フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
まなざしの交差
投稿日:2014/10/15
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Photo by SU & Kitamine
彼女は七五三を記念して訪れてくれました。目元はパパママによく似て、とてもそれが魅力的で、
それでいてとても主張のある子でした。
足袋を履くのも、帽子をかぶることも一筋縄ではいかず、あの手この手でパパママにも手伝ってもらいながらの撮影。汗を相当量かきながら、どこかこの一見大変そうに思える撮影を楽しんでいる私たちがいるのです。
次から次へと被写体との交渉を進め撮影していく中で、私とコーディネーターは阿吽の呼吸とでもいえるコンビネーションで撮影したのを覚えています。
ここに写る彼女のまなざしは撮影者である私に向けられている。
カメラのレンズを越えて、私という存在を見ている。
撮影者は被写体にカメラを向け、視線を向ける。
しかし被写体はその視線を漫然と受け入れる存在にはなってくれません。ときに拒否の意志を示すこともあります。
撮影者の世界に取り込まれることを拒む存在を前に、撮影者は自らの視線を意識し、被写体との間の距離と関係を対象化しなければならないと思います。
何を・または誰を・私は・私という撮影者は見ているのか?
では、どの場所から見るという行為をしているのか?
なぜその位置にいるのか?
私のまなざしはどのように、被写体のまなざしと交差、または交差し損ねるのか?
では、どの場所から見るという行為をしているのか?
なぜその位置にいるのか?
私のまなざしはどのように、被写体のまなざしと交差、または交差し損ねるのか?
繰り返されるそれらの問いに、答えられるよう私たちは一枚一枚写真をつくっていかねばならないだろう。
彼女は身を潜めつつも、私を探していました。
同様に私も遠いものかげに身をひそめて、彼女が現れるのを待っていました。
私たちは、いつ出合ってしまうのか、という状況に胸躍っていたのかもしれません。
そしてとうとう、ふたりは出合う。
撮影者と被写体との間に距離はあれども、互いのまなざしは強く交差した瞬間。
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