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人について書く spin off編③ 小林校長先生
投稿日:2015/6/25
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「みんな、空を見よう!」
トン、トン、トン。朝礼台に上がり、マイクに向かうと先生は言いました。
小学校3年生の時に、新しい校長先生が赴任してきて、最初の朝礼の時に放たれた最初の一言がこの言葉でした。
1000人の全校生徒がひと時、澄み渡った青空を見上げました。
し~んとしたまま、先生も、生徒も、みんな顔を上に向け、視界は空だけになりました。
はい、もういいよ。その声で顔を戻すと再び現実の世界が目に入ってきましたが、見慣れた筈のその風景は、ちょっと新鮮に目に映りました。
校長先生の二言目はこうでした。
「にっぽん晴れ!」
こんな、晴れ晴れと澄み渡った空を、にっぽん晴れと言うんだよ。
あとは、これからみんなと過ごすことになります、よろしくね。
という簡単なそして、今まで聞いたこともなかったような校長先生の言葉で最初の挨拶はしめくくられました。
挨拶の前に、壇上の横に立つ校長先生の姿を初めて見たとき、はっきりいって、加トちゃんの、メガネとハゲかつらをつけた加トちゃんぺのおじさんにそっくりだと思いました。
けれど、小柄な加トちゃんのおじさんが第一声を発した時から、私はこの校長先生が大好きになりました。
よくありがちな、校長先生のお話。え~一つ目は、え~、二つ目はなどと長々話していて、聞いているうちに今話されているのは、一体幾つ目の何の話だったかも聞いていてわからなくなってもうどうでもよくなってしまうような、そんな固定概念を覆す、お説教じみたことは、その後私が卒業するまで1回も聞いたことはありませんでした。
いつも、先生が壇上に立つと、まず全員で空を見ます。
そして、その都度私たちは、
「五月晴れ!」とか「うろこ雲」とか「いわし雲」とか、お天気や雲の名称を覚えていきました。
朝の最初に、空をみることから始まる小学校生活は、私にとってとても楽しく活き活きとしたものになりました。
3年生の時のある日のお昼休み、私は、たまたま一人で校庭の隅にしゃがんで、夢中で蟻を眺めていました。校庭ではみんなが走り回ったり、縄跳びをしてにぎやかです。
そんな時、とんとんッと後ろから肩をたたかれ、「なあに?」と振り返るとそこには校長先生がにっこりして私を見下ろしていました。とたんに、あ、校長先生だと、ちょっと緊張したのですが、すぐに先生は「何してるの?」とまた笑顔でお聞きになるので「蟻と遊んでいました。」と答えると「ああ、そうなの。」と言って、またにこやかに歩いて行かれました。
あの大勢の子供の中から、一人でしゃがみこんでいる子供が校長先生の目には映ったのでしょう。
そんな校長先生の優しさに守られていることを感じながら小学校時代を過ごせた私は、今思ってもとても幸せだったなあと思います。
いつか、こんな大きな包容力で子供を包むような大人になりたいなあと、その後大人になっても校長先生を折にい触れて思い出します。
今、私はどんな大人になっているのでしょうか・・・。
トン、トン、トン。朝礼台に上がり、マイクに向かうと先生は言いました。
小学校3年生の時に、新しい校長先生が赴任してきて、最初の朝礼の時に放たれた最初の一言がこの言葉でした。
1000人の全校生徒がひと時、澄み渡った青空を見上げました。
し~んとしたまま、先生も、生徒も、みんな顔を上に向け、視界は空だけになりました。
はい、もういいよ。その声で顔を戻すと再び現実の世界が目に入ってきましたが、見慣れた筈のその風景は、ちょっと新鮮に目に映りました。
校長先生の二言目はこうでした。
「にっぽん晴れ!」
こんな、晴れ晴れと澄み渡った空を、にっぽん晴れと言うんだよ。
あとは、これからみんなと過ごすことになります、よろしくね。
という簡単なそして、今まで聞いたこともなかったような校長先生の言葉で最初の挨拶はしめくくられました。
挨拶の前に、壇上の横に立つ校長先生の姿を初めて見たとき、はっきりいって、加トちゃんの、メガネとハゲかつらをつけた加トちゃんぺのおじさんにそっくりだと思いました。
けれど、小柄な加トちゃんのおじさんが第一声を発した時から、私はこの校長先生が大好きになりました。
よくありがちな、校長先生のお話。え~一つ目は、え~、二つ目はなどと長々話していて、聞いているうちに今話されているのは、一体幾つ目の何の話だったかも聞いていてわからなくなってもうどうでもよくなってしまうような、そんな固定概念を覆す、お説教じみたことは、その後私が卒業するまで1回も聞いたことはありませんでした。
いつも、先生が壇上に立つと、まず全員で空を見ます。
そして、その都度私たちは、
「五月晴れ!」とか「うろこ雲」とか「いわし雲」とか、お天気や雲の名称を覚えていきました。
朝の最初に、空をみることから始まる小学校生活は、私にとってとても楽しく活き活きとしたものになりました。
3年生の時のある日のお昼休み、私は、たまたま一人で校庭の隅にしゃがんで、夢中で蟻を眺めていました。校庭ではみんなが走り回ったり、縄跳びをしてにぎやかです。
そんな時、とんとんッと後ろから肩をたたかれ、「なあに?」と振り返るとそこには校長先生がにっこりして私を見下ろしていました。とたんに、あ、校長先生だと、ちょっと緊張したのですが、すぐに先生は「何してるの?」とまた笑顔でお聞きになるので「蟻と遊んでいました。」と答えると「ああ、そうなの。」と言って、またにこやかに歩いて行かれました。
あの大勢の子供の中から、一人でしゃがみこんでいる子供が校長先生の目には映ったのでしょう。
そんな校長先生の優しさに守られていることを感じながら小学校時代を過ごせた私は、今思ってもとても幸せだったなあと思います。
いつか、こんな大きな包容力で子供を包むような大人になりたいなあと、その後大人になっても校長先生を折にい触れて思い出します。
今、私はどんな大人になっているのでしょうか・・・。
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