フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

『色を置いていく』

投稿日:2016/7/21

674 0

photo by Yumiko codi by Kazumi

『色を置いていく』

---------------------------------
箱のなかにきれいに整列されたチューブ
さくらいろ
ねずみいろ
そらいろ
名前を読み上げながらチューブのおしりをそっとおして
パレットの上に静かに  
その時の気分を純粋に感じながら並べるのが好きでした。

隣に並んだ色が互いに影響をあたえあって
ひとつひとつのときにはなかった深みやリズムがうみだされるのがなんだか不思議で
画用紙にむかうまえに
こっそりと静かに遊びを楽しんでいた子供のころの記憶。。。

---------------------------------

ここは茶の窓枠・グレーの壁のみが存在する空間で
意図的にシンプルに撮影することもあれば
私たちが表現したいものに合わせて小物を配置し撮影することもできる
いわゆる自由度が高い空間です。

だからこそ何を配置するか。
それが大きなポイントになりますが、そのときに考えることのひとつに
『どんな色をそこに置くのか』というこということがあります。

スタジオの中にはいろいろな色がありますが、
今回選択したのはアースカラーです。
アースカラーとは、大地や木の幹の色、そして、空や海の水の色、新緑から紅葉へと季節により変化する木の葉の色など自然の織りなす美しい色をいいます。

ドライの花・アイアン・籐・レース・帽子に至るまで、
くすみがあって落ちつた色を配置し
アースカラーの人間の肌の色との相性・肌なじみのよさを利用し空間に人物が違和感なく溶け込むようにしました。

それに加えて色を放つものの素材感に気を配りながら
全体の重量感やつくりだす印象を考えます。

縦横にはしる濃い目のブラウンのラインは画面全体を効果的に引き締めてくれますが、
籐のバックや帽子・腰かけているBOXにレースをプラスすること、そして被写体が身にまとっているドレスの素材感によって
そのラインが強調されすぎないように全体に柔らかさをプラスしバランスをとっています。

ちょっと控えめだけれど、シックでナチュラルなこのような配色は
優しい印象をあたえながら被写体の存在を邪魔することなく
生まれ持った美しさを引き立ててくれるので私はとても好きです。


『色を置いていく』


小さいころから大好きだったこと
それはかけがえのない私の要素です。

そして同じように大好きと感じてくれる人と作り上げていくものは
より愛着を感じる大切なものなのです。



この日の私たちのパレットに並んだ色。

とってもとってもやさしい色でした。




kazumi

この記事をシェアする