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『人生の写真館』たる所以
投稿日:2016/11/13
1984 0
photo by ouchi
Write. By Volvo
出産ラッシュだ。
私の知る限りここ1、2年で6人は出産を迎えている。
「人生の写真館」とはよく言ったものだが、スタッフが自らの幸せを叶えられる職場であるというのは個人的には理想的だと思っている。
今はまだ道半ばだが、この会社が会社に関わる全ての人が幸せになれる環境にできたらいいなと思う。
彼らもまた、そんな会社で幸せを見つけることができた素敵な例であり、良く手に入れたと称賛したい気持ちでいっぱいだ。
なぜなら職場恋愛というのは気を使うものだろうという勝手な先入観が私にはあったからだ。
前職で私が目の当たりにした職場恋愛はそれは難しそうにしていた記憶がある。
周りは噂をし直接本人に何かをいう事はなく、当人達は申し訳なさそうに事実を隠す。
皆周知の事実なのだからオープンに話せばいいのにと思いつつも、もし自分だったらそのようにできるかわからない。
ところが、写真の彼らは違った。
明るくオープンにするわけでもなく隠すわけでもなく、気づいたら周りが知っていたというようなごく自然な雰囲気はスー(男性)の静かな男気を持つ性格が実現させていると思うし、
ナカジ(女性)もタイプは違うがオープンな性格で、先日寿退社をしたがこうしてまた
前の職場に赴き関係を求める事は普通に見えるが一般的にはあまり見ない光景であり、素敵な観点をもっている。
店舗運営に悩み、涙ながらに話し合った日々がこの写真を見ると懐かしく思い出させる。
書いていて思ったが、2人はタイプが全然違う。
その違いが最も現れているのがこの一枚だ。
前置きが長くなったが、この一枚にはそうした会社との関係性、そしてこの2人の関係性が調和された写真だと感じた為、文章を書かせていただいた。書きたくなったという言葉が正しいと思う。
この写真を私なりにひとことでまとめるならば
「大内(カメラマン)スタイルとマイワールドが抑えられないスー、そしてどっちも好きなナカジ」
だ。
大内さんの写真の特徴は私は個人的に「ライン」だと思っている。
もちろん光の幻想感や被写体への集中力など良い特徴はたくさんあるが、他のカメラマンとの違いは何かと聞かれたら私はラインだと答える。
ラインという言葉には様々ある。
写真を構成する縦横のライン、被写体の曲線美、被写体同士が作る造形など。
大内さんの写真にはそれらのラインをスッキリとさせる整理がされている為
見ていて気持ちが良く違和感がない。
スーのマイワールドに押された撮影だと言っていたが、この写真にはそれを大内さんの世界観で包み込んだ印象を私は感じている。
特にラインが強調されているのはトリミングだ。
窓の縦横ラインは傾く事がない為まずそれだけで写真がスッキリと見る事ができる。
後は右側に配置されている主役達との調和だが、それはナカジの手足を圧縮トリミングする事で調節がされている。
圧縮トリミングが違和感なく見える条件は「余分な構成要素が生まれないでかつ自然である」合格ラインを満たす事だ。
例えばナカジの足が見えるようにトリミングをすると2人が立っている青い床の下の部分が見える事になり、
窓の下に映らなくてもいい余分な要素が生まれる。
また、ナカジの頭部が全て見えるようにした場合、同じように窓の上部が映り余分さが生まれ被写体への集中力が下がる。
では、逆にもっとトリミングしたらどうだろうか。
これもまた不自然さを生む。
青い床が見えなくなったらどこに立ってるかわからないし、窓の上部にある横線(わかりにくいですが)
が無くなると窓単体としてのバランスを失う。
それは主役であるナカジを主役でありながらインテリアの一部としても見ている状態、いわゆる背景と融合している状態だ。
これは見方を変えるとシャッターを押す時の視点の話になる。
インテリアとの融合とは、シャッターを押す瞬間にインテリアと被写体を同時に見て
「腑に落ちた」瞬間に決定される。
つまり、この写真が撮られたという事は大内さんの中にバランスをとる為の基礎的な技術と観点が備わっている
から彼女の「腑に落ちた」瞬間が適正な判断となるのだと思う。
ナカジ個人の女性としてのラインは彼女の長身を生かした大内さんの得意なポージングをさせる事で問題なく生み出す事ができるため多くは記述しないが、美しさの基礎的要素だ。
しかし、この写真のコアになる部分は「それらの構成要素を使ってこの2人をどう写すか」にかかっている。
その部分はスーのマイワールドが担当している。
座る事が誰の発案かはわからないがこうする事で2人で「人」の字が作られ、窓と左右対称の質量を生み出す。
そしてこの写真をパッと見たときに最も目を引く「スーの表情」は彼の世界観であり、この写真のタイトルを決定づけるものになるだろう。
この顔をした瞬間、スーは「この一枚だけは主役は自分だ」と思ったんじゃないだろうか(笑)
写真を撮る上でいろんな人の意図が含まれるというのは、ぶつかり合う事もあるかもしれないがこの一枚は全てが上手く融合しているのだ。
「人生の写真館」という言葉は、ただ被写体の人生を記録するという意味合いだけには留まらないと考えている。
被写体と撮影者、それぞれがこの一枚のシャッターを押すまでに生きてきた人生があり、お互いの人生同士が写真の構成要素となって融合し現れる事。
それが「人生の写真館」たる所以ではないかと私は思う。
「大内スタイルとマイワールドが抑えられないスー、そしてどっちも好きなナカジ」
3つが融合したこの写真を生まれてきた子供が見た時の第一声が気になるところだ。
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