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はじまりへの旅

投稿日:2017/3/31

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はじまりへの旅
Photography by oikawa
Coodi by arai
 
 “人生”を“旅”に例えている名言が沢山ある。
その内容はさまざまで、行き先(目標)のことについて話していることもあれば、過程の話をしているものもある。
仮にもし人生というものが“旅”に近いのならば、なぜ私たちは“旅”を続けるのだろうか。
私はこう考えることにした。“出会い”こそが、旅を続ける理由であり、出会いによって、“私と対象物”との“関係”を知ることになっていくのだと。
お互いを知っていく過程の中にこそ自分を成長させてくれるきっかけがあることを・・・・
 
4つの“関係”を軸として構成された今回の写真は
  • 被写体との関係
    主体と副主体
    コーディネーターとの関係
    スタッフとの関係で話していく。
 
被写体との関係
少年とは2年ぶりの再会だった。出会ったのは“越谷店”だった。
2年ぶりの草加店での再会。2年たっても相変わらず、少し甘えん坊な彼だった。思い出話に花をさかせ、色々話しかけながら、2年前の姿を思い返していた。そんな彼は今年1年生を迎える。
撮影が始まりカメラを向けると、前回とは違った姿を私に見せてくれた。
それは彼から“余裕”を感じられたのだ。撮影を楽しみながら、私の投げかけに、色んな表情や動きをくれた。そんな姿に“成長”を感じ、私はいろいろな瞬間をカメラにおさえた。
成長した彼に、前回とは違う撮影をお願いした。
それはポーズの指定である。それは体を横にして、重心をかけ“ライン”を作ることだった。横顔に入る光で撮影しようと思ったからである。なぜ横顔で撮影したのか。それは正面からの撮影よりも、横顔の方が輪郭を強調することができる。目線の先には、本を持たせることによって“ストーリー性”を与え、見ているものに写真のテーマの印象を与えやすくしたのである。
 
主体と副主体
被写体とインテリアの関係ともいえる。だいたいが、被写体がメインとなる写真が多い。しかし、ライフスタジオの写真はインテリアと、切っては切れない関係である。今回、モノクロにした意味として“被写体とインテリアの統一”であった。色や光は人に与える印象が強い。
モノクロ写真にすることによって光や色の強さはなくなり、見ている側がより一層“ストーリー性”に注目しやすくする為である。
 
コーディネーターとの関係
今回の撮影が“入学”であったが、新たな旅立ちとして違った形で写真に表現したかった。そして一つのテーマが思い浮かんだ。
それは“旅”であった。
以前からコーディネーターと今回のテーマについて話しあっていた。
草加店のインテリアは全面ガラス張りで光の良い店舗である。光を消して、もっとストーリー性に注目させるためにモノクロにすること。
そしてテーマは“旅”であると。
草加店のインテリアを良く見ると、おしゃれな空き瓶が飾ってあり、ここがどんな場所なのかイメージを掻き立てるインテリアで構成してあるからだ。
あらかじめモノクロの写真で撮影すると決めていたからこそ、色の濃さや小物にもこだわった。
帽子は始め色が薄いものであったが、濃いものに変えてもらった。色が濃いほど視線が向くからである。
そして小物も、地図のような本をたくさん重ね、トランクも何個か用意してもらいセッティングしてもらった。
“旅”のイメージをより一層与えるためである。カメラで色を合わせている間、コーディネーターの彼女が本の横に虫眼鏡も置いてくれた。
後々聞いたら、“旅”のイメージに合うし、このあとの写真の展開でも使えるようにしてくれたのだった。事前に今回のテーマについていろいろ話してきたからこそ、ストーリー性を強めることができたのである。
 
スタッフとの関係
今回の写真ができるまで、草加店のスタッフからたくさんアドバイスをもらった。光や色の濃さはもちろんのこと、一番話したことは“ストーリー性”についてだった。
なぜなら、原本の75CUTはストーリーを考えながら構成しているからである。
だからこそ、“テーマ”が重要であるということ。草加店のインテリアを見返し、インテリアを分析しながら、被写体のポーズや小物でストーリーを作ることであった。
被写体は、ただ本を持つだけのポーズしかつけてなかったが、もっとストーリー性を持たすために、横に本を置くなどアドバイスをもらったのだ。
 
今回は2年ぶりの再会という“出会い”を通じて、写真で繋がりあいながら“形”となって表現された一枚になっていった。
写真分析をしていくなかで、たくさんの人たちによって写真が作られていることを知った。

“写真はひとりでは作ることができない”ということを。
 
私も来月からあたらしい場所で、新しい第一歩が始まろうとしている。
人生の“旅”がはじまろうとしているのだ。
2年ぶりに再会した彼も4月から始まる新しい場所にドキドキしていることだろう・・・
出会いは人を成長させてくれる、だからこそ私たちは旅を続けるのだ。
また、何年後か互いに成長した姿で会えることを願って。
 
 

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