フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
001
投稿日:2014/8/31
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家族写真を、残すこと。
それが、カメラマンとしての、自分の至上命題だと思っている。
古いアルバムの中のモノクロ写真を見返した人が、どんな表情になるのかを、私は見た。
若かりし頃の父母の姿に、今の自分の姿を重ねてみたり、幼い頃の自分の姿に照れたりしながら、すっかり忘れていたような、撮影の時のエピソードを語りだす。
両親と自分が、色褪せたモノクロームの、四角い紙の中で微笑んでいる。それを見た時の、その人の横顔が忘れられなくて、私は家族写真を撮っている。
人は、いつか忘れていってしまう。
変化は毎日訪れていて、気が付いた時にはその形は変わっていて、
例えばその手に抱いていた小さな赤ちゃんは、あっという間に走れるようになり、
その紅葉みたいな手だとか、生えたばかりの小さな歯だとか、まだ短かった柔らかな髪だとかは、
今はもう目の前になくて、ただ成長した姿でニコニコと笑う。
その姿。
1秒経てば、それはもう過去だ。
だから、写真に残そうと思う。写真にして欲しいと思う。
他人から始まったふたりが家族になって、新しい家族を迎えて、毎日泣いて怒って笑って、
生きていく。
その毎日の変化の中で、ふと記録される今日の写真が、家族の思い出として記憶になる。
この日。
夏の終わり、数日続いた曇天の中でのわずかな晴れ間。
初めての場所で、人見知りも場所見知りもなく駆け回って遊んだこと。
いつかこの写真を見た時に、そんな思い出が蘇ってくるような写真にしたくて、広く空間を入れ込んだ。
新横浜店という空間で、家族と向き合う75カットの1枚目。
シンプルに、真っ直ぐに。
Life studio No,17
Shinyokohama
Photo by Reiri, / Codi by Rika
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