Photogenic
青山店
お母さんにお願い。
投稿日:2024/4/28
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photo:tokumasu
codiとkaitahito:gomei
「お母さんにリップを塗ってもらって完成にしましょう」
この提案から撮影が始まりました。
提案の意図を考える
気にかけなければなんともない提案として進んでいくであろう提案ですが、少し立ち戻ってその意図を考えてみると、この写真を取り巻く環境がいつもとは変わって見えてくるかもしれません。
- 親の施し
七五三の化粧は、3歳の女の子にとって成長の証とも言えます。特にお母さんが最後の仕上げを施すことで、親の愛情表現として設定したのだと考えます。
- 撮影者の撮影のスタンス
写真を通じて感じてもらいたいのは、“あえて”行うことで生まれる特別な瞬間だと感じました。
その瞬間には、家族の絆や愛情が深く感じられることを伝えたいと考えているカメラマンの姿勢が垣間見えます。
また家族のライフイベントとして七五三を捉えることで、家族の絆や愛情が写真から溢れ出てくるように願っているようにも感じます。
少し詩的に言うと、この特別な瞬間に家族が一つになる感動を伝えたいと考えているのではないかと思います。
撮影を一本の線で見たときに、点になりうる出来事を置いていくことで、写真にストーリー性を与える構成力を感じました。
この点が、写真に感動や物語性を与える大切な要素だと感じています。
余談ですが、体を大きく動かしながら撮影する私にはなかなかできないなと感じました(笑)
構成要素から考察
①光
やわらかい逆光を使用することで、被写体全体のトーンをある程度一定にできますので、包まれるような優しい愛情表現している様に感じます
また写真上部にふわっとしたボケがありますが、この写真では“やさしさ”として影響していると感じました。
②トリミング
かなり大胆に寄った写真に感じました。
トリミングは撮影者の最大と意図だといいますが、撮影の際に選択しなければならないことは、お母さんをどこまで入れるのかです。
もちろん顔や体を写すことができたと思いますが、手のみを写すことで、口紅を塗る仕草が強調され、この写真の象徴的な要素となっているのだと思います。
そう考えると、やはり親の愛情がテーマの様に私は感じとりました。
③シャッタータイミング
何度も絶妙といいますか、何と言いますか。
塗っている最中にも感じますし、塗り終わりにも感じます。
リップスティックが唇に触れているわけでもなく、お子様がカメラを見ているわけでもない。
これらの不思議な瞬間が1発勝負のドキュメント性を私は感じました。
なんだか少し見ている私も緊張してしまいそうな瞬間。
この瞬間を残すこともカメラマンの意図だといえると思います。
またこのドキュメント感を高めているのは、母のニットだと思いました。
着物などは淡い色味で揃えられている中、対比するような明るい色味が、その瞬間を際立たせている様に感じます。
と、私なりの考察といいますか、妄想といいますか…
私たちの仕事は一般的には子供写真という枠に収まっていますが、その内部を覗いてみると、実は非常に奥深い世界が広がっていると改めて感じました。
常に写真の向こう側にいる人々を意識し、その立場に立ってストーリーを構築していくことは、簡単なことではありませんが、カメラマンの使命でもあります。
ただし、相手は子供であり、その中にある未知の要素や驚きが、写真に生き生きとした魅力を与えてくれるのではないでしょうか。
どんなに計画を立てても、最後のピースを完璧にはめ込むことはできません。
それはコントロールできない何か、つまり子供の自然な表情や仕草によって完成される部分であるように感じます。
この写真が、撮影者やご家族、そして観る人々に幸せや感動を届けるように願っています。それが仕事の喜びであり、意味だと思います。
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