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軍艦島

投稿日:2013/9/29

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「燃え尽きて火が消えそうな時でも、どうかそれを次にまた力強く灯せる時まで消さないで、ほんのりでも灯し続けてください」

 
哲学的に言えば内的矛盾というやつなのでしょうが、私の中にこびりついているひとつの解決しえない疑問がある。
今までそれについて考えてこなかったというよりは考えられる知恵が無かったという方が正しいかもしれないが、自分が生きていく上で大きな障壁になったことはなく、ただふと思い出した時に気になる程度だった。別に進むべき方向が何であってもあまりにおかしくなければ問題視はしなかった。結局、自分の人生に責任感が無かったのだろう。
いや、もしかしたら全くの逆で、責任感が強すぎての現状なのかもしれない。
いやいや、自分に問いてみればすぐにわかる。対して考えてこなかったんだ。
 
「生活が」とか「結婚してるし」とか、そんな事を言えば現状を維持することに
対して責任感が強いとでもとれるだろうか?
 
むしろ周りを利用した「逃げ」にしか見えない。
自分の人生に対しての無責任さを隠したいだけにしか見えない。
 
とりまく環境が変わり、自分一人の体ではなくなってきた今だからこそきちんと向き合わなければいけない。
 
 
長崎の軍艦島
炭坑で栄えた町の廃墟が残された島が、ある角度から見ると戦艦に見える事から
呼ばれ始めた通称で本名は端島(はしま)というらしい。
いつからこの島に行きたいと思っていたか思い出せないが、行きたかった理由はただこの島の「みてくれ」が好きだったからで、この島の事はなんにもしらなかった。
ツアーを予約しないと行けないし、悪天候だと近寄る事すらできないので旅行で行くには賭けの要素もあったが、台風が数日前に通ったこともあって無事快晴に見舞われた。
このツアーには島の説明をしてくれるガイドさんがついていた。
私はいつもこういうガイドさんは興味をそそる事を言わないのであまり歓迎しないのだけど、このガイドさんは的確に聞いてる人の欲しい情報のみを伝えてくれて、聞く耳を持ったところでこの炭坑で働いた人達の苦悩や心情を代弁してくれた。
いきなり当事者の苦労などを話し始めて視聴者が飽きてくるのがよくあるパターンだが、彼は押し付けてくる事無くスッと心に訴えてきて、本当にうまいなと思った。
 
彼の言葉を聞いていると、近代化のパイオニアとしてこの島に集まり、生身で地下何百メートルにもぐって何十時間と労働し、日本で初めての鉄筋コンクリートのアパートに家族と共に暮らし、世界の燃料が石炭から石油に変わり廃れていく様が目に浮かぶようでした。
 
最後に彼は言っていました。
「よく、ここに住んでいた人達がツアーに参加してくれることがあるが、決して写真を撮らないんです。理由は、彼らが知っている端島はこんな廃墟ではなく、希望に満ちた場所だったからです」
 
もしこのガイドさんがいなかったら、私はただの廃墟写真コレクターになっていました。
そしてこの場所で自分の人生にしっかりと責任を持った人達が働いていた事を知りました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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