フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

『street scene』 新しい一歩

投稿日:2014/12/23

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photo by Ryo codi by Maimai  
 write by koba  /   in  YokohamaAoba 


「写真を撮ること」

一言で言ってしまえば、簡単な作業のように聞こえてしまいますが、
その中身は皆が口々に言うひとつひとつの構成要素がなければ一枚として成り立たない、なんとも難しく複雑なもののように思います。

だからこそ、1枚の表現、75枚の表現というものがどこまでも限りなく展開することが出来るのだと思います。

必要なものは技術でもあり知識でもあり、経験、人と人をつなぐ、引き付ける力、動かす力、視野の広さ、その中で養っていく感覚や自分のイメージ・・・何一つ欠けることは無く、一つに集中することは難しいものです。
全てはすべての要素に繋がっているからです。

ただイメージだけを持っていても技術や知識がなければ表現は出来ない、技術や知識だけを持ち合わせていても、人と人をつなぐ力、見る力、動かす力がなければその技術は生かされることは無く、目の前の大好きな人たちをどのようにその四角の中に表現したら「幸せの一枚」になるのかもわからない、人と人の感情の動きに敏感でつなぐ力や受け止める力があっても、技術や知識、
そしてイメージがなければ、その受け取ったものを表現することは出来ずに終わってしまうでしょう。

すべてをつなぐ力が必要であり、その重要さを気づき、築き上げながら、表現の新しい一歩を踏み出すためにも、常に、新しい視点で着手する必要があると考えます。

では、新しい視点とはどこを見るべきなのでしょうか。
それは「自分が当たり前と感じ見なくなったもの」にヒントがあるように思います。

何かに集中しているとどんどんと次の目的が表れてまた集中しての繰り返しですが、全ての基盤がある程度自分の中で「当たり前」だと認識されるようになったときに、
その部分の固定概念にこそ新しいヒントがかくれているのです。

自分が見ている表現の世界、培った知識、外の景色、何気ない日常、培って養ってきた「イメージ」。

持ってはいるけれどなぜ、それをスタジオで「表現」出来ないのかと言えば、その環境や現場への視点を変えることが出来なくなっているからだと思うのです。
新しい視点、一歩違う自分の立ち位置から見る世界。

スタジオという空間は狭く、時間も立てば見え方もだんだんと新しいものは見えずらくなっていきますが、その狭い空間にはまだまだ様々なヒントが隠れていて、一歩違う場所に立つだけで見える世界も変わってくるのです。

その「一歩」を実行するためにも、「イメージ」を具体的に考え、想像し、与えられたその空間でどのように表現が出来るのかを見て考えていく、「当たり前」だけれど「当たり前」になってしまっているがゆえに見なくなったものを「見る」作業が必要なのです。

そしてそこへ取り組むための、今まで培ってきたもの、足りないものを探りながらの作業、この作業が「新たな課題を生み出す一歩」になるのではないでしょうか。


横浜青葉店はとても広い空間です。
それでも日々撮影していれば見える世界は「当たり前の場所」となり新しいものが見えずらくなるので、「もっとなにか隠れているのでは」と試行錯誤し、悩みながらも新しい一歩を探します。

探す作業をやめてしまえば、きっとそれ以上の見え方はできなくなってしまい、限りない空間を限りのあるものにしてしまう恐れがあります。
それは限りない被写体の表現を限りあるものにしてしまう恐れとつながってきます。

狭い世界に広い視野の表現やイメージを当てはめ、具現化すること。そして世界を広げていく。

全体的な画として使われていなかったこの壁を使い、あたらしい「家族写真」と「イメージ」を融合した一枚。

離れた場所で、成長したそれぞれお互いがお互いの世界を作りながら、広げながらも、皆が一つで画として成り立つ「家族写真」。
「家族写真」という概念を超えながらも、「一枚の画」として表現したもの。
あの場所と外の世界を一致させることが出来、はじめましてと顔を合わせたすてきなご家族へのイメージとの一致、自らの技術や知識の一致、新しい視点を探る向上心の一致。
全てが当てはまって、この一枚が完成したのだと、思います。

この写真も、横に並ぶ写真も、すべてどの要素が欠けても出来なかったものでしょうし、一致させる力がなければ生み出されなかったものと考えます。

これからどこへ向かい、何がしたいのか。何を生み出したいのか、何を表現したいのか。自分たちはどうやって写真に取り組めばいいのか。

「再確認」と「新たな一歩」を提示して見せてくれたこの一枚、そして隣の一枚。

進むことの大切さを教えてくれたすべてのもに感謝しながら、私も歩みを止めてはいけないと感じました。

ありがとうございました。

 

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