フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

Configurer

投稿日:2015/10/31

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photo by yatsu
coordi by cho

「創作的に写真を撮ることは、写真を流行に引き渡すことで、<世界は美しい>という言葉は、これがその際の標語にほかならない。
こういう創作写真の素顔が広告であり、また連想であるからには、これと正当に対立するものは曝露であり、また構成なのだ。」 
 
ドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンが書した論文「写真小史」に書かれている書かれている文章の一部です。 
現実を美化したり、脚色したりするのではなく、日常的な眼差しの中では見えてこない現実の相貌を視覚化する方法の一つとして写真を使うことが、彼の言う構成的という表現だと私は理解しています。 
 
写真館という場所が単に記録の場所であれば、私たちライフスタジオが存在する理由を説明する全ての言葉は嘘になってしまうでしょう。 
何故ならライフスタジオは美しさを表現することを義務としているからです。 
その美しさとは、ベンヤミンが言う構成的写真、即ち”日常的な眼差しの中では見えてこない現実の相貌を視覚化すること”と言い換えることもできるのではないでしょうか。 
 
一般的には赤ちゃんは1歳~1歳半で自我の誕生を迎え、2歳で自我の拡大をし、3歳になると自我は充実を迎え、これから自制心の形成へと向かって行きます。 
1次元の認識が2次元になり、2次元の認識が3次元になるように、驚くべきスピードでパーソナリティーを構成していくわけです。 
だからこそ私は、構成的写真の要素が色濃く出る撮影の一つが七五三だと考えています。 
 
自分たちの子供でもあり、でも1人の人間でもある。 
互いに時間をかけて認識しあい、親と子だけではなく、人と人として家族でも関係を作っていくからこそ、日常的な眼差しの中だけでは見えてこない現実を視覚化することが、美しさの基準なのではないでしょうか。 
 
 
写真を通して、私たちが遂行するプロジェクトは何なのか。 
それは、家族を構成する1人1人が、互いの存在を認識しあえる空間を美しい思い出として記録し続けることではないかと思うのです。 

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