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京都桂店
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P.O.P 〜RE:constitute your AURA〜Yoko Moriya

投稿日:2017/6/23

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TOKOROZAWA 写真プロジェクト

P.O.P
〜Prove Our Photophilosophy〜

photo & write by VOLVO

 
 

まだ風が冷たい頃、彼女はやってきました。
いや、正確に言うと彼女は何十年も前からこの地にいたので、風が冷たい頃にやってきたのは私の方かもしれません。

 

所沢に関してはようちゃんが大先輩です。
美味しいご飯屋さんを聞けば8秒で返答がきます。
武蔵野うどんのお店は最早所沢店行きつけのお店になっていて
最近ではようちゃんが休みでいない時でも通っています。

 

私ももう何度も通っていますが、そこの看板メニューが
あまりにも魅力がありすぎて私はいつもそれしか頼みません。
同じものしか頼まない為、武蔵野うどんに行くたびにみんなからは冒険心のない人だと総ツッコミを受けます。

 

「見飽きた毎日からの脱出」というこの会社のスローガンとは
正反対の選択をしているなと真面目に感じる瞬間でもあります。

しかしこんな小さなことでも実はそう思うことは多々あります。

もう一年以上も前になりますが、私はライフスタジオを辞めようかと考えてた時期がありました。
ライフスタジオで言われているスローガンは他にもたくさんありますが、理想的でありながらも
私が自ら実践することができないのではないかと思い始めたからです。

私が自分の性質をひとことで規定するなら「人を好きになりたいけど人を好きになりきれない人」です。
ライフスタジオに入ってからずっとこのジレンマに挑戦し続けました。
それが1年ほど前に一度限界を迎えたのです。

ではなぜ今またこうしてライフスタジオにいつづけ店長までやっているのかといえば
自信に満ち溢れたような答えを見せることはできませんが、ただ言えるのは残りの人生において
「人を好きになりたいけど人を好きになれない人」自分を
「人が嫌いだし人を好きになりたいとも思わない人」に確定して人生を終わりたくなかったからです。

私たちは哲学で「事物は常に変化する」ということを学びました。
自分の可能性に過度な期待はしていませんが、これくらいの望みなんとかならんのかと思いつつ結局今も挑戦し続けています。

 


失礼かもしれませんが、ようちゃんと初めて会った瞬間、何だか他人ではないような匂いがしました。
私と同じスタートラインにいるような・・・そんな印象でした。
初めて会ったのは飲み会だったでしょうか。
草加店に配属されたようちゃんを連れて草加店店長の鈴木くんと一緒にお酒を飲んだのが始まりでした。
鈴木くんが言った第一声「この子頭固いんすよ」が私に強烈な固定概念を確かに生みましたが
その後所沢店に異動したようちゃんと共に過ごしながらたしかにそんな部分が見えなくもない印象でした。

ようちゃんはよく「スーパーサラリーマン」と冗談交じりに自分のことを揶揄します。
おそらく「上司の命令とあれば自分の意思とは関係なくやります」という意味だとは思いますが
それ自体は悪いことではないと思います。実際にひとつの会社で生きていく上でそのようなシーンはいくらでもあります。

しかし私から見て少し違和感を感じたのは
この「スーパーサラリーマン」体質がようちゃんが元々そのような性質なのではなく
これまでの社会経験の過程が彼女をそうさせているだけなのではないか?と感じた瞬間があったからです。

ある日、彼女が体調不良で休むかどうか決定しなければならない時がありました。
仲間は皆休んだ方がいいと伝えましたが、彼女は休む事をとても拒みました。
何か自分の中の固定観念を捨てきれない瞬間ではないかと思いました。


結局休んでもらうことになりました。
後日、なぜそんなに休む事に抵抗があったのか話す機会があったのですが、
彼女が言ったのは「仕事とはそういうものだと思って今まで仕事をしてきた」という言葉でした。
さらに彼女は続けました。「上司から休みを勧められることがあまりなかったから、こんなに休みを勧められるとは思わなかった」

