フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

そこにあるもの

投稿日:2016/10/18

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at Kokubunji
photography:Yukari Shiiba
coordinator:Arisa Tansho
 
 
 写真とは現実にあるものを再定義するものである。
 
 彼女と出会ったのは約5年前。
一番上のお姉さんである彼女は昔から控えめに、そしてやさしく下の子達を見守るお姉ちゃん。
今回2年ぶりの再会でした。昔から変わらない部分と子供から少女に変化している部分を感じました。
それはどちらかというと目に見えない変化だったと思います。
それをどう表現したらいいのかと、それがお姉ちゃんの撮影に入る時の私の課題でした。
 
 いつも撮影では色々と悩みながら撮影します。
こうかなーやっぱりこっちかなーどんなものが被写体に似合うかを考えながら。
でもこの写真は彼女のソロの最後に皆がこの部屋を出て行って二人になって
ふと撮った一枚でした。
 
 今回の課題はこれだ!と意気込み、考えて行動して。
それが結果になることもあれば、ならないこともある。
そんな時にふと見つけるものがある。
あ、こんなところに落ちていたのかという感覚。
でもそれがすごくいいものだったりする。
 
 頭を振り絞っても出てこないもの。
逆に振り絞ろうとしているから出てこないのかもしれません。
暗い部屋に入ってくる落ちついた日差しと彼女を映し出す鏡。
ずっと撮影している場所なのに未だに新しい場所が見つかるという不思議。
 
 色々書きましたがこの時にしてもらったポーズや向きはすべて私が彼女にお願いして
やってもらったものになります。カメラマンならきっともっている
「あーーー!!!いい!!ちょっとまって!!」という瞬間。
その時にこっちの準備がいつも出来ていないといけないという事実もあります。
 
 作られているものと作られていないものの間。
完全に作ったわけではなく、完全なスナップでもない。
ライフスタジオには作られたインテリアがあります。
そして初対面だったり1年に一度しか会わない被写体。
関係性を作ってもそこには緊張感があると思います。
でもそれは悪いものではありません。
その緊張感が良い具合に写真に反映されることがあります。
その写真がこの写真だと思っています。
 
 準備と余裕。そしてどんな状況でもちょっと遊ぶこと。
それも大切なのではないかと思います。
 
 
 

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