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越谷店
10月主題
投稿日:2012/11/5
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「なぜ、今消費税増税なのか」
2012年8月10日の参議院可決を受けて、同8月22日に公布された消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案。
これに伴い、現在5%の消費税率が2014年4月に8%、翌2015年10月に10%まで引き上げられることになりました。
今になって一連の法案成立に至るまでの経緯を振り返ると、当時に私が感じた印象は「なんだか、おかしなことになってるぞ?」というものでした。
ニュースに報道されている内容を見る限り、そこには政策の論議よりも、政局争いという側面ばかりが目に映ってくるように感じられたからです。
消費税をなんのために上げるのか、といった論議は大雑把にしか伝えられず、やれ、解散総選挙と引き換えだの、離反して新規政党を立ち上げたほうが有利だの、不利だの。
もっぱら、各政党や所属議員の腹の探り合いの様子を見ているようで、一国民の立場からすると、明らかに違和感を持たずにはいられませんでした。
もっとも、こうした動きは今に始まったことではなく、これまでも大きな政策決定が行われる際にはよく見られた光景です。
小泉政権時の郵政民営化法案のときに見た異様な光景はまだ記憶に新しいことと思います。
今回一連の騒動でも、テレビの報道や、新聞などの主要メディアの報道の多くが、政策そのものの内容や分析よりも、政局の駆け引きや、各勢力の思惑といったものに偏っていたように感じました。
さらにはこうした政局についての論争が、各メディアの客観的な視点から報じられるならまだしも、当事者である国会議員自身の口から堂々とそうしたコメントが出てくるということも、もはや当たり前のことになってしまっているように感じます。
今となっては、そうした言動に特に批判の声が上がることもなく、こうしたことが今の日本の政治観のモラルの質を物語っているのではないでしょうか。
なぜ今、消費税増税なのか
この問について考えるには、大きく分けて2つの観点からの見方があると思います。
ひとつは純粋な政策としての見方。
増税という政策が日本に与える影響がどのようなものかという観点。
さらに細かく分けると、経済的な側面と、道徳的な側面という観点に至るのではないでしょうか。
まずは、道徳的側面から。
これは、消費税という税制のもつ性質が、その論議の中核となります。
いわゆる、「逆累進性」に対する議論です。
消費税はあらゆる消費行為にかかる税金であるがゆえに、所得の多い人と、そうでない人の間に格差が生じるのではないかというものです。
所得の少ない人はその所得の多くの割合を消費に回す必要があり、所得全体にかかる課税の比率が、所得の多い人よりも高くなるというのがこの根拠です。
また、株投資を始めとする金融投資には消費税は課せられないため、そうした資産運用に所得を回す余裕がない人は、ここでも不利な立場にあると言えます。
次に経済的側面。
この議論は非常に専門的且つ複雑な問題であり、その全てを把握すること自体難しいでしょう。
しかし、単純化してみれば、景気と国家の財源という点に集約されます。
そもそも、なぜ増税が行われなければならないのかという理由は、国家の財源の確保のためです。
そして、国家の収入を増やすための条件はただ2つ。ひとつは増税、そしてもうひとつは景気の上昇です。
すなわち、ここでの主たる論争は、景気回復が先か、増税が先かという点に主に注がれます。
増税反対派の意見の多くは、消費税の増税によって景気の低迷がさらに促進され、現時点で政府が予測する税収入をはるかに下回るだろうとしています。
結果として、国民への負担だけが増え、財政の解決には繋がらないという立場が主要です。
これは、全ての消費活動に対する税負担の増加のため、買い控えがおこり、経済がさらに低迷するだろうという見方がその根拠になっています。
従って、必要なのは景気回復であり、今はそこに力をそそぐべきであるというのが反対派の主要な意見です。
あるいは、消費活動に直接的に影響を与えるような税制ではなく、それ以外のところからの税収入の確保や、財源の無駄遣いの解消を先行させるべきだという主張が見られます。
