フォトジェニックアーカイブPhotogenic Archive
存在の証明。
投稿日:2016/5/31
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photo by gomei
codi by KudoSatsuki&HIRO
私たちは写真の先にある人と人との関係に重きをおき撮影を行っている、目的は人であるからです。
越谷店がリニューアルオープンをし今日で一か月が経ちました、オープン準備から約2か月越谷店に関わっているのですが、毎日が目まぐるしく過ぎてゆく状況の中で気づけば営業再開後一か月が経っており、思い返すとまだ一か月かと時間流れの間に立っているような不思議な感覚を覚えます。
越谷店のスタッフは皆一緒に働くことは初めてのメンバーの為、本当に真っさらなところからスタートをしました。この一か月の中で自分がどのような存在で居られるのか、また居るべきなのかを考え悩みの尽きぬ一日を過ごしてゆきます。
外部的には私たち越谷店はライフスタジオの店舗として、一組織としてどのような存在になるべきか、なりたいのかを毎日全員で悩んだ月でもあります、越谷店を通した私たち一人ひとりの存在証明をしたかったのだと振り返ると感じます。
越谷店は平日のみ営業をしているので、必然的にBaby撮影が多くなります。おそらく8割以上のお客様に1歳未満のお子様の撮影を行ったと思います。
Babyの撮影は基本的にカメラマンの作りこんだイメージを具現化することは難しいといわれます。
なぜなら年齢の高い被写体よりも、被写体自体の自由度が高いことが大きな要因だからです。もちろんのことどのような一歳のお子様でもカメラマンの意図を伝え理解してもらうことはできませんので、思うがままに自由に動き回ります。
だからこそ偶然性の高い撮影に自ずとなってゆくため、カメラマンも思うようにイメージの具現化にはなかなかつながらないものであります。
つまり一歳以下の年齢の撮影になると、その偶発性をいかに予測をし、誘導をし、イメージの具現化を行ってゆくのかがカメラマンに必要とされるスキルでもあるのです。
この写真はお客様の唯一のご要望でもありました。
「指輪を手に持った写真を撮ってください。」
それ以外に参考資料などはなく完全にイメージは私に任されました。必要とされた条件は指輪を手に持つことだけです。
指輪を手に持っている写真はこれ以外にも勿論数多く撮ることができます、もっと指輪をアップにしてとることもできますし、手のひらに乗せた写真を撮ることもできます。
しかしお客様は持つという情報を私に投げかけてくれました、それには必ず意味があるのであり、言葉は伝えるためのツールであることから、私たちは意図をくみ取り撮影を行うこととなります。
指輪を手に持つという情報からまず考えなくてはならないのは、この写真を撮るにあたっての主題である。
決して指輪という物質が主題ではなく、手というパーツが主題ではない、手に持つという行為を通して目に見えない何かを私たちは一枚の写真に込めなくてはならないと感じる。
この写真を撮るにあたっての主題は「存在の証明」だ、時系列で考えるとパパさんとママさんが独身時代に出会い、結婚をして、子供が生まれた。
一年以上前にはこの手の主はこの世に存在をまだしていない状態である、一つ一つの愛の形が時間とともに育んでゆく中で、新たな存在が生まれたというドラマに関しては写真の通り説明はいらないと思う。
ではこの新たな生命の存在感をいかに一枚の写真に入れるのか。
まず一つは被写体の配置である、写真の中央に配置をし寝そべるように手の位置に合わせて撮ることで真っすぐに視線が集まる等に、そして上向きの手を撮り、上部を大きく開けることでポジティブなイメージを出す。
そして自然光を逆行にとり、背景を飛ばすことで、写っているものは指輪と手のみにすることで、より存在感が出るように工夫をする。
そして赤ちゃんは自由に指輪を握る、幾度かシャッターを切り人差し指が入り込むような写真を選んだ、握る手の形に生命の力強さが欲しかったからだ。
一つの主題の為に私たちは計算しシャッターを切ることで、すべてのことの意味を知らなくてはならないし、説明ができなくてはならないものであり、写したすべての要素が、価値につながらなくてはならないものであると考えます。
そのとき初めていわゆる良い写真となるのだと思います。
指輪と手という被写体の存在の証明、これはカメラの先にあるものだがカメラを通してもしかしたら自分自身の証明をしたかったのかもしれない。
私自身フォトジェニックに写真を上げることは1年ぶりくらいかもしれません、この一枚が私にとってもカメラマン五明としての存在証明であり、越谷店の存在証明の第一歩でもあります。
そしてもちろんのことこの写真のご家族と、新たな生命の証明でもあります。
きっとこの写真と文章を読み、いろいろなことを思っていただけると思う。
おそらくその感情は正解であり、その感情以外の物はないと思います。
良いも悪いもすべてあっていいものです。
この写真を開いた時点で、私とあなたのコミュニケーションは成立をしているのです。
この写真を見て思う言葉や感情が、結局は写真の魅力ではないでしょうか。
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