フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

指先の描く未来。

投稿日:2016/12/31

796 0

まだ小さい頃、いくつか習い事をしていました。
私は三姉妹の真ん中で、小さい頃はなんでも姉の真似をしたがる子供でした。
だから習い事も姉の真似をして、エレクトーン、スイミング、通信学習もしていました。
唯一、私が自発的に習いたいと母にお願いしたのは習字で、それは三姉妹の中でも一番最後まで、どの習い事よりも長く続けていました。

今、スタジオに来てくれる子供達にも、よく「習い事はしてる?」と尋ねます。
時代としてそういう傾向なのかはわかりませんが、最近の子供達は本当にたくさんの習い事をしているなという印象です。
塾に通っているというのはほとんどの子供達が教えてくれますし、他にも2、3の習い事をしているのは当たり前のように、たくさんの習い事を教えてくれるのです。
「そんなに毎日習い事ばっかりで、遊ぶ時間がないんじゃないの?」と素直に聞いてしまいます。
私が保育園の頃は習い事なんでしていませんでしたし、小学校低学年の頃は、放課後学級のようなところで友達と遊び回っていました。
中学年、高学年では合唱団に入っていましたので、放課後は毎日その練習で音楽室で歌っていたものです。土日も友達の家に遊びに行くことが多く、母と姉妹達と出かけることも多くありました。

放課後は自由にたくさん遊べる時間がある方が良い!と思ってしまうのですが、こうして考えてみると、私もどちらかと言えば学外で遊ぶというよりも、学内で何かしている時間の方が長かったんだなと、改めて思います。

習い事と言っても、大変なことばかりではありません。
違う学年や学校の友達も出来ますし、そんなふうに思えば、より自分の世界が広がっていくのかもしれません。

いろんな人と出会い、いろんな影響を与え合って、豊かな人生にしたい。
そんな風に考え成長した私は、いろんな場所にも行ってみたいと思うようにもなりました。
大学は、地元山口から飛び出して大分県へ。
社会人になる時は名古屋まで足を延ばしてきました。
行く先々で出会う人出会う人、みんなとても個性的で刺激的で、笑いの堪えない人生を送ることが出来ています。

こうして20歳以上も歳の離れた子供達と出会うことが出来るのも、そうした人生の中で生まれた「カメラマン」という選択肢のおかげなのです。
 

「大きくなったら、何になりたい?」
どんな夢を持っているのだろう、どんな風になりたいんだろうという期待から、いつも私は子供達に尋ねます。
かわいらしい夢を教えてくれる子や、しっかりとした意志を持っている子、様々です。
そんな彼、彼女らに共通しているのは、今この瞬間、とても美しくきらきら輝いているということです。
目の前にいる彼、彼女から、私はまた一つ、幸せをもらうのです。
 

彼女もまた、そんなキラキラとした存在でした。
まだ始めたばかりだというバレエですが、その立ち姿からは一生懸命さと楽しさと、すこしの恥ずかしさが伝わってきました。
これから彼女はどんな人生を歩むのでしょう。
どんな場所でどんな人と出会い、選択し、成長して行くのでしょう。
幼稚園という枠組みの中では体験の出来ないことを、これからその場所でたくさん見つけて行くのでしょう。

まだぎこちないその指先が、しなやかに美しく曲線を描く時。
そんなもう少し先の未来。

淡く彼女の雰囲気に色を添える衣裳のように、たくさんの出会いが彼女の人生に色を添えてくれるといいなと思います。
やわらかなその光とその場所は、その時彼女の背中を優しく押しているようでした。

Photo:Miya
Coordi:Shiba

この記事をシェアする