そして、私個人としても、こうした主張に同意する立場です。
こうした政策としての観点からをさらに深く詮索することは可能ですが、私の興味はどちらかというと、もう一つの観点、政局としての観点に注がれています。
ここで消費税にまつわる過去の流れを簡単に見てみたいと思います。
1988年 自民党竹下内閣時に消費税法が成立 税率3%で施行される
1989年 竹下内閣は退陣。次いで宇野内閣は、消費税廃止を公約した社会党の躍進により退陣。
1994年 村山内閣(社会、自民、さきがけ連立)は消費税率を5%へ引き上げる法案を成立。
1995年 衆議院選挙において社会党は大敗。
1996年 村山首相退陣。橋本政権発足。
1997年 橋本内閣は消費税5%への引き上げを実施。これにより、景気が悪化。結果として税収も悪化した。
1998年 衆議院議員選挙において自民党は議席を激減させ、橋本首相退陣。
2009年 民主党は「4年間は消費税を引き上げない」という公約を基に衆議院選挙で圧勝。民主党政権発足。
2012年 野田政権において税率10%までの引き上げが決定。
これを見る限り、消費税の導入や増税を行った内閣、そればかりか増税を匂わせただけの内閣ですら、退陣を余儀なくされ、さらには政権交代までも起こすに至るケースも見られます。
言わば、消費税増税は内閣の自爆スイッチと言っても過言ではありません。
さらには過去の増税において、それが直接財源の確保に繋がっていないということも注目すべき点です。
そこで、今回のケースを見てみると、野田政権が消費税増税を本格的に打ち出す以前から、民主党政権の支持率は低下傾向にあり、次の選挙が決して安泰ではないという流れにありました。
そうした中で、なぜ、あえて自爆スイッチを押すような真似をしたのか。
これではまるで、次期政権の維持の放棄とも見える行為であり、政権維持と引き換えのイタチの最後っ屁のようなものでした。
そこまでして、消費税を増税しなくてはならない理由は何か。
消費税が必ず税収入の確保に繋がるという確証がことは、過去の事例からも明らかです。
それでも尚、強引に法案成立にこじつけたのはなぜなのか。
まさしく、「なぜ今、消費税増税なのか?」
当時の私が感じた違和感はこの疑問から来るものでした。
そもそもどうして消費税増税という話が度々上がってくるのか。
そして当時のテレビや新聞などの主要メディアの論調も、とても曖昧なものだったということも、この疑問に拍車をかける一因です。
どのメディアも増税に賛成とも反対ともどっちつかずな反応であり、どちらかというと消極的賛成意見が多かったように思います。
つまり、財政再建のためには止むを得ない、という論調であり、それとは別に野田首相の決定力は支持する、などといった、どことなく煮え切らない態度が多い一方、真っ向から反対姿勢を示すようなことはあまり見られませんでした。
また、かつては消費税増税に反対の立場をとっていた経団連も、いつの間にか消費税増税に歩調を合わせるような姿勢に変わってきました。
一方で、ネット上では明らかに反対意見のほうが強く見られます。
前述の景気低迷と消費税との関連に触れ、かなり強い論調で激しく反対する意見を数多く目にします。
このような差がどうして起こるのか。
今のところ、こうした違和感を解消させるだけの根拠はほとんど見つけることができません。
ただひとつ、ある絶望的な可能性が私の疑問をうまく説明しています。
消費税には先述した逆累進性の解消のために、一部、食品などの生活必需品への税率を下げる、あるいは非課税にするといった可能性を含んでいます。
いわゆる軽減税率です。
現在でも家賃などは消費税の対象外であり、今後、そうした多段階税率にまつわる話し合いがでてくる可能性があります。
すなわち、こうした免税対象となった業界は、消費税という足かせを外される可能性を秘めているということになります。
当然、自分の業界がその対象になることを求める動きが出てくるでしょう。
こうした動きは、うがった見方をすれば、それが政治の利権を生み出す余地になるということです。
こうした見方によると、財務省、政治家、経団連、大手マスコミ、これら全てにその利権が回ってきます。
残念なことに、いまのところ一連の流れのなかで私が感じた疑問をもっともうまく説明しているのがこの説であるというのが現状です。
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