フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive

らしさ(既存)

投稿日:2014/9/18

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短い撮影時間の中で被写体の「らしさ」、既存の部分を引き出すのはとても容易なことではない。
そんな被写体の「既存」の部分を発見した時に私自身に新しい風が舞い込んできた経験は
カメラマンなら誰しもが経験あるだろう。
 
彼女がお店に来た時の印象は「清楚」であった。
妹の入学記念ということで制服衣装で揃えてのご来店。
三つ編みおさげで礼儀正しいお嬢様風。
彼女はもうすぐ10歳。
ハーフ成人ということで大人へ移り変わる(非日常の)新しい彼女を見つけたかった。

大人の女性を表現したかったので色量は最小限に抑えた。
帽子を使い覗き視ている目線で微笑んでもらったことで、謎めいた大人の女性を出す。
​指は意図としたものではなかったが、彼女本来の動きのままであえて修正は加えなかった。
結果、ただ帽子をつかむという行為がより謎めいた女性の印象を際立たせた。
女性の寄った写真は肩を寄せて入れるとよりセクシーになる。
だがしかし、今回は指と表情にフォーカスしたかったのと「新しい自分」ということで
私自身の新しさをも追究した中で、肩を寄せて入れない。という結論に達した。
 
彼女が想い描く大人の女性とは。彼女自身は果たして大人の女性になりたいのか。
カメラマンのエゴで彼女をカテゴライズしてしまって良いものなのだろうか。
今までは思い立ったらとことんやってしまおうという概念でそれで良かったのかもしれない。
今回は「新しい何か」を追究したいのだ。
 
「新しい自分」を追究する「今」は、まさにまだ10歳の彼女なのだ。
「らしさ(既存)」という部分を残しつつ「新しい自分」を見出す画を表現した。
 
被写体にドレスでも何でも非日常の衣装を着せれば「新しい自分」はいくらでも写真に残せる。
冒頭でも述べたが短いこの撮影時間の中で彼女の「らしさ」、既存の部分を引き出すのは
とても容易なことではない。だからこそ探り出す、引き出す努力をしてみよう。
そんな彼女の「既存」の部分を発見した時に私自身に新しい風が舞い込んでくるに違いない。

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