フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

撮りたいものはなんなのか。

投稿日:2017/12/1

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ライフスタジオの写真は自由であり、幾通りもの表現方法が許されています。
私たちスタッフも人なので、それぞれに個性があり、出来上がった写真からはカメラマンの色が表れます。
 
光を読み、光をポイントとした写真を得意とする人。
センサーを敏感に張り、一瞬の仕草を逃さずキャッチできる人。
お客様に寄り添い、家族の形を表現することが得意な人。
 
一人一人に強みや、特徴があります。
なので、スタッフは誰が撮った写真か分かる人が多いです。
 
それぞれのカメラマンがどこにポイントを置いているのか、
カメラマンの「撮りたい」と思うものが現れていることが多いです。
 
 
 
では、私の撮りたいものはなんなのか。
自分の写真を規定することは、固定概念が生まれそうな気もしますが、私は
 
「自然な写真」=違和感のない写真
 
を目指しています。
ついつい良い写真を撮ろうと、普段しないようなポーズを作りすぎてしまったり、
馴染みのない小物に囲まれた非日常的な空間を演出してしまったり、
それが必ずしも悪いわけではありませんが、私の目指す「自然な写真」からは遠いものです。
 
また、自然な写真を目指しているからといって、
何も考えずにシャッターを押してしまってはお客様の想像を超える写真にはなりませんし、スナップ写真になってしまう場合もあります。
そこで第一に、空間の整理をします。
 
カバンと小さな椅子は、鈴木さんが用意してくれました。
縦に並んでいることで奥行が作られ写真に立体感を出しました。
 
そして無駄な余白を作らないこと。
写真の左側にレースのかかったポールを前ボケとして使い、余白を埋めるだけでなく写真の重心とバランスが作られました。
 
被写体の服装とインテリアの統一。
白いドレスに合うように、あえて後ろの緑を隠しました。
後ろにレースのカーテンを無造作に掛ける工夫は布の質感で柔らかい印象もプラスさせます。
 
 
 
このように空間を整理しすぎて、なんだかこの写真も、作られすぎているように思えます。
 
なので、それらの違和感を無くさなければなりません。
 
その違和感を無くすポイントとして最後に追加したのが被写体の仕草です。
集中できる何かを指示することは自ずと自然な仕草が生まれやすいです。

写真の彼女は3歳の女の子です。
3歳ともなると、女の子特有の感性が芽生え始め、
キラキラしたものが好きだったり、好きな色はピンクだったりする子が多いです。
このキラキラな靴を渡した時の反応に期待しました。

更に「靴を履いてみて!」と声かけをすると、靴を触りながら、もしくは座りながら履いてくれるのかな?
と予想をしましたが、立ったまま手を使わずに一生懸命履いてくれました。
左手が見えなくなる程に体をねじって一生懸命履くこの仕草は、狙っては撮れません。
予想外の行動ではありましたが、作られすぎた違和感を良い意味で崩してくれました。
 
 
 
結局、私の撮りたい自然な写真は
私が「かわいい!」と感じた瞬間に訪れるのかもしれません。
 
一緒に空間を作りあげてくれた鈴木さんと、被写体の可愛い彼女に感謝します。

Photo by Lisa
Coordi by Suzuki

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