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京都桂店
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「輪郭」

投稿日:2018/3/3

1986 2

遠く昔、もう6年ぐらい前でしょうか。

十人以上の大所帯の前でLEE社長に写真を見てもらっていた時に、ある写真を見て社長は私にこう言いました。

 

「惜しいね」

 

その頃の私にしては新人なりに渾身の一撃な写真だったので、てっきり褒められると思っていたのですが、指摘されるわけでもなく

もやもやした表現をもらい、このままでは先に進めないと思った私は会議終了後、社報の元にかけよりなぜその写真が惜しいのか

を問いただしました笑

 

社長は私の勢いをかってくれたのか、それともめんどくさくなって直球でいってくれたのかわかりませんが

一言こう言いました。

 

「写真は平面的なものだけど、人は平面的ではない」

 

これだけでは全然わかりませんw

社長は続けました。

 

「被写体を動かすということは、ただポーズをとらせるという行為だけのことを言うのではなく、真に人に入ることだ。

それはポーズだけではなく、表情から特徴、構図や光も全てだ」

 

このころの私は、被写体を動かすことがライフスタジオの核心部分であることはわかっていたものの、その言葉に

どのくらいの意味が含まれているのかまではわかっていませんでした。

 

特に意識しろと言われたのは光でした。

 

「光で始まり、光で終わる」のが写真ですが、光とはなんのために使用するのかという用途が明確でないと間違った使い方をしてしまいがちです。

例えばスタジオを見て、カメラマンがワクワクするのは大抵晴れの日で、陽だまりができていたらその真ん中に被写体を置きたくなってしまいます。

 

光から始まるという点では間違っていないかもしれませんが、目的は「被写体を美しく撮ること」であり、「美しい光を使う」ことではありません。

重要なのは、ひだまりの真ん中に被写体を置いて、その人の何を撮りたいのか?です。

 

そういう意味では、人工光を使用することはその本質を見紛うことを抑制してくれます。

強くてみるからに美しい太陽光とは違い、創作しないことにはただの暗闇でしかない人工の光は

「なぜそうするのか?」が先になければ電気をつける理由さえもわからずに付けることになるからです。

 

理由もわからずつけた電気を使用した写真ほど、私が社長に言われた平面的で薄っぺらい写真になってしまいます。

 

私が彼女を撮影するのは、1回や2回ではありません。

人見知りの頃から知っていますし、会うたびにしゃべる言葉が増え、動きが増え、社会に出会ったことで覚えた親御さんの知らない

言葉や反応、好き嫌いなど、彼女を構成する要素は無限にあり、どんな光を選択すれば良いかというのは一筋縄では決定することができません。

 

七五三の時がきました。

7歳・・・。

 

着物撮影という要素が加わり、増えた構成要素を整理する必要があります。

どう整理するのかというと、基準は結局撮影する「私の主観」です。

 

私が彼女をどのように撮りたいか?

 

私は今日まで彼女と共に写真を作ってきた何年もの歴史を凝縮し、

私と彼女の間にできた歴史を表現することに決めまし

た。

 

つまり、成長です。

 

成長を記録するというのは、ただハイキーで笑っているという写真だけが重要ではなくなっていることを

意味し、7歳という若くも歴史ある部分を影として表現する必要もありました。

 

センスを決められた位置で持つという行為も、これまでの撮影にはなかった指示で、そのひとつひとつが

成長を感じさせてくれます。それと同時に、私の成長も同時に表現されなければいけないと思います。

 

成長に技術は切っても切り離せません。

彼女の輪郭を映し出す為の明暗を表現することに最も注力をしました。

 

彼女の背後に空間を設け、明暗の暗の部分を多く作ったのは、より表情の輪郭にフォーカスがあたるようにです。

例えばこれが反対に余白の部分を明るくし、被写体から見て左側、いわゆる目線側に余白を作ったとすると

明暗差はつきにくく、せっかく被写体の表情に光が当たってるにも関わらずそこに見える人の目線がいかず、集中力を欠いた可能性もあります。

 

彼女の左と右で明暗差を作ることは何もないホリゾントという場所で背景を用意することであり、人間の形と、3:2で構成される写真の形の

噛み合わない矛盾点を整理する役目を持ちます。

 

光をインテリアとして・・・

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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