フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

アリス

投稿日:2017/12/27

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photo:iku / coordi:kazu / hairmake:saito





年の離れた3姉妹の真ん中に生まれた彼女。
彼女が支度中、11才になる姉は、3ヶ月の妹の面倒をお母さんのようによく見ていた。
ずっと末っ子として育ち、最近姉の立場になった彼女は、この姉妹の真ん中で、果たしてどんな性格で何が好きなのだろう。

 

 

水戸店にいらっしゃる美容担当の先生の仕事ぶりは、毎回想像の上を行く仕上がりを見せてくれ感動させられる。
古典柄の赤い着物に、クリクリの目、凹凸が深い日本人離れした彼女の魅力的な顔立ちを、今回もヘアメイクでバランスよくまとめてくれた。
その気持ちに応えるべく慎重に撮影していた。
そのため、着物の撮影では彼女の緊張もあり、私は彼女らしさを見つけることが難しくいた。
ただただ、日本人離れした彼女の魅力的な顔を着物とどうバランスよく撮影するかに集中した。

 

 

ドレスへチェンジし、メイクルームから出て来た彼女に私は度肝を抜かれた。
まだ掴めていない彼女の性格が「不思議」というワードとシンクロし、
凹凸が深い魅力的な顔、重めのボリュームのある髪、重めの髪飾り、赤いチーク
まさに「不思議の国のアリス」だと。

一緒に撮影に入ったかずくんにそのことを伝えると、これどうですか?あれどうですか?とどんどんイメージを提案してくれた。
これまでに見たことない姿に驚きを感じながらも、かずくんの新たな魅力を見つけることができ嬉しかった。
それから私の中では「アイデアバンク」のかずくんとして頼れる存在になっている。
被写体である彼女も、そんな私たちのイメージに寄り添うようにカメラの前に存在してくれた。
このドレスの写真は、被写体の彼女、美容さん、コーディネーター、カメラマン、みんなで作り上げた作品だ。








魅力とはなにか?

辞書には、人の心をひきつけて夢中にさせる力とある。
人間的魅力を持っている人に共通しているのは「単純な人ではない」ということではないだろうか。
つまり、引き出しを多く持ち、臨機応変にその場その場で一番適切な引き出しから、ベストな判断や対応を出来る人というのが、ある種の人間的魅力を持っている人ではないかと思う。

そして、喜怒哀楽を自分自身である程度コントロール出来るかどうかが人間的魅力を持っている人かどうかということなのだろうと思う。
何に喜ぶのか、どういう理由で喜ぶのかということが適切な人は、やはり人から魅力的な人間だと思われるだろう。

例えば、怒る時にはくだらないことで怒るのではなく、社会正義に照らして正しいかどうかを判断基準とし、何に対してどういうふうに怒るのかが、やはり人間的魅力を持つ人は全く違ってくる。興奮するような怒り方をする人はやっぱり魅力的ではなく、抑えるべきところは抑え、本当に怒るべきところに怒らねばならない。喜び方、怒り方、悲しみ方、楽しみ方が心から適切にできる人は、魅力があるというふうに言いきれると私は思う。そういうふうに魅力的になるには、そう単純なものではない。様々な困難や苦しみ、悩みを経験した人は痛みが分かり、人の痛みを自分の痛みとして捉えることができる。そのことこそが、人間的魅力を持つということに非常に関わっているとおもう。人の喜怒哀楽について、自分がそれをシェア出来る人、人の気持ちになって考え感じることが出来る人というのが、人から見て魅力的で素晴らしい人だというふうに思われるようになるのではないかと思う。






不思議な魅力を1枚の写真に構成する

実は彼女はうさぎとお茶を飲んでいる。その姿を前ぼかしで大きく隠すことで、見た人に想像させる。
温かく降り注ぐ夕日に照らされ、眩しさと、本当の姿を隠すという意味で、手前のカーテンで体を半分おおう。
ふわっとした髪に光が注ぎ、太陽の暑さにスカートをめくる被写体から出て来た仕草が一層の深みを出している。
そっとのぞかせた顔はしっかりと私たちの存在を確認している。
未知な部分をいくつも作ることで、この1枚の写真を見たときに想像せざるをえなくなり、不思議な魅力を持つ写真となる。





今回、撮影する過程で魅力とは何か考えるきっかけをもらえた。
被写体にあったヘアメイクを提供してくれた美容さんの技術。数ある技術の引き出しの中からベストなスタイルを選んでくれ、仕上げてくれた。子どものコンディションを見るだけでなく、コーディネーターとして写真を作り上げるアイデアを数多く提供してくれたアイデアバンクのかずくん。被写体として、不思議な魅力をカメラの前で放ち続けてくれた彼女。
水戸店で働き始めて1ヶ月を過ぎたときの、この出会いに感謝です。
私はこの撮影で、初めて水戸店のチームワークを感じた。
これからどんどん魅力的な写真が生まれるだろうとも確信している。

 

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