フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
私は海の男、漁師だ
投稿日:2016/3/31
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OMIYA Photo
Photographer: Soo
Cordinater: Yu漁師の話で例えてみよう。
私は海の男、漁師だ。
仲間と一緒に船に乗り込み、何時間も共に漁をして、
暴れまわったり、ぜんぜん引っかかりもしなかったり、幾多の苦難を乗り越えながら、
やっとの思いで魚を釣り上げる。
船の上でさばいて共に食べる魚の味は、
海の香りがして、目をつぶればさっきまで生きていた魚が、
ゆうゆうと海を泳ぐさまが浮かぶほどの新鮮さがある。
苦労を分かち合いながら食べるその味は格別ってもんだ。
魚は市場にも運ばれる。
セリにかけられ、値段が付き、お店などに運ばれ様々に調理されることでしょう。
とある料理屋さんで魚を食べる人に対してシェフが、こう言った。
「あの日は大荒れで大変だったんだ」「これが釣れた日は大しけでなかなか釣れなくて」
なんて話をしても、食べる人にはピンとこないし、その料理の価値もそうそう上がるもんじゃない。
「この魚は今が旬で、脂がのっております。さっとゆでてお召し上がり頂くのが最高です」
「この魚の良さを生かすために、レモンで酸味をきかせました」
などと説明されて、食べる人はなるほどと思い、料理の価値も上がるのだ。
私は漁師。
時々、船を降りてお店に直接出向き、魚を調理する。
フライにしたこともあれば。
色々なスパイスも試した。
沢山の言葉で伝えてみようともしました。
”私の釣った魚は最高です”
けれど、船の上の臨場感を知らない人に、そのいきいきとしたさまを伝えるのは
本当に困難であり、むしろ不可能なのかもしれない。
けれど、私は海の男、漁師でいたい。
やっぱり鮮度で勝負したいのだ。
船の上でいつもやるようにさばこう!
その魚が最高においしく感じられる、
大胆で、分厚くって、一番おいしい切り方で。
海の香りがして、ゆうゆうと泳ぐさまが感じてもらえるような食べ方で。
それを味わってほしい。それが私の方法なのだ。
もちろん皆さんの口に届く頃にはやっぱり鮮度は落ちるから、
本当の海の味が知りたいならば、ぜひ一緒に船に乗ってみませんか。
これからも沢山の人たちと、一生モノのその味を分かち合いたいって思います。
シェフでも料理研究家でもなく、
私は海の男、漁師なので。
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