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バカの壁:読書感想文まとめvol.008

投稿日:2022/4/18     更新日:2022/4/18

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養老孟司:著

「知りたくないことに耳をかさない人間に話が通じないという事は、日常でよく目にする事です。これをそのまま広げていった先に、戦争、テロ、民族間、宗教間の紛争があります。」 本文より


●先に個人的見解
人は常に成長したいという願望を持っている(と、勝手に思っている)では、成長するためには何が必要か?例えば身体的な成長をしたければご飯をたくさん食べるほかない。ようは自分の外にあるものを体内に入れるという行為だ。内面的な成長も同じで、自分の外にあるものを自分の中に入れるしか成長する方法は存在しない。自分の中で勝手に成長できる情報が生み出される本当の天才でない限り・・・。
しかし、しかしだ。
人の内面的成長は、肥満のように簡単には成長しない。食べれば食べるだけ太る外見とは裏腹に、内面は情報を入れたからと言って必ずしも成長するとは限らない。なぜなら内面を司る自分の思考には「拒否」するという行為が可能だからだ。例えば野球で打てるようになりたいとする。素振りを1万回やれば打てるようになるよというアドバイスをもらったとする。しかし、実際に1万回素振りをする人は少ない。うまくなるとわかっているのにだ。それはなぜか?上手くなりたいという気持ちと、1万回の辛さを天秤にかけたときに、後者が勝つからだ。写真も同様だ。上手くなりたいと口にする人ほど案外練習も研究もたいしていないものだ。
この、自分の中に情報を入れようとしたときに立ちはだかる壁を「バカの壁」といい、このバカの壁が、できる人とできない人に決定的な差を生むという。

もしこれを目にする人がいれば、私と一緒に胸に当てて自分に問いかけて欲しいと思う。「無意識にバカの壁を作っていないか?」と。

●バカの壁とは何か?
・「話せばわかるは大嘘」
人は知りたくない事を自主的に遮断する。自分の主観で物事を判断するため、新しい情報に対して壁を作り深く考察をせずに知った気になったり、または知りたくないこととして処理をする。これは意識的にも行われるし、無意識に行ってる場合もある。この自分の外にあることが自分の中に入っていくのを邪魔する壁が「バカの壁」である。
・現実とは何か?
1つの物事に対していろんな見解、物の見方があるのが当然の世の中だが、現代では自分がそれほど物事を知らないということに気づかない人が増えている。知らないのに知ったフリをするから深く知ることができない。
例:2001年9月11日にアメリカで何が起きたかをみな「知っている」が「わかってはいない」

●脳の係数
・知りたくない事に耳をかさない人の頭の中では、入力された情報に対して「0」がかけられている。a=0理論
例:中国の意見はアメリカはいくら聞いても「0」をかけてしまう。歩いていて落ち葉が落ちていても何も気にならないのは落ち葉という情報に「0」をかけているから。逆に1万円が落ちていたら気になってしまうのが頭の中で「0」ではない数字がかけられているから。
・反対がa=無限大理論
原理主義などはこれに該当する。聖書などに書いてることが自分の全てを支配すること。自分の考えを曲げない人もこれに該当する。自分の考えに対してはa=無限大、人の意見にはa=0

●個性を伸ばせという欺瞞
・共通了解と強制了解
共通了解=誰もがわかる共通認識
強制了解=数字などの証明によって認めざるを得ない
・人間の脳というのは、この二つの了解を通じてできるだけ多くの人に了解事項を広げていく方向性を持って進歩してきた。しかし、それと真逆の方向性として「個性を伸ばす」という言葉が広まってきた。
・混んだ銭湯でオリジナリティを発揮されたら困るだけ・・・共通了解の広まった社会で個性を伸ばす事は矛盾している。
・個性を大事にしている割には調和を求められるのはおかしい。
・ポイントは「求められる個性を発揮しろ」ということになる。

●マニュアル人間
・上記のような矛盾した環境で現れるのがマニュアル人間。個性を発揮しない代わりにマニュアルさえあればその通りやりますという人。これも一長一短。

●個性を発揮すると
・上記のように、変に個性を発揮すると社会と調和が取れず違和感を感じる。
・本来、意識というのは共通性を徹底的に追求するもの。共通性を確保するために言語、論理、文化、伝統がある。

●私は私、ではない
・個性を履き違えて捉えてる例として、情報の受け取り方がある。その人の特徴は自分は変わらないものという認識がある。そして自分に入ってくる情報が変わっていくと。
しかし実際には反対である。自分は刻一刻と変わっている。昨日の自分は今日の自分ではない。反対に情報は変わらない。Aという情報は明日聞いてもAである。
この認識の反対性が自分自身を変わらない「私は私」という認識をうみ、変われない人を作っていく。

ポイント:生きている人間というのは常に変わっているのに、自分は不変だと頑張ること。ここから個性の尊重は生まれている。

●個性より大切なもの
・個性的であれなんて言わないで、人の気持ちがわかるようになれというべき
放っておいても人は個性的である。隣の人と見間違えることなんてない。「自分の個性ってなんだろう」なんて悩む必要はない。
それよりも、親の気持ちがわからない、友達の気持ちがわからない、そのほうが重要な問題である。
・他人のことをわからない(もしくはわかりたくもない)状態で社会で生きていくことなど不可能であるし、そんな人生は面白くもない。

 

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