うています。
その問いが、この小さな人々の個性と生命力を汲み取れるよう。
その思いがどうか小さな人々のご家族と共にあって、優しく見つめる目であれるよう。
80余年生きるであろう人間の、小さな1年目の歩みをしっかりと胸に刻み、理解し、永遠に色褪せることの無いよう留め残すことが私にできること。
もしも大人になって、どうしてもつらいことがあったら、生まれてまだ365日しか経っていなかったこの日の写真を見つめてほしい。
女の子だけれど、恐れを知らないこの背中に、君の持って生まれた勇気を感じてほしい。
君がこれから触れていく大きな社会の中の、はじめの1年目に、君を一人の人間として理解したいと努めた大人達の存在があったのだと気づいてくれたなら、わたしはちょっとだけ君の人生にかかわれた喜びを感じることができるでしょう。
その写真の示す瞬間に、ご両親、ご家族、私達第三者の願いが君に一心に向けられ、愛されていたということを思いっきり感じてほしい。
私たちのするべき仕事は、瞬間を切り取ることによって、思いを留め残す事だけでなく、未来にもまた希望を生み出すことのできるものを創り、君たちへと託すこと。
だから、私は沢山のあらゆる美しいものに触れ、沢山の事を見、聞き、知り、考え続けるのです。心が老いていかない様、君の純粋さに負けない様・・
 

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