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京都桂店
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あなたに似合う写真

投稿日:2017/2/28

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tokorozawa photo

 

photo by volvo

codi by kaori 

write by volvo

 

 

ずっと、この写真が撮れないでいました。

何度か、試みようとした事もありました。

しかし、結局この写真を撮るまで試みる事はできませんでした。

 

この写真を撮りたいと初めて思った時から1年以上が経ってしまいました。

 

私はセンスが無く写真を撮るために客観を取り入れなければ

撮る事ができないため、常に新しいものを取り入れる作業をしていますが

その中で目に止まり撮ってみたいという欲が出た一枚をすぐに実践しようと考えていました。

 

それは「決まりごとから抜け出し、外へと自らを表現しようとする背中」のイメージでした。

 

そんなに難しいポーズでも無いし、難しい技術が必要なわけでもないため

その時はすぐにできると思っていました。

だからまさか1年以上も撮る事ができないなんて考えもしませんでした。。

もしかしたら上手くやれば撮れる機会もあったのかもしれませんが、私の能力ではピンときませんでした。

 

やってみて上手くいかなかったならまだしも、試みることさえもできなかったのがなぜなのか

今になって冷静に考えてみると、ポイントになるのはまた統一感の話になってしまうのですが

もう少し直接的に表現するならば『似合わない』から撮らなかったのだと思います。

書いていて確信しました。そうみたいです。

試みようとしても結局シャッターを切らなかった一番の理由は「似合わない」からです。

被写体は皆、体格も違えば性格も違うので、撮りたいものがあるからと言って被写体である子供達がそのように当てはまるわけがありません。

 

これは内容と形式の関係性で示すことができます。

例えば夕ご飯をラーメンと決定したらそこから使用するお皿を深さのあるものに決定するように

形式よりも内容が先立ちます。

写真においてもまず被写体がどのような人か?が決定されてからポーズや構図などの形式が決定される事になります。

 

そう考えてみるとたとえ撮りたい写真があったとしてもそう簡単に試みることは出来ず

事前に準備をするという事にもある程度の制限がある事に気づきます。

彼が現れるまで実践することができなかったのは私が『撮りたい』写真と、唯一無二の存在である子供達が必ずしも

『リンク』するわけではないために二の足を踏み続けていた事が理由でした。

もし内容と形式の考え方が反対になっていれば、写真を撮る事はできてもきっとこのポーズが似合わない統一感の無い写真になっていたでしょう。

彼には彼の、ほかの人にはほかの人の「似合う写真」があります。

だからこの写真を撮るという事は、彼に出逢い、太陽がこのように存在するタイミングに脱ぎ散らかした前のシーンの衣装が

あり、撮られるのが苦手でカメラを見るのも恥ずかしいけど周りの要求に応え本当はうまくやりたい気持ちがある彼の性格がリンクした事を意味します。

カメラが彼の視界から消えるいわゆる後ろを向いた瞬間、彼はこちらの要求に自然にのびのびと応えてくれる感じがしました。

だからこの写真のイメージが直感的に降り立ってきたのかもしれません。

 

同じ店舗の工藤さんはこの写真を見て「写実的である」と表現しました。

私が表現したかった「決まりごとから抜け出し、外へと自らを表現しようとする背中」のイメージが

表現されているのだとその言葉を聞いて感じました。

 

左右の縦の柱が作る遠近感は写真館とは思えないほどついていて

この場所には彼以外存在しないのだと思わせるのには十分な距離ですし

副主体である左下の衣服は「もう建前は終わりだ」と言わんばかりの

脱ぎ捨てぶり。年齢的な背丈は手を上に伸ばして隙間を埋める理想的な高さ。

この年齢の男子特有の細身の体型と、室内の電気を全て消し外からの逆光を

体に巻きつかせ出来上がる明暗差、そして右側にある開けきらない古めの窓の質感。

これにより現実的で写実的な側面を表し、これらがこの写真が彼でなければならなかった根拠となります。

 

自分の中に用意されたイメージを実際の写真で表現する事を「形象化」と言いますが

形象化の本質的な意味はただの「イメージの具現化」ではなく、用意したイメージと実際に被写体となる子どもたちは別人である事を認識し

「その子」専用に再構築し妥当な空間へと変貌させる事であり、形象しなければいけないのは構図や光など目に見えるもの

だけではなく被写体もその写真に妥当な状態へと誘う事を含めて「形象化」すると言えるのだとおもいます。

 

だから私は、彼を待っていました。

 

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