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京都桂店
P.O.P~Figure the TRUTH: Takumi Yoshizawa~
投稿日:2017/12/27
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Photo&Write
VOLVO
今回の主題を通して
まだたくみの事を「知らない」という事を知りました
だから、この撮影を通してあまり知らない「たくみ」と
「知っているたくみ」を表現する事に決めました
私の中に存在している二つの「たくみ」を
写真を通してはっきりと目にみえるようにすることは
私が自分自身に見栄を張らず嘘をつかないという事です。
正直、このように規定する事は恥ずかしい事です。
誰かの事を文章にする事そのものにはもはや抵抗も何もありませんが
たくみの事を写真に撮ろうとした時に、たくみの事を考えれば考えるほど
どのように撮るべきか悩んでいる自分がいて・・・店長として情けないと思いました。
それは見た目とかそんなことではなく、もっと奥行きのある立体的なもので・・・。
撮影の前日、1人で悩みました。
そしてたくみと共に過ごした2年間をずーっと振り返りました。
たくみとの付き合いはもうすぐ2年です。
初めて彼にあったのは、彼が入社して一ヶ月ほどが経った時でした。
私がわけあってたくみの働いていた草加店に入る事になり、同じ店舗で同じ空気を吸う事になりました。
入社して1ヶ月が経っているにも関わらず未だに1人で撮影に入った事がなく
ゆっくり丁寧に育てられていたたくみをいきなり1人で撮影に入らせたのは
私が草加店に来た初日の事で、それが私の草加での最初の仕事でした。
それから2ヶ月ほどともに働き、社会人としても初めてのたくみに
ただ人生経験が長いという理由だけで私は自分の中の基準を伝えられるだけ伝えようとしました。
特に印象的だったのは入社2ヶ月くらいのある撮影中。
何かひとつ壁を超えたような瞬間が訪れた事です。彼はその時二十歳。
まだまだ自分をもっているというよりは吸収する事が重要な時でしたが、自分の中にある何かが邪魔をして
壁を超えられないでいるような印象がずーっとありました。
共に撮影に入り始めて何回目かは忘れましたが、それは全くと言っていいほど止まらない子供の撮影に入った時でした。
とにかく何を投げかけても聞き入れてもらえない状況に彼は焦りました。
彼の中にあった焦りは止められないという事実とそれによって自分が出来ない事に気づくことだったと思います。
子供に何とか認めてもらわないと。自分の存在に気づいてもらわないといけない・・・
そう思ったたくみは、ついになりふり構わず衣装室に隠されていた富士山のかぶりものを顔面に装着し、
2メートルは超えているであろうはしごに登りこう叫びました。
たくみ「ほら、富士山だよ!」
子供「・・・」
子供はたくみに背を向け、ひたすら鍵のかかった箱を開けようとしていました。
(余談ですが、その時のご家族に先日再開し、お互い成長した姿を見せ合いました)
その時敗れはしましたが、彼の中で邪魔をしていた壁がなくなったのを、次の撮影で私は感じました(怖いものがなくなったとでもいうのでしょうか)
私が伝えたかった事は「自分の中の固定観念に負けずにとにかくやること」
社会人になって私の中にある基準はそれだけでした。
こうした経験を繰り返しながら彼がだんだんと「ライフスタジオのたくみ」という
形と周りからの認識が出来上がっていくのがうれしかったのを覚えています。
こうしたエピソードは他にもたくさんありますので書こうと思えばいくらでも書けるのですが
何か核心的なものがエピソードの中に入っていないようなきがしてしまい、そう思うとどんどん
彼の事をどのように撮っていいのかわからなくなっていきました。
今回の主題は「自分とたくみの間にひとつの真理を作り出し、写真に表現する事」
彼と私の間にある何か決定的な真理がなければいけないにも関わらず、私の中でたくみを規定する事ができずにいました。私の中にいるたくみは出会って2年のたくみで、若いといっても22歳。彼の人生の11分の1しか知りません。
だから規定しました。「私はまだたくみの事を知らない」と。
知らないという事を写真で表現しようと思い、最初に思いついたのが「イメージカット」でした。
イメージカットというのは本来であれば、抽象的な表現でその人の本質的部分を表そうとするものですが、
今回のイメージカットは「知らない」という事を抽象性で表現し、曖昧なたくみを写真に写す事を心がけました。
次に表現しようと思ったのは「距離感のある写真」でした。
なんだかまるで他人のようで、それでいて「カッコイイ」という
いつものたくみのイメージとは少し違った印象の写真。
表情は冷静で、知らない人が撮ってるような・・・。
「知らない」という事を実感した時に見えた距離感。
でも、こうして色々とたくみの事を考えて、わからなくなって
その繰り返しをしながら写真を撮っている間に少し整理されてきたイメージが出てきました。
それを一言でいうと「心の優しい、心の弱い人」
例えば、たくみは人の悪口を決して言いません。
どんなに喧嘩をした相手であっても、その人の事を第三者に話す時には必ず「どんな人にも良いところが必ずある」
といって相手を悪者にすることはしない心優しさを持っています。
撮影では子供達に楽しんでもらえる事をモットーとしているのが伝わってきますし、仕送りをして親御さんの家計を支えているのも知っています。
一方で高いプライドを持っているのも彼の特徴です。
生粋の弟キャラにも関わらず自分の中では違うようで、いじられるのが好きなようで好きじゃないような・・・。
自分の仕事は自分でやりとげたいという気持ちがあるせいか
人に頼る事がうまくできないで最後の最後まで1人で粘ってしまう性格だったり。
自分がミスをしてしまう事に必要以上に怯えている時もありました。
いや、性格にはミスを恐れているというよりは「自分がミスする人間」と思われる事に怯えているような感じでした。
そうした人の目が気になってしまう心の弱さもありながら、自分の中の倫理観に従うやさしさもある。
そう思うと私の知っているたくみはここまで撮ってきた無機質な距離感のあるものばかりでなく
もっと近く、もっとただ笑っただけのたくみだったと思い出しました。
その瞬間、たくみにはこう伝えました。
「ここまでは私の知らないたくみ。ここからは俺の知ってるたくみを撮る。だから今からたくみが仕事の撮影中にする声真似をする」
そう言いはなち、私はテレコムセンターの中でファインダーをのぞきながらたくみの真似をしました。
すぐ隣のベンチには知らない誰かが座っていましたがお構い無しに・・・。(何を言ったかは本人に聞いてみてください)
きっと私の知ってるたくみと知らないたくみは2:8くらいだと思います。
でもその「2」の中には濃いものがたくさんあって、ただ長い時間だけが知っている量と比例しないと思いたいです。
写真には、撮影者の主観が投影されます。
撮影者が被写体をどのように思っているかが、そのまま写真に写されます。
知らないたくみと知ってるたくみ。この2つの考えがはっきりする事でここまで
写真というのは変わるものなのかとびっくりすると同時に、この撮影によって
またひとつたくみの事を知れたと思うと、やってよかったのかなと思えています。
知らなかったという反省と、まだ知れる事がたくさんあるという希望をもって
来年も共に走りましょう。
ありがとう。
「写真を通して関係を作る」
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