兄弟ならではのしぐさや表情は、その兄弟でしか出来ないものである。
面白い事に同じおもちゃ、同じ向き、同じポーズの指示を促したとしても、どの兄弟としても同じモノは無く、むしろこちらが予想だにしていなかった動きや表情をみせてくれる。それらの予期せぬ出来事は、時にこちらの意図を越えてより写真にストーリー性を与えてくれる。これが兄弟写真を撮影する上で、最も撮影者を夢中にさせてくれる魅力の一つだと思う。

この小さな兄妹も、このように私たちのイメージを越える深みを与えてくれた二人だった。
小さな兄にとよく笑う妹、それだけで既に十分な写真が撮れる被写体だったが、二人の関係を表す何かが必要だと感じた。スタジオで出会った時から見て感じられたのが、幼いながらに妹にたっぷり愛情を注ぐ兄の姿と素直な妹、特に兄の兄たる自覚を強く感じた。

イチゴのおもちゃで遊ばせながら様子を伺っていると、コーディネーターの二人でイチゴを食べてという指示に兄が取った行動は、妹の小さな手をつつみ込みながらイチゴを食べる様子だった。年齢的に、もっと大胆にイチゴを食べるのかと思ったが、予想を反した行動に驚いた。この小さな妹の手を包み込むというしぐさは、この兄妹でこの
兄ならでは関係性をありのままに表していると感じた。

photo byYuko coordi byShie