体調(自分自身)と仕事を天秤にかけた時にどのような選択をするかはその人、あるいはその会社の価値観を表すと思っています。
それがようちゃんが今まで感じてきたものとここで感じるものが違ったのだと思います。



ある時こんなこともありました。
たくみがたまたま衣装を片付け忘れたのを私とようちゃん二人で同時に見つけてしまい、その衣装をどう処理するか会話をしました。
そこでたくみには言わず自分でかたそうとしていたようちゃんに私は思わず「たくみに持って行って」と言ったら
ようちゃんは「言わなくても自分で片付ければ済むのに」というような表情をうかべながらとても嫌そうでした(笑)

 

ここでようちゃんがたくみに伝えるのを嫌がった理由を私は痛いほどわかります。
結局は「嫌われたくない」のです。私もそうだったからです。


しかしこれも結局は言いたい事を言うと嫌われる環境がようちゃんを取り巻いていたからではないかと思っています。
ライフスタジオはそのような会社ではないですし、むしろ自分を出さない方が異色に見えてしまいます。

伝えて荒波を立てるようなら何も言わず自分でなんとかした方がいい。
この行為は人の二面性を生むことがあります。
荒波を立てずにやり過ごしても相手に対する感想は無くならないため、波は立たずとも距離は離れるからです。
私は痛いほどこの経験がありました。我慢し続けた結果、自分がいつの間にか人と距離を取ってしまっていたのです。

 

人は常に2つの対立物の間で悩みます。
大きく分類すると大抵のことは「自由か不自由か」で分けることができるとおもっています。
例えばコンビニが家の近くにあることはいつでも食べ物が手に入る自由があるという事ができますが
一方でつい買い物をコンビニで済ませてしまうという面から見ると体に悪影響をあたえたり
そもそもいつの間にかコンビニという狭い選択肢しかなくなっているという不自由と見ることもできます。
本当に自由なのはコンビニが近くにあるとかということではなく、全てを踏まえた上で自分が適切な判断ができるかどうかです。

誰かに自分の意見を言うことは苦しい事だと私は思います。
しかしそれを避ける事は余計なストレスがかからないから自由に見えて
本当は人との関係の間に不自由を生むことかもしれません。

人の行動原理はその人の歴史によってつくられます。
コンビニで必ずチョコを買ってしまう人は幼少期にお菓子を買ってもらえない環境で育っていたり
写真を撮られるのが嫌いな人は自分が写ることに何かしらのトラウマがあることが多いです。
「人が好きな人」も「人が好きになれない人」も同様で、自分の生きてきた時間の中にそうなる要素が含まれています。
偉そうに言いながら私もまだこのジレンマと戦い続けています。

 

この写真では彼女の「素」というよりは今日まで生きてきた「証」を撮りたいと思いました。

 

街で知り合いが誰もいない時、彼女はどんな顔をしているのだろう?

人の目を気にしなくて良い時、彼女はどんな行動をするのだろう?

ライフスタジオに入ってからの彼女ではなく、シカクい頭がマルくなる前の、シカクいままの彼女。
私たちがほんの少ししか知らない今日までのようちゃん・・・


最近、風がだいぶ暖かくなってきました。
下山口も半袖で通勤ができる時期になりました。
それと同時に、ようちゃんを取り巻く風向きもなにやら変わってきたように感じます。
冬から夏に変わろうかと言う時期、暖かい風が彼女から吹いてきています。

 

ようちゃんは、変わろうとしています。

 

P.O.P ~RE:constitute your AURA~Yoko Moriya “AFTER”へ続く

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美しさを表現し、思い出を記録する、楽しい遊びの空間

人生の写真館ライフスタジオという名前に込めた想い。
それは、出会う全ての人が生きている証を確認できる場所になること。
家族の絆とかけがえのない愛の形を実感できる場所として、
人を、人生を写しています。

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