フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
なかったことにしないで
投稿日:2016/5/4
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OMIYA Photo
Photographer: Soo
Cordinater: Kazuko Saito
「自然な感じ」というのは、
ライフスタジオの写真に求められるもので1番多いものかもしれない。
私たちは幾度となく、「自然とは何か」と考えていることだろう。
私たちは「自然な感じ」をたくさん撮る。
お客様からも「こんなに自然な感じで撮れるなんて」という言葉を頂き、
そんな写真が撮れるということはスタジオの強みだ。
しかし、本当にそのままの「自然」というのはどうだろうか。
それはすごく難しい。
そもそもスタジオは、非日常な場所だし、
あまりにそのままの姿では、スナップ的で、画として残すのは難しくもある。
けれど、「自然な感じ!」「可愛かったー」で終わりたくはないのだ。
なぜなら"感じ"ではない「自然」には、
その時その瞬間の本当のその人が居るはずなのだから。
それを無かったことにはしたくない。
それに、
そのありのままの自然な姿に美しさを感じた自分の心も、
無かったことにはしたくないのだ。
何かを決めつけることなく心を開いていれば、日常的で自然な姿は溢れている。
そして、その瞬間はもう二度とない。
それに気がつけるか、
受け取る準備ができているかどうか。
そんな瞬間がないわけでも、難しいわけでもなく、
自分が自分に制限しているだけだと気がつくこと。
そう自覚することができれば、
受け取れる範囲はいくらでも広げていけると思う。
だからキャッチ出来るように、
いつも自分の中に余白を残しておく。
あらゆることの中にある美しさを、
素早く見出せるように。
自然な姿というのは、相手にとってはあまりにもありふれていて
普段は意識もせず、気がつきもしないものかもしれない。
けれど、それが何よりも尊く美しい。
記憶と写真が繋がった時によみがえる感情。
それすらも含むような家族の光景。
その瞬間を逃したくないし、残して伝えたいのだ。
だって、そうやってハッと気がつける場所が、
ライフスタジオなのではないかと思うから。
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