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『物価とは何か』読書感想文まとめvol.001

投稿日:2022/3/24     更新日:2022/3/25

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●それは何の値段なのか?



例えば、お茶が150円の自動販売機と、100円の自動販売機では、同じ1000円を使用したとしても、6本と10本で買える量に差が生じる。この場合、百五十円の自動販売機がおいてある地域を「物価が高い」と称し、100円の自動販売機が置いてある地域を「物価が安い」と称す。

なぜ値段に差が生じるのか?→商品の魅力で決まるから。同じ商品でも、地域や品数、量などで150円でも購入する人がいるほど魅力がある。

魅力とは何か?→商品の持つ特性、美味しさ、利便性、ファッション性。次に供給量

高級メロンがなぜ高級なのか?→おいしい上に希少だから。山積みになってたら安くなる

オイルショック時に日本の物価率が23%アップしたのはなぜか?
→原油高騰が原因であれば、原油関係の物価だけが上がるはずだが、全ての項目でインフレが起きていた。インフレの原因はオイルショックではなく、日銀の貨幣増産にあると現在では結論付けられている。
つまり、世の中にお金が出回れば出回るほど、実は物価が上昇してしまう。理由は高級メロンの原理。大量にあるものは価値が下がる。

それは何の値段なのか?→商品の魅力、販売地域、量、利便性、ファッション性、希少性、政治的、世界情勢などあらゆるものが関連して決まっている。

・物価をコントロールするのは誰か?
未来の税収が裏付けとなって紙幣の価値を決めている=物価も決まる
未来の税収が増える=紙幣の価値が上がる=物価が下がる
未来の税収が減る=紙幣の価値が下がる=物価が上がる

例:戦時インフレ 戦費がかさむと税収が減るため、貨幣の魅力を削ぎ、物価が上がる

つまり、国の物価を決めるのは貨幣量の調節で可能と言う面では日銀とも言えるし、税収によって物価が決まると言う点においては財務省ともいえる

●物価はこうして作られる



価格とは、貨幣と個別の商品の交換比率のこと

物価計測の基礎
→こっちでは100円で買えるお茶が、あっちでは150円出さないと買えない。数値で言うと、1、5倍。この1、5が物価の変化指数。

物価の定義「昨日と同じ効用を得ようとしたときに必要となる最小限の支出」

この数値が上がることがインフレで、下がることがデフレ。

●物価は誰のものか



物価は「いつ、誰が、どこで、何を、いくらで、何個」買ったのかと言う記録から作られる

その商品、種類の価格を決めているのは、商品数の多い企業が寄与している可能性が高い。

地域差→例:日清ソース焼きそばは、近畿地方では売れ筋だが、関東ではあまり売れていない。逆にペヤングは関東では人気だが近畿地方では売れていない
地域差のある理由→1、買う側の事情(地域的な好みなど)2、売る側の事情(供給量など)


●何が物価を動かすのか?


物価の変動には貨幣の価値が関わる。貨幣への需要や魅力が上がったり下がったりする仕組みを理解する必要がある

貨幣の価値は人たちが予想していくことで決まっていく。しかし、予想と現実は同じにはならないため、揺らぎが生じる。その揺らぎが物価の変動を起こす。

「景気は気から」

景気はいいと思って行動すれば景気は良くなる。
景気を決めているのは人々の気の持ちようである。

値段が上がる仕組み:物価上昇を予想する→値札を書き換える→実際に値段が上がる 自分たちが予想したことがそのまま現実になるので「自己実現的インフレ」と呼ばれる


価格硬直性→費用や予想される利益を計算した結果、値上げをしたとしても大して変わらない場合、値上げを躊躇することを価格硬直性という
許容範囲である「遊び」の部分を超えない限りは価格硬直性が起こりうるし、起こしても構わない範囲となるが、遊びを超えた値上げの場合は価格を更新せざるを得ない。この場合の値上げとは、原価高騰などによる仕方のない値上げの場合である


・日本は価格を変えない文化
価格が変わらない理由
1、ずっとデフレ
2、ずっと緩やか

日本は30年間、ずっと気づかないくらいの感じで物価が下がっている。物価が下がれば給与は下がるので、価格は上がらない。

1円の値上げも許さない消費者
値上げにも理由が二つある。一つは市場の問題、もう一つはその商品独自の特殊事例。前者の場合、消費者は渋々でも購入してくれる可能性があるが、後者の場合は他の商品、他のお店を検討する可能性がある。

日本の企業は、顧客離れが怖いため、多少の原価アップなどでは値上げを躊躇する。
日本では、10%以上値上げをした場合の再購入率は欧米と比べてとても低い。むしろ他店舗を検討する確率が大幅に上がる。欧米では値上げの根拠さえあれば受け入れるのに対して、日本は断固値上げ反対という姿勢が見受けられる

鳥貴族の例:原価高騰を理由に6%値上げを敢行。280円が298円に。
結果→値上げと同時に顧客激減。減益に。

値上げを許さない消費者=ステルス値上げが発生する
例:#くいもん小さくなってませんか日本
いろんな食べ物が小さくなってる。実質値上げ。値段を変えると買ってもらえないから、量を減らす。
 

 

●まとめ

消費者心理としては、インフレになって物価が上がるのは嫌だなあと思うかもしれないが、物価が上がらない=自分の給与も上がらないという意味だという認識をしなければいけない。経済が活性化し、自分の給与も上げていくためには物価が上がらなければいけず、値上げというのは至極当然の施策であるということができる。しかし、高級メロンや鳥貴族の例でもあったように、需要に見合わなぬ値上げや供給量は市場のバランスを崩し、結果として値上げ失敗に終わる可能性が高い。イチ生産者として値上げを検討する場合、市場調査、社会情勢、国の政策などの相対的な部分の検証をしつつ、自分の商品の価値はどの程度のものなのかをしっかりと見極める絶体的な部分を精査していく必要がある。今回これだけは覚えておかないといけないのは「だから値上げ良くないよね」ということではなく、いかにして理解を得ながらしっかり需要と供給の妥協点を見つけていくかという点。物価が下がるというのは社会全体にとって良くないことであり、いつかは物価が上がってもらわないといけないという前提を置きながら慎重に価格を見ていく必要があるという点である。

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