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京都桂店
~KANSATSU~
投稿日:2017/11/8
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Photo by volvo
codi by hiro
三姉弟の真ん中にあって、彼は自分の出番が来る事を待ちわびているようでした。
そしてお待たせしたと伝えた瞬間、彼からは何か闘志のようなやる気をメラメラと感じました。
照れは隠せませんでいました。
実際にソロ撮影が始まってみるとそのやる気とは裏腹に複雑な感情が表に出さずにはいられません。
闘志と緊張が混ざった表情から笑みは多くありませんでした。
それでも必死に応えようとしてくれる彼の心の中には撮られたい気持ちと、この撮影場所への期待が込められているようでした。
この場所で撮るには理由がありました。
このご家族が所沢店に撮影にきてくれるのは今回で7回目。
彼がまだ赤ちゃんの頃からのお客様です。
私が所沢店で店長を勤めるようになったのは今年の1月からですから、このご家族は私なんかよりずっと前から所沢店の事を
よく知ってくれています。
彼のママさんから確認電話をもらった時、慣れ親しんだ所沢店での撮影を楽しいにしてくれているようでしたが
「ひとつだけ・・・」といってご要望をおっしゃってくれました。
それは「この場所(ガレージ)で撮りたい」というものでした。
撮りたい場所があるというご要望はよくある事ではあります。
もちろん可能な限りそれには応えたいとおもってはいますが、当日の状況や被写体である彼らとの兼ね合いもあるので
「可能な限り」という域を脱する事は困難です。
でも今回は少し事情が違いました。
ママさんから聞いたのは「7回目なんだけど、まだ撮った事がなくて」という言葉でした。
ガレージは小学生以上を対象とさせていただいているのもあって知らない方も多いかもしれません。
暗くてシビアな光を使用している事や、ひとつひとつのインテリアが大きい事、基本的には暗いことなど
写真の完成度や安全面などからそうさせていただいてますが、それにしても14歳のお姉ちゃんがいるこのご家族ならば
一度くらい経験していてもおかしくはないはずでしたが、行った事がないということでした。
ご来店いただいてからも、カウンセリングをさせていただきながら改めてガレージで撮りたいというご要望をきき
よくよく話しているとそれどころかガレージの存在自体今年になって知ったという事でした。
案内不足を申し訳ないなと思うと同時にこのガレージという撮影対象が限定的な場所をどのように宣伝すればいいのか
わからない無力感を感じながら特にどのように撮りたいのかを入念にインタビューすることにしました。
最初は、ガレージの車やドラムでカッコよく撮りたい!というご要望にとどまっていました。
しかし話を深めていうちにそれは姉と弟に挟まれた長男という存在を、子供でしかなかった長男を
明るく笑顔の写真を撮ってきた長男の違った側面を表現してほしい。
そのように聞こえてきたような気がしました。
それは対話を深める事によって
この場所で撮りたい=車やドラムで撮りたい
だけではなく
この場所で撮りたい=彼の新しい一面を見つけたい
という方に視点が変化していきました。
そのように規定をするならば、車やドラムといったインテリアは目的ではなく手段として
使用する事ができるようになります。
もし車やドラムで撮る事が目的になっていれば、ただ車に乗っかっているだけの彼やドラムを叩いているだけの彼を撮ったでしょう。
彼の新しい一面を見つけるための手段としてのガレージ。
そう規定したならば私はそのために技術を結集するのみです。
光を探します。
冬の昼下がりの西日は毎年私たちの撮影に楽しみを加えてくれます。
使用する事に決めました。
使い方はいろいろあります。順光でこのようにとってもいいし、逆光で神秘的に撮る事もできます。
今回は、彼の情熱と緊張の混ざった瞬間を撮るためには順光のドラマ感を選択しました。
あえて顔の部分に光を当てなかった理由も同様に、彼の緊張を表現するには明るすぎないほうがいいという判断です。
表情が隠れている事も同様です。
背後に佇むドラムセットは、光が届かないことでどこかのプロモーションビデオ風になりました。かね?汗
世界が終わるまでは〜的な。
正直、彼の新しい一面を見つける事ができたかどうかはわかりません。
でもこうして撮影をしていく事が「被写体を深く見る」ことだと思っていますし
「写真を通して関係を作る」という意味だとおもっています。
PS:ちゃんと車やドラムを使用した写真も撮りましたよ。
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