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京都桂店
JIVE!! with your Studium and Punctum.HIRO〜from P.O.P〜
投稿日:2017/8/28
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TOKOROZAWA 写真プロジェクト
P.O.P
~Prove Our Photophilosophy~
photo & write by VOLVO
題名にあるステディウムとプンクトゥムは、現在写真人文学サークルで教本として使用している
本の中にある言葉で、いわゆる専門用語というやつです。
専門用語と聞くと、本を読んでいない人にはわからないものという認識がされるかもしれないが
この二つの概念は私たちの撮影にとんでもなく深く関係している言葉であり、むしろこの言葉を
知らなくても日常的に撮影でこの二つの概念を取り入れながら撮影していると思っています。
今回のPOPの主題は「被写体にゆかりのあるステディウムを再構成してプンクトゥムを生む写真を撮ろう」というものです。
専門用語を知らないとなんのこっちゃになってしまうので、簡単に説明も入れさせていただきたいと思います。
この二つの単語について端的に説明をしているブログがあります。
サークルを主導している工藤さんの「写真人文学: プンクトゥムとストゥディウム①」です。
ここからこのふたつの単語の説明を抜粋させていただくと
ステディウム:記号化されたようなシンプルなものや認識しやすいもの、説明可能なもの
プンクトゥム:写真を見た瞬間に感じるまるで胸の痛みを覚えるような、自分の中の何かを揺さぶるような感覚
この説明をもとに少しだけ具体的な例を付け加えてみると、ステディウムとは簡単に言うと写真を構成する要素
例えば光、構図、写っているもの、関係性などです。
一方でプンクトゥムは、例えばモニターに流れる子供の満面の笑顔を見て母親だけが感じる特別な感情や
妹を抱えながら焼け野原を見つめている兄の姿を捉えた戦争の写真を見たときの悲しさともなんとも言えない感情などです。
この説明を踏まえた上で、もう一度今回の主題を整理すると
「被写体にゆかりのある構成要素を再構成して被写体である彼がその写真を見たときにまるで自分の胸に痛みを覚えるような写真を撮ろう」
というものです。
こうすると少しわかりやすいでしょうか?
では次に、実際にこのプロジェクトを進行するにあたってどのような方法が合っているのか?
これは端的に決めました。
被写体であるヒロにとって、人生の中で重要な要素を4つ出してもらい、各カメラマンが1つを選択し、それについてインタビューをする。
そして集めた情報をもとに撮影を行う。という事にしました。
私は「ヒロとベース」という主題に決定しました。
先日のライフバンドでの活躍は記憶に新しいと思います。
正直な話をすると、これまで私はヒロという人間を色眼鏡で見ていたのかもしれないと今回インタビューをして気付かされました。
人は自分のアンテナで受信した情報を基に相手を判断しますが、私のアンテナはいつも偏った電波しか受信ができないようで
相手の事を自分の偏った情報の中で断定してしまう癖があるようです。
その固定観念を崩してくれたのはベースを通して話した内容でした。
最初、器用でなんでもできる彼がなぜベースを選択したのかが気になりました。
私の思うヒロは少し目立ちたがりな面があると思っていたので、ギターやボーカルの方が彼らしいのではないかなと
思っていたのですが、彼から帰ってきた答えは
「当時のバンドでベースやる人がいなかったから」というなんとも軽い答えでした。
まあこのエピソードも周りに合わせる彼らしい話なのですが、私はこの時、ベースが果たして
胸を刺すような感覚を生むための構成要素の役割を担う事ができるのかどうか不安になったのは事実でした(笑)
しかし、話を続けていくにつれて私は自分の色眼鏡を見直さなくてはならない言葉が出てきました。
ただ余っていたからベースをやって、なぜそこまでしてベースを長い期間続けたのかが私は気になりました。
例えばギターをずーっと続けている人の理由は本当に大好きだからです。
私がライフスタジオにい続けるのにも理由があります。
私は自分の生き方を変えたくてここにい続けています。
だから失礼だなとは思いつつも率直に聞いてみました。
「ベースをやる理由は何?」と。
ヒロは言いました。
「人と一緒に何かを作れるという事がやっている一番の理由です。だからベースそのものが重要なのではないし、楽器は正直なんでもよかったんです。」
それを聞いた瞬間に私のかけていた色眼鏡のレンズはパコンとはずれました。
それと同時に誰かと何かを成したい・・・この言葉をヒロから聞けた事に私は勝手に嬉しくなってしまいました。
そしてその言葉をもらって私が構成要素の主軸にしようと決定したのが「ベースを用いて人と関係を作ろうとする姿」です。
だからまずはモノクロを基調としようと決定しました。理由は色は余計な感情を生むというのと、人と関係を作る過程という意味での
ちょっとした寂しさを表現したいと思ったからです。
今回撮影場所として選んだヒロの家は、それ自体に彼にとって思い入れがたくさんあります。
バンドマンとして思い入れがあるとしたら、家はいわば練習場であるという点です。
この部屋で練習をした成果が仲間と合わせた時の糧となり、共に成し遂げる原動力となると思ったら
この部屋で練習をしていた風景や、うまくいかなかった時の苦悩、できた時の高揚感などが部屋と共に写真の中に入れる事が
できたらいいなと思いました。
ベースを始めたのもこの家に住み始めたのも4年ほど前と言っていたので
このアパートの歴史とベースの歴史が重なっているようにも見えました。
最後に質問をしました。
「写真でも共に成し遂げるという事が叶いそうかい?」
ヒロは答えました。
「そうですね。できそうな気がします」
私の眼鏡の色が変わったせいでしょうか。この言葉に妙に信ぴょう性を感じました。
これからまた、よろしく。
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