フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

「その子」をきりとる

投稿日:2018/1/31

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photo by chappy
cordi by Ara-chan


# joy × joy × joy
(撮影の思い出)
出会った当初、彼は抱っこされながら僕と荒さんの方をじーっと凝視していた。パパさんママさん曰く、少し人見知りだと言う彼。

初めてのライフスタジオに期待と不安を秘めつつも、心配な様子で愛子を見守っているご両親。

ゆっくり、お子さんに合わせて撮ってくので大丈夫ですよ〜とカウンセリング中にお話ししてカメラの準備に取り掛かる。

その間衣装を提案してくれていた荒さん。

家族撮影から始めるといういつもの流れをご両親に伝え、お鏡チェックをして貰っている間に、パパママから離れた彼と仲良くなろうと荒さん十八番の積み木で一緒に遊んでいると、、、何と早速笑っているではないか。

「これはイケる!!」と荒さんと目を合わせ確信し、早速撮影を始めると、、、あれ、笑わない?

そこから様々な手を使うも、ニヒルな笑みを浮かべ、満面の笑顔を見せてくれないのだ。

最初に受けた積み木には最早見向きもしてくれない。
パパさん曰く、「ツボにハマると笑うんですけど結構変わりやすいんですよね〜」と。

1人撮影の時には、カメラに気づくとと顔を俯かせる。

(もしかして何かされてるのを感じ取って、それが気にくわないのかも)

誰かに何かをさせられる、というのは大人でも子供でも少なからず抵抗を覚えざるを得ない、、、僕自身もそこには強く共感する。

例え相手が赤子だとしても。

そう考えてから、こちらからアクションを起こす方法→彼自身が動きたくなるよう誘発する方法へとシフトしました。

その結果、彼の興味を惹け、且つ動作が生まれるモノを荒さんにセットしてもらうことで、その動きの瞬間を捉えることができた。

そんな「彼」と僕と荒さんの写真だった。


# photo × recipe
(撮影技術)
冬の新横浜は光の強弱が激しい時間が大体決まっている。

15時くらいからメインルーム【プライベートリゾート】に設置されているドレッサー側の窓から強い西日が差し込んでくる。

その光の量はもちろん天候によって変わるのだが、ホリゾントまで明るく照らす日も少なくはない。

キッズ位の背丈の子であればその前に立ったり、ドレッサーに座って逆光として使うことができる。

ただ赤子の場合はそれができないから扱いが難しいと僕は感じていた。

この撮影の時は、光がドレッサーより少し離れた位置まで届き、スポットライトのようにスタジオを照らしていた。

ちょうど彼が動いてくれるようになった頃合い、試すなら今だと思いママさんに抱っこで光の位置まで連れて行ってもらう。

彼が動くことを予測しシャッタースピードを上げる。
それと同時に白い床の照り返し、アッパーライトとなって彼に当たるその光量を見計らってISOを下げる。

以前であれば小さな年齢の子供の動きに翻弄される僕でした。ただ良い写真の基本【水平垂直】を保つことを念頭に置いていたので、焦らずシャッターを切ることができました。

# what makes you beautiful ??
(美しさの規定)
直前の文章でも上げた良い写真の基本、新横浜の先輩方に教えてもらった五箇条がある。
【ピント】【光】【トリミング】【水平垂直】【レンズ】だ。

この写真では、ピント・水平垂直はもちろん意識し、手足、頭が切れないようなトリミングも心がけた。

また彼に撮られているという圧迫感を与えないよう望遠レンズで狙うことも行った。

そして、今回特にこだわったのは光だ。

赤ちゃん=かわいい→明るい、柔らかい写真という印象が世間一般にあると思う。

しかし、撮影の思い出でも語ったが、彼は何かを強いられていることが好きではない、そう僕は感じた。

その時点で世間一般の可愛さに彼を収めるのは、彼らしさを失くすことと同意義なのではないか。

だからこそ光を絞り、ただ可愛いだけではない、彼の彼としての葛藤や気持ちがあることを表現したかった。

明るい部分が赤子らしい手足の輪郭を浮き出し、暗い部分が彼らしさを印象づける。

撮った写真を見て、自分が撮りたかった写真、自分の好きな写真に一歩近づけた気がした。

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ライフでのカメラマンとしての経験はまたまだ浅い僕ですが、その子を見て、その子の今を写真に映し出せるカメラマンになりたい。

その証として、お客様に求められるカメラマンを目指そうと思います。

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