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やる気の押し売り

投稿日:2025/1/14     更新日:2025/1/14

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私たち撮影者は写真を撮るときにシャッターを押す直前まで「何をどう写すか」を悩む。これでいいのか、もっといいものはないのか、被写体はこのままでいてくれるのか・・・・。写す構成要素が多ければ多いほどさらに悩みは加速し、大家族が来た時にはパニックになる。だが、そうした悩みを消す方法もある。とても簡単だ。先輩が撮影した写真をそっくりそのまま真似をすることだ。被写体の違いはあれど基本的には同じような写真を撮る事ができるだろう。

だがこの方法にはわかりやすい欠点がある。カメラマンが思考停止するということだ。記憶をたよりに写真を構成していけばいいので産みの苦しみを味わうことなく写真が完成していく。そのすべてを否定するつもりもないし、必要な場面もあるにはあるが、何か物足りなさを感じるのは私だけだろうか。

ちょうどこの写真を撮影した時に、その感覚を覚えた。「新しい気がするけど、なんか見たことある写真」

悔しいが私にとって新しいものを生み出すというのは苦手分野のようだ。この会社のいろんな場面で最前線を走ってきた自負はあるが、何か新しいものを生み出してきた時間というよりはなんとなく上手くいってるように見える状態を作るのが得意だったのかもしれない。

最近よく考える。私は13年間で何を成したかと。やったことはやった。会社がやると決めたことは一番前でやってきた。やらないと言ったことは一度もなかった。だが、それによって何を成したのか?と言われるとはっきりと言えない自分がいる。後輩たちには「仕事は結果が重要だ」と言いながら。そう考えていくとたどり着くこの13年は「ただ私がやりたいだけだったのでは?」という結論だ。

私は選ばれた?

いや、思い返せば自ら手を挙げてばかりだった。もちろん手を挙げたとて任せてもらえない場合もある。そういう意味では任せてもらえることは多かったのでそれでいいともいえる。いや、ライフスタジオという会社は手を挙げた人には寛大な心で任せてくれる素晴らしい会社だ。ということは、私はただ自分がやりたいことをやってきただけであって、最前線で選ばれた気になってやってきたが、実際には自分から前に躍り出ただけで特に結果も残していないおめでたいやつなのではないのか。

そう思うと考えが加速する。もしかしてライフスタジオを停滞させていたのは自分か?

私はライフスタジオに何をした?何ができた?私の存在に意味はあったか?

 

過去に何度か、プロジェクトの進行についてLee社長とぶつかったことがあった。その時に社長に言われるのは言葉は違えどいつも同じような内容だった。

「思ってた感じと違う」

そしてそのプロジェクトは中止になる。そんなことが何度かあった。そしてそのプロジェクトの一番前にいたのはいつも私だった。私はLee社長や会社の進みたい方向を理解しているつもりだった。休みもけずり、家族との時間もけずって割と身を粉にしてやっていた。しかし結局それは私の「やる気の押し売り」でしかなく、結果は望まれていたものとは程遠いものだった。

コミュニケーション不足と言えばそうかもしれない。もっと密に話し合っていけばもう少し結果は違ったかもしれない。しかし冷静に考えるとそうでもない気もする。ただ私は組織の大きなプロジェクトを動かす器ではなかっただけの話だ。

Lee社長に一度言われたことがある。「ボルボは存在が大きいからボルボという勢力ができる」と。

その時は意味が良く分からなかったが、今はなんとなく理解ができる。これは誉め言葉というよりはどちらかというと私を傷つけないようにほめながら優しく席から降ろそうとしてくれていたのだ。私が前に立つと、後ろの人が前を見れない。これはちょこちょこ感じていたことではある。自分は後ろを引っ張ってるつもりでいたが、実際はみんなの視界を邪魔していただけだ。

「私がどけばみんな普通に前進するような気がする」

これに気付いていながらも飲み込むのには少し時間がかかった。経歴を重ねすぎたせいで他人から指摘を受けることもなかったため自分で気づき認めるしか進む方法がなかったからだ。裸の王様になった私は寒さもマヒするほどに長い時間勘違いを続けた。

あるいはまったく違う結末もあるかもしれない。思ったよりも私の効果が大きくて、席を降りた瞬間に大変な事が起きて・・・なんて風に思いたいところだが、まあありえないだろう。私よりももっともっと大きな存在の人がいなくなった時、ライフスタジオには扇風機くらいの風しか起こらなかった。エースピッチャーが抜けたチームが優勝するなんてことはよくあることだ。

だから私は一度自ら席を降りなければいけない。そして少し俯瞰したところから客観的に状態を見る必要がある。私も、ライフスタジオも。お互いに。

悲観的なブログに見えるかもしれないが、40を過ぎたおじさんが自分を冷静に見つめなおすことができたむしろ前向きなブログとしてとらえてほしい。仕事を辞めたりはしないから変な心配はしないでほしい。

押し売りはしないが、やる気は全く減っていないので、ここからもっと前進していく予定だ。なんか見たことあるような写真を撮りながら。

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
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