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京都桂店
この1枚の写真への長い道のり〜51
投稿日:2024/6/4     更新日:2024/6/4
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ポーズの話をしてみよう。
ライフスタジオ全体の写真の評価をする時、どのような視点から見るかによってそのポジションは変わってくる。日本の写真館全体という枠で見るのならば、おそらくライフスタジオの写真というのは悪くない位置にいると考える。18年という短くない歴史を持つライフスタジオは、デジタルカメラとデータ販売という形式を取り入れることによって写真の質を高くナチュラルに移行することに成功した。その流れは長い年月のたった今でも悪くはないと思っている。一番ではないなと思ってしまうのが残念だが。
では、ライフスタジオ内部に限って見てみるとどうだろうか。ここ1、2年の写真(全てを見たわけではないが)を見ての私の感想は「均一化した」だ。ベースアップはとても感じている。カメラマン1年目の人の写真と、3年目の人の写真の見分けがつかないのはベースアップが成し遂げられた証拠だろう。しかし減ってきた「特別な写真」という悩みも生まれてきた。つまり簡単に言うと「変な写真は減ったが、超良い写真も見なくなった」ということだ。
その大きな要因になっているのが「ポーズ」だ。ライフスタジオの写真は時代に合わせて進化してきた。光も衣装も背景も。しかし、唯一あまり変わっていないのがポーズだ。悪いわけではない。悪いわけではないが、どこか柔軟ではない印象を受ける写真が多い。ポーズがなぜうまくいかないか理由は明白だ。カメラマンの指示が間違っている。これが99%だ。
指示の間違い方は主に2つ。指示が足りないか、指示が多いか。
例えばこの写真を撮るためにはカメラマンはどういう指示を出す必要があるだろうか?
指示が足りない人は「傘さしてみて」とか「足上げてみて」くらいしか指示をしない。被写体がとても魅力的な場合、これでも成立する場合もあるが・・・。反対に指示が多い人は上の2つ以外にも「左足を膝からしただけ曲げて」とか「上向いて」「傘を両手で持って」「斜め左を向いて」とか聞いてる方が嫌になる程要求する。
このどちらもが結果的に写真に与える影響が「ポーズの不十分さ」あるいは「ポーズの硬さ」なのだ。指示が足りないと不自然になり、指示が多いと硬くなる。硬さや不自然さが写真に与える影響は大きく、写真を見るものに「あぁ、写真用のポーズね」と思わせてしまう。
写真を撮るということにおいて、指示というのは「伝える」ことが目的ではなく「伝わる」ことが目的である。カメラマンは自分のいつものやり方で指示をするのではなく、被写体のパーソナリティを見て「何をどのくらい言えば伝わるのか」を理解しなくてはならない。時にはテンションや声色さえも変えなければいけない時もあるだろう。つまりポーズというのは相手を理解することから始まり「多くも少なくもない、ちょうど伝わる」というあんばいを知らないと適切なポーズを取ることができない。
ちょうど伝わるってどうやるの?正解はありません。引き出しを増やして人間を理解する。これに尽きます。
あれ、あんまりポーズの話になってないですね・・・。
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