
今回の写真では、表情だけではなく、自分の示したい表現を具現化するために、手に宿る要素にも重点を置いた。だけど、表情でも指先でもなく、僕がここで本当に残したかったもの、それを写真の中央に配置した。それは形のないもので、言葉にすることも難しいのだけれど、その、目に見えない何かを中央に配置するためには、縦ではなく、カメラを横に構えて、横の構図にした方がより自分の表現を反映できるのではないかと感じた。キャリアの少ない僕が、それでも自分のこれまでの経験や知識を搾り出して導いた、最大限の表現。
.
手元を見つめる伏し目がちなその瞳と、大切な自分のネックレス、それをつまむ、やわらかい曲線を描いた指先、その間にある何もない空間。だけどその空間から垣間見れる静かで安らかな流れ。
.
視線の優しさ、彼女の持つ優しさ。
言葉にするのならそういう言葉になるのだろうか。
.
それらを囲むのは、すらっと伸びる腕と、胸元まで流れる黒髪。ベージュのワンピース。黒い背景。彼女に当たる光は左から直角に当たるただの一方的な光。
.
どこにも決して華やかな要素はない。
ないのだけれど、地味だとかシンプルだという表現でも表せない何かを感じる。
.
あるのは、彼女から放たれる確固たる何か。
静止されたvitalityと表現してもいいのだろうか。
.
何も邪魔するもののないこの空間の中で、彼女だけが息を止めていて、それがとても静かで、だけど彼女の持つ優しい生命力・エネルギーを遠くに感じることもできる。
.
11歳という年齢だからこそできる表現方法だとも思うが、彼女が秘める内から出る美しさは、正面を見据えていなくとも充分過ぎるくらいに感じることができる。