フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
魅せる
投稿日:2018/1/31
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見えているものが全てではない。
「見えないものを写すこと」
写真にはそんな可能性があると思う。
私たちが普段目にしているものはなんだろうか。
人、建物、道路、車・・・
起きている間は常に視覚的情報を得ていることになり、
視覚的に捉えたものが「何であるか」は、見れば分かる。
しかし、いちいち見えているものに関して深く考えようとはしない。
知らない人とすれ違っても、特にその人のことは気にならないだろう。
どんな人であるか、何が好きなのか、どこへ向かうのか。
建物・道路・車など、人によって創造されたものに関しても、
誰が、いつ、どんな思いで、どのような過程で造られ使用されているのか、あまり考えることはないだろう。
興味の対象ではないと、見えていても見ていないのだ。
それでもやはり興味のあるものに関しては、
人は自ら「見よう」と思って視覚的媒体を利用している。
テレビや本、雑誌、動画、写真。
「見える」ということから「見る」という行為になり、自主的にしていることになる。
その「見る」ものに関しては誰かが見てもらおうと「見せている」ものである。
我々が商品として扱っている、写真に関してもそう言える。
ライフスタジオにいらっしゃるお客様は「自然な写真」を求めている方が多い。
それは普段家族が「見えている」自然な光景を私たちが「見せるもの」にすることだ。
お客様がわざわざ足を運んで、お金を払って私たちに求めているのは、
ただありのままを写してシャッターを押すだけの「見せるもの」ではない。
目には見えない被写体の中身や家族の関係を見つけ、
魅力を探して表現する「魅せるもの」にする技術である。
だから私たちは被写体と、家族と、コミュニケーションを通じて相手を見ようとする必要がある。
そして目には映らない「家族の愛」や「感情」「その子らしさ」「個性」を写真に収めようとしている。
実際には「見えない」けれど伝わって「見える」ものにできる。
写真にはそんな可能性があると、私は思います。
技術にしてもそうです。
この写真には、フレアと呼ばれる光の影響で写真が白っぽくなる写真技術が使われています。
フレアは目で確認することはできません。
カメラに光を取り込むことで光の玉を写し、表現の一つにしました。
この光を利用して明るく撮ることもでき、実際にこの写真の前に撮った写真はたくさんの光を取り込み、明るく撮った写真です。
被写体である彼女の魅力はなんといっても目です。
第一印象は、お人形のような子。
ママさん手作りのヒラヒラのドレスを着て、表情を変えずしっかりと受け答えをする彼女。
おとぎ話から出てきたかのようでした。
少しクールな印象は彼女の魅力であり、表現したいと思った表情でした。
撮影中、五明さんの問いかけに幾度と笑い崩れる彼女でしたが、
この時折見せるクールな表情からは、
「ちゃんとやらなきゃ」という思いや、
「ゴメラマン笑わせないで」という意思、
そして「緊張」があったように感じます。
緊張は目には見えない「感情」です。
カメラに目線を向けて貰った時に、彼女の思いが伝わる目力に魅了され、光の量を抑える選択をしました。
彼女を実際に見ていない人にも、彼女の魅力が伝わるよう。
「魅せる」写真を撮りました。
見ようと思って見ていなくても、
たまたま目に入った「魅せられた」ものに足を止め、
ついつい興味を持って見てしまう。
そんな魅力ある写真を撮りたいと思います。
Photo by Lisa
Coordi by Gomei
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