フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

舞台

投稿日:2018/1/31

914 0


ネオン街の光、高いところから見る夜景
これらの人工的な光が私は好きだったから
 
ただ毎日、陽が昇り、沈む。
そう無意識に感じていただけだった。特に気にすることもなく。
 
 
大学に入り、作品の作業時間が夜明けまで及んだ時があった。
新聞配達の音でぼんやりしていた意識が覚めて、外を見ると
また陽は昇らないが辺りはうっすら色を変えていた。
 
その時私は初めて
これは「蒼色の世界だ」と思った。
 
 
その時から何となくそのことが頭の中にあって
作品作りの世界観とか、
感動する基準だったり、綺麗だなと思うものが統一されてきたと感じていた。
 
ぼんやり
 
ふわっと
 
霧がかったような・・
 
 
 
もしもこの世界の物語に登場するとしたら・・
----------------------------------------
彼女は「愛し愛される少女」だ。
 
両方から太陽の光を与え合っている
 
言い換えれば、互いだけで十分満ち足りて
全てを補えている。
 
だから住んでいる場所や物語の舞台は存在しない。
----------------------------------------
このあらすじには確かに根拠がある。
 
現実、写真を撮る側は彼女の住む場所を知らない。
 
だが目の前にいる彼女と、両親がどういう会話をして、どんな言葉で伝えあっているのか、
触れ合って愛情表現しているのか、ただそれを見ることで幸せを感じ取ることができるからだ。
 
 
 
物語に沿えば、一つ目の太陽である彼女
 
彼女がそこに「居る」ことだけでどれほどの表現力があり
それがいかに魅力的かということを表したいが
 
彼女には、第三者からは当然わからない
何百という表情があることを知っている。
 
そのすべてを引き出すことはできないし、
見せてくれるとも限らないが
 
彼女を撮り終え、
 
彼女を照らす太陽には確かに見えているものがある、とすぐに分かった。
 
必ず残しておきたい、と選ぶ写真には
彼女以上に彼女の表情が写っている

 

だから私はいつも
彼らの会話を聞きながら
彼女が「愛されている」ことを感じるのだ。
 
 

この記事をシェアする